右の強打者が開花しました

2023.9.23(土) 

秋分の日。秋っぽくなってきましたね。

秋と言えば秋山翔吾。まさかホームラン打つとはね。

だがそんな秋山のポジションを脅かす大物がカープに現れた。

一人は末包昇大。あともう一人いる。

 

末包の打撃~狙い球

今朝は末包の打撃を徹底解説します。

 

結論を言えば末包は

 

開花しました。

 

新井の言葉を借りれば掴んだと言えるでしょう。打撃を掴んだという意味。

 

ハッキリ言って末包はレギュラー獲得しました。

 

末包は秋山を休ませてでもスタメンで使わないといけない選手へ成長しました。

 

解説しよう。

 

今年5月の時点で私は「末包は待ち方を変えた」と言いました。※参考記事

待ち方とは「狙い球の絞り方」のことで、球種で待つ打者が9割。コースで待つ打者が1割。

去年の末包は「ツーストライクまでストレート一本」で待っていました。

今年のオープン戦もそうでした。末包は変化球で簡単にツーストライク追い込まれるケースが目立っていました。

 

今年の末包は開幕2軍スタート。

私はルーキーの内田湘大を見たくて、3~4月は二軍の試合をよく見ていました。

その時に二軍で四番を打っていたのが末包です。何となくですが末包の打撃も春先からずっと見てきたのです。

 

5月頃から末包はカウント球のスライダーをヒットすることが増えました。二軍の話です。

長距離打者はストレートを狙う人が多い。巨人の岡本は90%ストレート狙い。カープの江藤智は100%ストレート狙いでした。

こういう打者にバッテリーは初球スライダーを投げます。岡本も江藤もわかっているはずなんですが、彼らはいつもこの球を見逃してワンストライクから勝負を始めます。

村上宗隆はコースで待つことが多い。ツーストライクまでは「外角」とか「高め」とかで待ちます。コースに来ればスライダーでもストレートでも振ります。

 

打者は自由な打撃のできる「0ストライク、1ストライク」のカウントでメシを食ってます。

打者が個人成績、いわゆる「データ」を稼ぐのは「ツーストライク未満の打席」です。ツーストライク後に気持ちよい打撃はできないのです。ツーストライク後は投手の投げる全球種をマークしなくてはいけないからです。

私が高評価する打者はツーストライク後にしぶとく食らいつける打者。村上と岡本は牧や宮崎よりツーストライク後の確率が圧倒的に低いのです。0ストライクや1ストライクでドカンと一発打っても私の評価はあまり上がりません。

 

末包の打撃~読み

末包はカウント球のスライダーを打つことで打率を上げました。現在の打率は.262。これは一軍の数字です。122打数32安打。

ツーストライク後も簡単に三振しなくなりました。ツーストライク後の打率も平均的な.180ですし、ファールで粘る打席も目立ちます。

これは末包の打撃技術より「読み」の影響が大きい。末包は案外頭がいいバッターのようです。

 

昨日の試合で第2打席に菅野の外スラをセンター前にタイムリーしました。

2死2塁なので菅野は末包を歩かせてもいいと思いながら投げていました。

フルカウントまで進み、最後は外角低めのストライクからボールになるスライダー。

理想は見逃して四球を選んでほしいんですが、打席数の少ない末包にはそれがまだできない。手を伸ばしてセンター前にポトリと落としました。今はそれでいいでしょう。

 

私が唸ったのは次の打席です。

3打席目は7回表の先頭打者。

初球の内角低めツーシームを上手に捌いてレフトへホームラン。

2打席目は外角スライダーをタイムリーしたから。1打席目は内角ツーシームでゲッツーだったから。だから同点の7回、初球インコースは来るんじゃないか。

セオリーであれば一発のある内角から入るのは怖い場面です。しかも球場はクソ狭い東京ドーム。

だが菅野は末包をナメていました。ゴメンやけど私も末包をナメていました。

末包は内角ツーシームを一閃。打った瞬間にそれとわかる勝ち越しソロ本塁打となりました。

 

末包の打撃~技術

んでこのホームランが非常に技術の詰まったホームランでした。

末包が右投手の内角低めをホームランしたのはたぶんプロで初めてじゃないでしょうか。少なくとも今シーズンは記憶にありません。

左投手の内角スライダーを打つのは得意でしたが、右投手の内角の強い球をレフトへホームランしたのは相当自信になるでしょう。これは野球をやったことのない人にはわからない感覚です。

打者は内角ストレートを強く引っ張って初めて一人前です。村上と秋広はまだそれができていません。

 

しかしただ引っ張るだけではあのコースのツーシームはファールになります。菅野は1球でアウトを取るか、少なくともファールでカウントを稼げると思って投げたタマです。キャッチャーの構えたところにズバリと投げた狙い通りのタマ。

それを末包が上手く左腕をたたみながら打った。菅野は呆然。ウソだろ、マグレだろ。

まあこの一発は私もマグレだと思います。上手く打ち過ぎ。落合博満みたいでした。

 

2発目のホームランにも感心しました。

6対3とリードした8回表。2死無走者。

さっき勝ち越しホームランを打たれたので今度は外角一辺倒。巨人は間違ってません。セオリー通り。

カウント3-1になった時、「歩かせるかな?」と思ったんですが5球目がいいとこに決まり欲が出た巨人。

 

カウント3-2。いいピッチャーはここでストライクからボールになる変化球を投げます。

勝てない投手はここで変化球が真ん中に入ります。

巨人の投手ビーディはここまで0勝6敗。大城はもっと露骨にボール球を要求するべきでした。

大城は中途半端なコースにミットを構えました。そのタマを末包は一発で仕留めて2打席連続ホームラン。

 

このホームランも技術の詰まったホームランです。

末包は外スラ8割、ストレート2割くらいの比率で待っていました。

映像を見ると泳ぎ気味にホームランしていますが、カウント3-2からの打ち方としてはとても理想的なタイミングの取り方です。

もしもビーディの外スラがギリギリのストライクならカットできるタイミングでしたし、ボール球なら見逃せるタイミングでした。

それでいて真ん中に抜けてきたスライダーをホームランして、もしストレートだったとしてもライト方向に追っつけることのできるタイミングでした。

 

新井の談話じゃありませんが末包は打撃を掴んだような気がしますね。

2打席目のしぶといタイムリー、3打席目の読み切ったホームラン、4打席目は相手投手を「投げるタマがない」ところまで追い込んで仕留めたホームラン。

非常に内容の濃い3打席でした。 

 

もう一人の右打者

そして末包と同じくらい輝きを放ったのが堂林翔太です。

堂林はもう完全に四番です。

160km投手に弱いところはありますが、まあそれは誰も打てないので仕方ありません。巨人のスカタンならいつでも打てるし、甲子園球場でも活躍するイメージです。

 

カープのクリーンアップは秋山西川と決めつけることはもはやできないですね。

左の小園と坂倉。

右の堂林と末包。

CSへ向けた攻撃オプションが増えました。

 

そればかりか末包(27)の台頭はカープのドラフト戦略を左右するかもしれない。

中村奨成(24)も末包に負けない打力を持っていると私は見ている。

昨日、慶應大学の廣瀬君(22)が矢沢広沢を追い抜く第19号を打ちました。今日20号を打てば岡田彰布に並びます。

 

末包が一本立ちしたと見るなら、廣瀬君の1位指名は消してもいいです。※参考記事

末包をレギュラーで使うならカープの1位指名は投手でいいでしょう。

前田悠伍は12球団OKらしいぞ。


おしまい
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ありがとうございました。

-雑感