安仁屋算と東出算

今オフ解雇するべき選手がカープにいない問題。
さまざまなご意見を頂戴しました。ありがとうございました。

2日連続で私が主張しております内容は
「カープには左投手がたくさんいる!」
「カープは球団もファンも、遅咲き選手の成長を待つもんだ」
の2点であります。

まず「左投手」の件。
この話は今日で終わりますけれども、
「中村恭平は間違いなく一軍で使える投手である」
が私の考えです。

この「使える」という言葉の意味が意見の分かれるところなんですよね。
私の言う「使える」は「一軍ローテで2ケタ勝てる」ではありません。
私の言いたい「きょんぺーは一軍で使える」の真意は「きょんぺーは一軍ローテの谷間に先発し、50%の確率で5回3失点が期待できる」という意味です。
ちなみに「佐藤祥万が一軍で使える」の真意は「ショーマは延長戦でピッチャーがいなくなった時、投げさせるべき投手」であり「1~2点ビハインドならば中田と一岡を休ませることができる投手」であるという意味です。

今日は中村恭平の話をします。
まず安仁屋算ってありますよね。
カープ大好きOBで、第一次カープ黄金時代の投手コーチを務めた安仁屋宗八さんが
「今年のカープは強いよー。まず佐々岡が15勝でしょ、黒田が20勝、澤崎が12勝、河内が復活して13勝・・・」
開幕前に先発投手の勝ち星を予想して、いつも100勝以上しちゃうという面白話が有名な「安仁屋算」であります。
この「安仁屋算」に近い計算、ファンはみんな小学生の頃にやってましたよね。

安仁屋算のどこに問題があるかと言うと、言うまでもなく「公式戦が143試合だということを忘れている点」です。
ジョンソンが20勝、大瀬良が15勝、野村が18勝、薮田が20勝、岡田も20勝。これで93勝。
もちろんこんなことになるはずはないんです。
先発登板数で考えましょうか。
先発投手が20勝するには約30試合は登板しないといけないでしょう。
ジョンソンが30試合、大瀬良が25試合、野村が28試合、オカヤブがそれぞれ30試合。
ほーらもうこれだけで公式戦の試合数が143試合です。

近年の先発投手は中6日で投げますので、今季最も数多く先発したGマイコラスでやっとこさ27試合です。
つまり近代野球では先発投手6人と、リリーフ陣が6~7人を一軍登録するチームが増えています。
というかほとんどこれでしょう。今年、先発投手を「基本・中5日」で回したチームはたぶん無いと思います。

ですから中村恭平がチームに必要なんです。
なんでそうなるのか?
それは
「適度にキャリアがあるから」
「年俸が1000万円だから」
「奥さんがグラビアアイドルだから」です。←嘘

ファームの投手全員が「一軍で2ケタ勝てる力」を持ちますと、球団は破産しますし、チーム内ももめます。
「俺を試合に出せ!」
「トレードに出してくれ!」
巨人じゃないんですから、カープでは年俸1億円のレギュラークラスを二軍で飼殺すことはできません。
それに選手本人のことを思うと、やるべきでもありません。

今年30歳の今井啓介や、29歳の中村恭平のクビを切り、22歳の即戦力投手を2人獲得するとします。
2018年の一軍ローテはKJ、薮田、岡田、ノムスケ、大瀬良、祐太の6人が第一候補。
そして二軍に戸田、福井優也、九里、加藤、高橋昂也なども控えます。
ここに即戦力で2ケタ勝てそうな投手を1人指名はいいけど、2人は多いんじゃないかと私は思います。

球界には
「ピッチャーは何人いてもいい」
という殺し文句もあるんですが、やっぱり先発は6人が基本。
私は即戦力ルーキーよりお岡田や祐太を一年間ローテで回したいです。
さらには6番手7番手の争いに戸田隆矢を加えたい。一昨年のあのストレートは必ずや復活するものだと信じているからです。

お分かりいただけましたでしょうか。
私の発言した「福井を金銭トレードで放出したほうがいいかもしれない」の真意は「福井に年間150イニング以上投げてもらいたい」という意味です。
中村祐太が今年ミニブレイクしました。
マエケンを思わせるスピンの効いたストレートは魅力たっぷりです。
今年日本シリーズに出られたら、一番通用するのは祐太だと思っています。
交流戦ではソフトバンク相手に失点しましたが、一番知られていない投手なので。
来季、ジョンソンが復活すれば本当に大瀬良までの先発5本柱は盤石です。6番手が祐太と福井と九里と戸田の争い。

30歳で今季年俸2400万円の福井優也が来季も「先発7番手」で良いでしょうか。
良い!というご意見も支持しますよ。私はカープの福井が大好きなんで。
ただし放出すべき!という意見も支持します。福井が先発ローテでバリバリ投げる姿も見たいですから。
要は球団の考え方ですよ。
先発ローテ争いで岡田明丈、中村祐太より福井優也を選ぶという考え方も支持します。
安仁屋算ならぬ私の「東出算」は先発登板数143試合で考えます。
(注:私のHNが「東出世代」なので東出算と言いました。東出輝裕コーチとは無関係ですよ)

先の先発5人衆は25試合×5人=125試合を先発してほしいです。
残りの先発投手はたった19試合。もちろん「5人衆にアクシデント」はあります。2017シーズンは5人で先発試合はジャスト100試合です(薮田先発は15試合)。

お分かりいただけるかと思いますが、年俸2400万円の30歳の福井優也には2ケタ狙える力があります。
こんな選手を二軍に置いておくことをどう捉えるかです。
「チームの層の厚さ」とも言えますし、「福井個人がかわいそう」とも言えるわけです。
2017年の開幕前は、福井は5~6番手を争う投手でした。しかし薮田が登場し、祐太が登場しました。
2018年の福井は「先発7番手争い」になりそうなんです。
出すんなら一年でも早いほうがいいかなと思うんです。
寂しいですけども、私は福井本人がカープでの自分の今の立場をどう感じているか聞いてみたい。非常に興味深いです。
(ちなみに現役選手に妄想インタビューはやりにくいのです)

福井1位の時に2位指名を受けたのが中村恭平。
半年前に結婚したばかりの29歳。マエケン世代。
この選手を使えないとか切るべきとかっていう考えは「カープ球団の体質じゃない」と思うんです。
ま結婚は本人の都合ですから球団には関係ありませんが、大きな故障のないドラフト2位を29歳で私は切らないと思います。
彼の今後数年間の現役生活で「先発で2ケタ勝つ」ことはおそらくないでしょう。
そもそも年間10試合先発することがないと思います。
しかし、「先発7番手として二軍で調整しつつ、ローテの谷間で5~6イニングを埋める」仕事は十分にできると思うんです。
逆に言えば、この仕事を福井優也にさせるわけにはいかないと私は思うんですよ。

ですから1位の福井は金銭トレードもあり得る。本人の意向を優先したい。他球団でチャンスを掴みたい木村昇吾パターンです。
2位のきょんぺーは奥さんを守るために、今年やってきた「二軍で先発しながら一軍の有事に備える仕事」をもう一年やっていいと思うんですよ。

いかがでしょうか。
一軍の先発5人衆が合計80試合しか先発できないような事態に陥れば福井優也なしではシーズンを乗り切れませんが、そのために福井を二軍に置いておけますかという話です。
これが私の東出算です。