この物語はフィクションです。登場人物は全て架空のものです。
よろしくお付き合いください。それではどうぞ。
そこへオレンジ色のウサギさんが通りかかりました。
いつも新しいものを欲しがるウサギさん。
ウサギさんは鯉さんが持ってるマルの実が欲しくなり、鯉さんにずるいことを言いました。
ウサギ
やあ鯉さん、こんにちは。
鯉
こんにちは。ウサギさん。
実は僕、ニシムラの種を持ってるんだよ。
このニシムラの種を広島にまくと、きっと大きな花が咲いてたくさんの実を付けるよと思うよ。
ホント!?
ウサギさんの種はいつも甘くて美味しいんだ。
こないだはイチオカの種をくれてありがとう。
だから僕のニシムラの種と君の持っているマルの実を交換してあげるよ。
だが断る。
ウサギ
どうしたのさ、鯉さん。
鯉
君にはエトウやニオカもあげたじゃないか。
これ以上マルまで欲しいのかい?
ウサギ
いや別にマルが欲しいんじゃない。
僕のニシムラと君のシラハマが広島で交わるときっと面白い花が咲くだろうって話さ。
鯉
だいたい15年前、ニシムラを独り占めしたのは君じゃないか。
ウサギ
おいおい、何を言うんだ。
ニオカもニシムラも自分で尻尾をふってウチに来たんじゃないか。
鯉
ふーん。じゃあコバヤシをくれよ。
ウチのユウスケやショウセイといい花を咲かせてあげるよ。
ウサギ
コバヤシは出せない。
鯉
なあウサギさん。もう他人のものを欲しがるの、いいかげんにやめなよ。
君もイマムラとかヤマモトとかいい種をたくさん持ってるじゃないか。
どうしてそれを君の庭で育てないんだい?
ウサギ
人工芝だから種をまく土がないんだ、ウチは。
鯉
そうか、それは気の毒だな。
天然芝の庭の作り方を教えようか?
ウサギ
いらないよ。ウチは狭い箱庭でいいんだ。
鯉
とにかく君のためにならないからマルの実はあげない。
もっと自分で種をまいて大地に根を生やさなきゃ。生え抜きって言葉知ってる?
ウサギ
ちぇっ、もういいよ。
マルは要らないよ。埼玉のアサムラんとこに行ってくる。
鯉
だめだ、こりゃ。
昔々あるところに、山を歩いている1匹の鯉がいました。
鯉はおいしそうなアライの実を持っていました。
そこへ黄色いトラさんが通りかかりました。
いつもお腹がすいてるトラさん。
トラさんは鯉さんの持っているアライの実が欲しくなり、鯉さんにお願いしました。
トラ
やあ鯉さん。こんにちは。
鯉
こんにちは、トラさん。
トラ
ちょっとお願いがあるんだけど、そのアライさんの実を僕に譲ってくれないかい?
鯉
ええー!いやだよ。
せっかく9年もかけて100打点の四番打者に育てたんだ。
こないだカネモトの実やシーツとマチダもあげたじゃないか。
トラ
そうなんだけど、まだお腹がすいちゃって・・・
ぼくどうしていつもこんなにお腹がすくんだろう?
鯉
しょーがないなあ。じゃあ僕のアライさんと君のアカマツの種を交換だ。
トラ
わーい!これでもうツラくない。ありがとう鯉さん。
鯉
どういたしまして。
さ、僕はまたアカマツの種を一生懸命育てることにするか。
10年後・・・
トラ
お久しぶりです。鯉さん。
アライさんは元気でやってますか?
鯉
ありがとう、トラさん。君が返してくれたアライさんはとっても頼もしかったよ。
それにアライさんの種をまくと、まわりの若い芽がどんどん成長するんだ。
僕の庭に一番必要だった種はこのアライさんだったかもしれない。
トラ
ふーん。羨ましいけど、なんだか僕も嬉しいよ。
鯉
ところでトラさん、今日はどこに行くの?
トラ
うん。埼玉のアサムラの実と、札幌のナカタの実を買いに行くんだ。
鯉
ちょっとトラさん、君のチームにもオオヤマとかフジナミとかいるじゃない。
食べ過ぎだよ。太っちゃうよ。
トラ
オーサカトーインは集めないといけないんだ。
鯉
でもモリを指名しなかったじゃないか。
トラ
あの時はピッチャーが足りなくてさ。
それでオオセラに行ったんだけど。
鯉
うーん。僕はアサムラとナカタはやめといた方がいいと思うよ。
トラ
どうしてだい?
鯉
だってイトハラとかオオヤマとかいるじゃない。
ウエモトもどうすんの?
トラ
トリタニもいるしニシオカもいる。
鯉
ねえ、あんまり欲張らない方がいいよ。
それにニシオカとナカタを一緒にするとなんだかいやな予感がしてくるよ。
トラ
そうかな。
鯉
そうだよ。
君のとこもオオヤマ、ホウジョウ、イトハラで戦うべきだよ。
トラ
ウエモトはどうしよう?
鯉さん、要らない?
鯉
悪いけど要らない。
トラ
アサムラ欲しいなあ・・・
鯉
だめだ、こりゃ。