今日は 走塁の話 をします。
そんなにハイレベルな話でもないけど、けっこう反響が大きかったので細かく解説しますね。
結論を先に書くと コリジョンルールは圧倒的に捕手が有利だ という話です。
ソフトバンクの走塁メソッド
昨日、私のXに何気なく流れてきた日刊スポーツの記事が
「ソフトバンクの走塁メソッド」
に関する記事で、よく見りゃ2023年の古い記事だったんですね。
そこにはこう書かれていました。
以下の2点ができない選手は ソフトバンクの一員ではない。
<1>余裕がある時も常に全力疾走
<2>ホームインの時はキャッチャーをかわさずまっすぐ入れ
私は何の気なしに
「何を偉そうに。そんなのあたりめーだろ」
「でもカープは<1>はできてるけど、<2>はできてないけどな」
とXにリポストしました。
カープは今シーズンずっと<2>ができていませんでした。 中村奨成と佐々木泰は特に<2>が多い。アウトになるぞと何度も思いました。
【ソフトバンク】小久保監督「これを守らない限りはホークスの一員ではない」走塁メソッド徹底へ https://t.co/Hh6igvsf5V— ひが (@higashidesedai2) October 30, 2026
すると結構大きな反響がありまして、私は
「Xもyoutubeも何が受けるかマジでわからんのう」
と思いました。
今日はなぜカープ選手が<2>をやらないのかについて解説します。
タッチをかいくぐる理由
なぜカープ選手はキャッチャーをかわしながらホームインするのか?
理由は大きく 2つ あります。
1つ目は カッコいいから です。これはマジです。
コリジョンルール導入以前の野球界では、キャッチャーをかわしてホームインすることが走者の醍醐味でした。体当たりはケンカになるからね。
一番カッコいいホームインは①足と体はキャッチャーの右側を通過して左手でタッチです。
これが一番カッコ良くてしかも 一番簡単 です。
次は反対に②キャッチャーの左側を通過して右手でタッチするプレー。
ファールグラウンド側に逃げるのではなく、内野(インフィールド)側に逃げます。
決まったらカッコいいですが、こちらは結構難しいです。1人ではできません。
「1人じゃなきゃ誰とやるんだ?」
それは ネクストバッター です。次打者。
ネクストバッターが
「こっちへ滑れ!」
と指示してくれたら安心して行けますが、してくれないとなかなか行けません。
「指示してくれないことなどあるのか?」
強い学校は知りませんが、私ら弱小レベルでは 結構あります。普通です。
シャイなやつとか気弱な次打者ははっきりと指示してくれない時もあります。
ただ「滑れ」と言うばかりで、どっちへ滑るか教えてくれないことは日常です。
弱小校の3塁コーチャーはクロスプレーのタイミングでだいたい走者を止めます。私らの時代の高校生はみんなマジメでシャイだったのです。
だから昔の高校野球や草野球では 3塁コーチャーの制止を振り切ってホームに突入 する走者が多かった。そう言えば最近ほとんど見なくなりましたね。5年以上見てないと思います。
話が逸れた。
とにかく②は難易度が高いです。1人じゃなかなかできません。
タッチをかわす時に右手を出すのがムズいのです。右手はベースランニングの時の「遠いほうの手」ですから、右手でタッチに行くと体が敵のタッチに近づくためアウトになりやすいのです。
ただし決まればカッコいい。内野側を通ってホームインすると結構「おおー!」と感嘆の声が上がります。
まあでも②内野側に滑り込んで右手でタッチはレアケースです。8:2の割合で①外のファールグラウンド側へ逃げる方が多いです。安全だから です。
この場合の安全とは「キャッチャーのタッチから遠いので安全」という意味です。フォースプレーなら走者は足から行きますが、タッチプレーの時は遠まわりしてでもタッチをかわします。
カープ選手がキャッチャーをかわしてホームインする2つ目の理由は 安全だから です。
この場合の安全は「ケガを避ける」という意味の安全です。キャッチャーと接触せず安全にホームインしたいからです。
中村奨成のホームイン
ここで動画を見てみましょう。
中村奨成がキャッチャーのタッチをかいくぐってホームインする2つの動画です。
動画の1:25。勝田がタイムリーを打って2塁走者奨成がホームインします。奨成のホームインは一瞬です。
勝田のヒットが弱い打球だったので、巨人はカットマンがカットして1塁走者の佐々木泰をアウトにしました。
2塁走者の中村奨成は敵がカットするかどうかわからないので全力でホームへ突入しますが、よく見るとホームに向かってまっすぐ行かず、左手でキャッチャーをかいくぐるようにホームインしています。
これは上記①のプレーです。体をキャッチャーの外側へ逃がして左手でタッチしています。
このプレーはクロスプレーのタイミングなので、奨成はキャッチャーにタッチされないようにホームベースから遠いところを通過しています。
続いてこちらの動画。
動画の1:04。坂倉がセンターフライを打って3塁走者奨成がタッチアップでホームインします。
こちらは悠々セーフのタイミングですが、奨成はホームベースの横を通過します。
これはカッコつけてホームインしているだけです。
キャッチャー坂本誠志郎は奨成を油断させるべく「バックホームが来てないフェイント」を入れてますが、奨成はセンターの捕球位置とホームベースだけを見て全力疾走しており、坂本のフェイクには惑わされていません。
私はこの時の奨成に 足でホームイン してもらいたいんですよね。
ソフトバンクの走塁メソッドは「足でホームインしろ」と言ってます。「ベースまでの最短距離で走れ」という意味。
奨成に言わせりゃ「俺はタッチをかわしてるんだ!」という理論です。「タッチから一番遠い場所を通るぜ」という意味。
どちらが正しいのか?
タッチをかいくぐらない理由
ソフトバンクの走塁メソッドは「ベースまでの最短距離を走れ」というもの。
こちらもご覧ください。
動画の2:56。牧原のヒットで2塁走者イヒネがホームインします。
イヒネはヘッドスライディングでホームにまっすぐ突入しています。タッチは左手。
私は3日前のブログに
「DeNAのライトがコケなければホームはアウトだった」
と書きました。※参考記事
このプレーは9回裏2死2塁でイヒネが同点の走者でした。次打者は8番。
タイミングはアウトでしたが、ソフトバンクもわかっていて回しました。3塁コーチャーは「送球よ逸れてくれ!」と祈りながら、わかってて回しました。
んでDeNAのライトがコケてくれたからセーフになりましたが、タイミングはアウトでした。打球が速かったからです。
イヒネが回り込んでいてもセーフはセーフでしょうが、まっすぐホームインする方が 30cmくらい早い と私は思います。
ただしバックホームのタイミングがアウトであればイヒネはアウトで奨成にセーフの可能性が生まれます。
イヒネに聞けば
「その時はスイムでかわすんだよ!」
と言うでしょうが、スイムは「3塁側のバックホーム」に通用しません。
コリジョンルール
奨成の走塁は昭和の走塁。「キャッチャーのブロックをかわす走塁」です。
イヒネの走塁は「最短距離でホームに突っ込む走塁」です。
ソフトバンクの走塁メソッドは「コリジョンルール」を信頼した走塁です。コリジョンルールでは基本「キャッチャーのブロック」が許されません。
しかし話をややこしくしているのが「バックホームが3塁側に逸れたらブロックOK」というルール。アメリカでもそうなのだろうか?
外野手はなかなか難しいですが、内野手のバックホームはみな露骨に ホーム正面より少し3塁側 を狙っています。12球団全部です。
三塁手だけは走者にぶつかるのでできませんが、それ以外の内野手は全員少し3塁側にバックホームしています。狙いはもちろん ホームベースをブロックするため です。
アメリカは知りませんが、日本プロ野球はバックホームが3塁側に逸れた時のホームブロックは 合法 です。この時イヒネは必ずアウトで奨成にはブロックをかわせる可能性があります。
だからと言って私は奨成の走塁を手放しで賛成しません。あいつはホームが空いてる時も回り込んでホームインしているからです。上の2つの動画で証明しました。あれ、いつもなんですよ。佐々木泰もよく回り込んでる。
私はカープもホームに最短距離で突っ込んでもらいたい。ソフトバンクの走塁に賛成です。
「もしブロックされたらどうすんだ?」
あまり大きな声では言えませんが、その時は
ぶつかりゃいい んじゃないですかね?
相手のキャッチャーをぶっ飛ばせ。
ところが今のルールだとこれが アウト と判定される確率が高いんですよね。
NPBのコリジョンルールはこちら。
走者が明らかに守備者に向かい起きた本塁での衝突プレイや、守備者が明らかに走者の走路を妨害して起きた本塁でのプレイ(衝突を含む)の場合に、本規則を適用する。
要するに「故意の体当たり」と「故意のブロック」を禁ずるというルールがコリジョンルール。
故意かどうかは 審判のさじ加減 であります。
導入後10年間の「判例」では「3塁方向へのブロックは合法」で「走者の体当たりはほぼ全部違法」です。データはありません。私の肌感覚です。
走者は勢いつけてぶつかるため、故意でなくてもアウト判定になることが多い。多いというか「ほぼ全部」です。
捕手は静止して走者をブロックしてるので、監督がブーたれても走者と乱闘になることは少ない。だからこちらもほぼ全部アウト判定されます。
コリジョンルールは捕手を守るためのルールなので「捕手有利」が基本 のようであります。
結論
私はカープにもまっすぐ早くホームインしてもらいたい。回り込むとセーフがアウトになりそうだから。
しかし走者のケガのリスクがアップすることは事実です。上の動画のイヒネのホームインはヘッドスライディングのクロスプレーで、いいボールが来ていたらイヒネがケガするリスクがありました。
ナイスバックホームの時はネクストバッターの指示も難しいです。右か左かの「判断」はできるんですが、右か左かを「他人へ指示」することが難しい。
クロスプレーのタイミングでは「走者の走塁センス」が問われます。
ソフトバンクの走塁メソッドは「走者はケガのリスクを背負いながら走塁センスを磨け」という考え。
中村奨成の走塁は「ケガのリスクを回避して選手の安全第一」という考え。
意見が分かれるところですが、私はソフトバンクの走塁が好みです。