45リチャード=ランスは人気者 [広島東洋カープOB]

リチャード=ランス

1956年生まれ。外野手。左投げ左打ち。

1987年カープ入団。背番号45

山本浩二の次のカープ四番打者。三振かホームランかの「超一発屋」は21世紀の今なおネタにされるオモシロ外国人でした。

もくじ
■ポスト山本浩二
■個性的なバッティング
■ランスに関する「ネタ」
■後世に残した影響


 

ポスト山本浩二

1986年10月27日(月)、カープが西武に負けて日本シリーズ終了。浩二引退。

この年のオフ、カープは新外国人として大砲のリチャード=ランスと内野をどこでも守れるランディ=ジョンソンを獲得。ジョンソンはもともと「衣笠の控え」でしたが、ランスへの期待値は「ポスト山本浩二」でした。ハードル高すぎ。笑

それでもランスはオープン戦と4月は打率.350で打ちまくり、カープファンの度肝を抜きました。

「引退した浩二より打つじゃないか!」とさわぐファンもいましたが、私は「空振りが多くて危なっかしいなあ」と感じていました。

 

1987年のセリーグは三冠王の落合博満がやって来て、阪神バースとの「三冠王対決」に注目が集まっていました。さらにそこへ緊急来日したのが現役メジャーリーガーのボブ=ホーナーでした。

3人はそれぞれに打ちまくり、前半折り返し時点でのホームラン王は25本のバースでした。2位が23本のランス。打率は.198でした。笑

オールスターに選出されたのはバースとホーナー。ホーナーがケガで辞退しましたが、それでもランスは呼ばれませんでした。

後半戦が始まるとランスは8月9本塁打でホームランダービートップに立ちます。32号。

以後はバースに抜かれることもなくホームラン王を獲得。阪神よりカープの方が残り試合がだいぶ多かったため、ランスの本塁打王は割と安心して見ていました。

この頃、激しかったのは正田vs篠塚の首位打者争いと小早川vsポンセの打点王争いでした。

 

個性的なバッティング

ランスは来日1年目に本塁打王を獲得。最終的な成績は以下の通り。

403打数88安打、39本塁打、83打点、打率.218。114三振。

ヒットの半分が本塁打です。文字通り「三振か一発か」という打者でした。そして気持ちいいくらい引っ張り専門の打者でした。振り遅れたヒットは左方向にも出ていましたが、本塁打はほぼ全部がライトスタンドでした。

打撃フォームも独特で、よく打った後に3塁方向に傾いてました。左打者なのにフォロースルー後にホームベースを跨ぐことが多かった。今ではこういうフォームの打者は珍しくありませんが、当時のカープには新鮮でした。なにせランスはジム=ライトル以来となるカープ5年ぶりの長距離砲でしたから。

1988年は阿南監督がこの極端な打法を日本流に改造しようとしたため、ランスはヒットも本塁打も打てなくなりました。

 

ランスに関する「ネタ」

ランスが当時絶好調だった桑田真澄から逆転2ランを打った時、スポーツ紙トップにテレビCMの「タンスにゴン」をもじって

ランスにゴン

という桑田目線の記事が載りました。

 

ランスの応援歌は生稲晃子さんの「麦わらでダンス」

なぜかロッド=アレン小川達明にまで継承されました。

 

1988年は打撃改造がうまく行かず、シーズン途中で退団。打てないイライラから審判にもよく当たり散らしてましたし、出番が終わるとロッカーで読書をしたり風呂に入ったりしてました。

 

2014年にブラッド=エルドレッドがホームラン王になった時、「1987年のランス以来27年ぶり」と報じられました。

2021年に鈴木誠也が6試合連続本塁打を打った時は「1987年のランス、2005年の新井貴浩以来」と報じられました。

 

後世に残した影響

1987年にランスが残したインパクトはある意味、赤鬼ホーナー以上のものがありました。

現に21世紀の今日においても、打てない外国人選手には「まずランス」を期待されます。全部打てなくてもいいから、まずは甘い球を仕留めろという意味で。

1987年のランスは三振率28.3%、OPS.859。

ハッキリ言ってこれぐらいの外国選手は今ではゴロゴロいます。当時の野球は「バットに当てないと何も起こらない。転がせ。三振するな」でした。大型扇風機への風当たりは強かった。「昭和のランス」はよくネタにされましたが「令和のランス」は決して特別な選手ではないのです。

2021年パリーグ三振王の甲斐拓也の三振率は35.1%。ヤクルトの塩見泰隆は32.9%です。ランス以上に三振率が高いのです。村上宗隆で26.7%、往年のラルフ=ブライアントはNPB通算で39.8%です。ランスは28%。カワイイもんじゃありませんか。笑

1988年9月にランスはカープを退団。その頃、近鉄のブライアントは1試合3本塁打を放ち8ゲーム差の西武を猛追し始めました。

なんでランスは笑われて、なんでブライアントは英雄なのか? 私には合点がいきませんでした。

 

OPSという指標も最近ブームですが1987年のランスがOPS.859。2021年の坂倉将吾は.857なんですよね。丸が.860、岡本和真が.871。近代野球では7番に.859がいるというのはかなり驚異的であります。

ランスは打率最下位の三振王で本塁打王を獲りましたが、2013年のアンドリュー=ジョーンズは打率31位で日本一を穫っています。OPS.845。

世が世なら7番ランスは四番打者レベルに貢献度の高い打者なのです。

2021年シーズン、私が「クロンを使えクロンを使え」と言い続けたのは伊達じゃないのですよ。

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おしまい
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