2023.3.4(土)
ソフトバンク 0-2 広島 福岡D
見所の多い試合でした。中でも私は新井の采配になかなかセンスの良さを感じました。
それを今から解説します。今朝のテーマは「試合の流れ」です。
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相手の嫌がる野球
人のいいことで知られる新井貴浩ですが、一軍監督に優しい人はダメ。不向きです。
佐々岡真司がそうでしたよね。1死23塁で正直に代打の切り札を送っていつも相手に申告敬遠されてました。
緒方孝市は厳しい人でしたが、逆日本シリーズ男になった丸と心中しましたし、4点リードでも9回は中崎でした。緒方の場合は優しいと言うよりも、九州男児として「相手の嫌がることをするやつは卑怯だ。男じゃない！」と自分を厳しく律していたのでしょう。高倉健さんも相手が嫌がることを絶対にやりませんでした。
新井は昨日ちょっとやったんですよ。ソフトバンクの嫌がることを。
それは7回表1死1塁。打者大盛穂が強いゴロで投手の足下を抜きながらも、セカンド三森の美しいグラブトスから「4→6→3」のダブルプレーに倒れた瞬間。スリーアウトチェンジ。
2点を追いかけるソフトバンクは最高のリズムでラッキーセブン突入。チアガールのお姉ちゃんたちが勢いよく飛び出してきて「それ行け若鷹軍団」のイントロが流れ始める。ドーム球場にファンの反撃ムードが高まる。
と、ここで新井貴浩が登場。
指で四角い箱を作り、審判に声をかけました。
そうです。
新井監督初のリクエストです。オープン戦なのに。笑
それも大盛はけっこう余裕のアウトだったのに。笑
球場は「何々？どうしたの？」みたいな雰囲気。チアガールのお姉ちゃんは一旦とぼとぼと引き下がりました。
アナウンサーは「うーん・・・微妙ですねえ・・・」と気を遣ってくれましたが、大盛は余裕でアウトでした。
なのに新井はリクエスト要求。審判は1分で戻ってきて力強く「アウト！」を宣告。新井監督は帽子を取って了解しました。
わずか1～2分のことでしたが、私は
「新井もなかなかやるな･･･」
と思いました。
ホークスが2点負けてる7回表。
9番小園がライトへの美しいヒットで1死1塁。小園はこれで3打席連続出塁。
打順は1番に戻って大盛穂。痛烈な打球がピッチャーの足下を抜けました。
それに三森が素早く反応。美しいグラブトスからガルビスの強肩。俊足の大盛を一塁でアウトにしました。見事なゲッツー完成。
こういうのって反撃ムードが高まるんですよね。守りから攻撃のリズムを作る。
「次の1点」が勝負を決めるという展開で、相手チームの絶好調男に打たれて上位に回る。
1番打者にも良い当たりを打たれるが、バックが守備で投手を助ける。
んで7回裏。ホークスのラッキーセブン。カープのマウンドはルーキーが投げてる。
新井はこういうの、全部わかっててリクエストかけたんじゃないかなあ。
「こういうの」とはもちろん試合の流れってやつです。
新井は試合の流れを読んでリクエストをかけました。味方のピンチで野手全員がマウンドに集まるようなもんです。間を取るタイミング。
ソフトバンクは良いリズム、良い流れをちょっとだけ寸断されました。
7回裏を3人で抑えた河野佳が自分で持ってきた流れかもしれないけど、私はその前の新井のリクエストからソフトバンクに傾いた流れがカープ側に戻ってきた感覚を感じました。
使える選手と使えない選手
この試合、先発大瀬良が3回を9人で抑えるパーフェクトピッチング。
ストレートがスゴかったですねえ。藤井皓哉より速かった。
ただ大瀬良のいいところは球威じゃなくて、コンビネーションだと思っているので、そこを間違えて力に頼らないでもらいたいですね。
益田と河野。
1ヶ月前よりずいぶん良くなってきましたね。捕手の構えたところに行く確率が投げるたびにアップしています。
益田はツーシームを投げているらしいが、ハッキリ言って効き目は弱い。ただフォークでいつでもカウントを取れるのは非常に大きい。村上宗隆から三振を取ったって話も「なるほどな」と思えるピッチングになってきました。益田にも開幕一軍の目が出てきました。max154km。
河野はmax147km。柳田、ホーキンス、栗原と対戦。ストレートが左打者の内角に小気味よく制球されていました。カット、フォーク、カーブも低めに決まってました。河野は益田以上に面白いと感じる投球でした。勝ちパターンで使えるかもしれない。かもですよ、まだ。
ターリー。
新井にクローザー候補と言わしめたターリーは打者4人と対戦。4人ともにタイミングどんぴしゃでフルスイングされていました。一歩間違えば4本塁打を浴びていたところです。
ストレートの球威は確かにチーム一番かもしれない。だけどクローザーに球威は絶対必要条件ではありません。私は森浦を推します。ターリーは守備も含めてスキが多すぎます。1点差では出せない。
栗林が離脱した時の9回は松本か森浦が適任でしょう。ひょっとすると9回河野佳も面白いかもしれません。昨日のピッチングで妄想が膨らみました。
野間峻祥。
唯一の得点となる2点タイムリー。藤井皓哉の155kmとお化けフォークをファールして、最後にフォークをセンター前。
ボール気味でしたけどこのヒットは値打ちがあります。新井監督も「1番秋山、2番野間」が面白いと言い始めました。
捕手坂倉といい、2番野間といい、新井は私と同じ構想を次々と語ってくれるので非常に嬉しいです。
2番野間はきっと機能しますよ。相手の嫌がる野球ができると思います。
デビッドソン。
ずっと内容が良くないですね。昨日も2打数2三振。
1ヶ月間見てきましたが、このままではデビッドソンは一軍では打てないでしょうね。
1打席目は開幕投手・大関のストライクを見逃した後、ボール球を振って三振。完全にボールが見えていない証拠です。
2打席目は藤井皓哉と対戦。1死1塁。走者マクブルームでした。
藤井は初球をノーマルのセットで投げて、2球目をクイックモーションで投げました。私はデビッドソンがクイックに対応できるかどうかをここまで全打席チェックしてきたのですが、デビッドソンはクイックモーションで投じられた全球に対して100％必ず構え遅れしています。
3Aにもクイックモーションはあるでしょうし、朝山と迎も日本野球の特徴としてクイックモーション対策をデビッドソンに伝えているはず。
そしてデビッドソンの大きな特徴として「あの足の上げ方」があります。
あれだけ足を高く上げてクイックモーションにどう対応するんだろう？ 誰だって気になります。
セリーグの投手もパリーグの投手も走者なしでデビッドソンにクイックで投げてました。んでデビッドソンは必ず立ち遅れていました。
デビッドソンが罠を張ってるのかと期待もしていましたが、昨日の試合で単純にマジでタイミングが合ってないだけだと確信しました。
さらにデビッドソンは昨日で2試合連続DHでのスタメンとなりました。ここも不可解です。
守備に就けない体調なのか？ だから打撃も悪いのか？
私はケビン=クロンは必ず打つと言った男です。今回の予想も外れるかもしれませんが、昨日の藤井皓哉は絶好調ではありませんでした。球も全部高かった。それを3球全部当たる気配すらなく空振って三振です。これで本調子の皓哉や、阪神中日の160km投手を打てるとは思えません。
新井の采配・九州編
さて最後に新井の気になる采配をもう一つ。
昨日は福岡ドームということもあって、九州ゆかりの人をやたらと試合に出場させました。
大瀬良、益田、島内は福岡出身。中崎は日南学園ですが出身は鹿児島。曽根海成は大阪出身ですがホークス出身。
新井らしい思いやり。昭和時代はこういう「錦を飾る」とか「凱旋試合」が本当に多かったんですよ。当時は札幌や福岡なんて1年に1度のことでしたから、実力者を差し置いてでも、補欠のご当地選手をスタメンさせることがよくありました。
今年もカープは交流戦であちこち行くでしょうから、こういう起用が多く見られるかもしれません。
あとこちらは新井の計算なのか偶然なのかわかりませんが、同級生対決も面白かったです。
例えば柳田悠岐vs河野佳。年の差は一回りですが、彼らは広商vs広陵なんですよ。私には県大会の決勝戦のように見えましたね。結果は三振。
5回には正木vs中崎という対戦があって、
「正木って慶応だよなあ。ここで長谷部銀次を出せばチームメイト同士の対戦だよなあ」
と思いましたし、9回に出てきた柳町達も慶応大学で長谷部の1個上。ケンティーとタメでした。
9回表の甲斐野vs末包は東洋大学同級生対決でした。
甲斐野はマジメに投げてましたけど、末包は少しニヤついてたように見えました。
末包は入団会見で「甲斐野や上茶谷に負けない」と言いました。昨日はセカンドゴロで甲斐野の勝ちでした。