得点の取り方【上級者向け】

2025.7.5(土) 

巨人 0-0 広島 東京D 

延長12回引き分け。サッカー界では0対0の引き分けをスコアレスドローと呼ぶ。

カープにとっては「ここ数年で最低なクソ試合」でしたね。選手たちが可哀そうでした。

 

自殺行為

何度も書いてますが、無敵の明訓高校が唯一敗れた相手が岩手県の弁慶高校。

明訓の土井垣監督が相手の挑発に乗って、「1番山田、4番岩鬼」という打順を組んだことが敗因となりました。

明訓高校は普段「1番岩鬼、4番山田」のチームです。それを相手の策にまんまとハマり、自慢のマシンガン打線を自ら解体したのです。

 

昨日のカープのスタメンは「1番末包、4番小園」でした。オモロいと思いましたが、同時に

弱そうだな

とも思いました。

4番小園は1点しか入らない気がするんですよね。こないだ小園は涌井から2点タイムリー三塁打を打ちましたけど、普通のピッチャーは1死2塁で小園にストライクを投げてきませんから。

 

玄人の方には私が「小園はいつも敬遠される」と言ってる意味をご理解いただけていると思います。

野球は点取りゲームです。朝山東洋は打撃コーチなのであいつはいつも「ヒット数」を競っている。でないと1番末包なんて作戦を思いつくわけがありません。

私はロサンゼルス=ドジャースの大谷翔平が1番なのが不思議でならない。大谷はどう考えても3番か4番だろ。アーロン=ジャッジは2番か3番を打つことが多い。

ディフェンス側は走者をいくら貯めてもホームを踏ませなければいいわけで、1番末包が塁に出ても足を使えないし、ホームランを打っても1点しか入りません。私は弱そうだなと思いました。

カープのあるべき姿は「末包の前に走者をためろ」だと思っています。

  

塁に出る人

昨日は初心者向けでしたが、今日は上級者向けの「得点の取り方」を伝授します。

まずバッターには「出る人」と「返す人」がいます。

素人はこのことを知りません。打率は打率、OPSはOPS。

王貞治の打率.300と、正田耕三の打率.300は全然違います。完全に別物です。

 

王が調子悪くて打率.260、正田が好調で打率.330だったとします。

ここで「1番王、4番正田」なんて打順を組むアホは監督に向いてません。素人のOPS野郎です。

打撃には 役割 があります。正田の役割は塁に出て走ること。正田や矢野のヒットでは2塁走者がホームインできないのですよ。

1死2塁で打順正田だとします。相手の外野は2塁走者を返したくないので前進守備を敷きます。

ここで正田がヒットを打っても2塁走者は3塁ストップです。ヒットがもう1本必要になります。正田の得点圏打率はアップしますが、チームに得点は入りません。

 

私は正田に「走者を返せ」と言ってるわけではありません。正田の役割はこれでオッケーなのです。もっと言うと四球でもオッケー。

ところが相手の考えていることは「正田を力でねじ伏せたい」ではなく、ほとんどのケースは「正田に四球だけはダメ」です。正田にヒットを打たれてもまだ走者13塁で、点は取られないわけですから。

 

野球は点取りゲームです。素人はそれを知らない。

得点圏打率が高いのは当たり前です。得点圏では外野が前進し、ヒットゾーンが広い。んで「四球はダメよ」というピッチングをしてくるのですから、ボールさえ振らなきゃ打率は高くなります。

だが得点は入らない。

私がいつも 朝山はヒット数を競っている という意味はここにあります。

「過去の対戦成績が15打数5安打だからスタメン」という理屈は野球の目的を把握していないアホデータだと思います。カビが生えてます。

 

走者を返す人

塁に出る人と走者を返す人の違いは何か?

主に 長打力 ですが、決定的な要因はもう1個あります。それは

打順 です。

長打力がないヤツでも打順3~5番でスタメンすればそいつの仕事は 走者を返すこと です。

 

長打力のあるやつを3~5番に置くのが昭和の日本野球でしたが、近代野球では2~4番にならべたりもします。

カープ3連覇時代は1~3番がタナキクマルでした。1番タナは小力があり四球100個選べます。

2番キクは積極的なヒットメーカー。セリーグ最多安打1回。2回やってないっけ?

3番マルはオールラウンダー。ヒットも打てて四球も選べる。

ネーミングされたのはタナキクマルまででしたが、4番鈴木誠也と5番松山竜平まで打線は固定されていました。6番はエルドレッドとか新井貴浩とか。

 

田中広輔は完全に出る人。

キクとマルは出る人と返す人を両方できた。

誠也と松山は完全に返す人。

もしこの打線を「1番誠也、4番広輔」に変えればどうなるでしょうね?

オモロいとは思いますが、たぶん三連覇は厳しくなるんじゃないでしょうか?

 

末包の得点圏打率はこないだまで.400を超えてセリーグ1位でしたが、現在は小園海斗に抜かれて3位です。

朝山はこの数字を根拠に打線をいじくったと思われますが、小園は塁に出る人です。返すこともできますが、それは「ついでにやってる」というか副産物的な効果なのですよ。

小園が4番を打つのは緊急事態の応急処置です。ファビテロが好調な時に取るべき作戦ではありません。誠也がいるのに4番広輔とか4番キクみたいな作戦です。

 

「相手との相性が…」をやっていいのは「塁に出る人」の話です。

相手との対戦成績や相性でいじくっていいのは「塁に出る人」オンリーです。

「返す人」の役割はどっしりと固定しないといけない。それが昭和の日本のクリーンアップでした。王貞治はたまに4番も打ちましたが、基本は3番で4番長嶋の前を打ってました。

 

できれば塁に出る人の打順も固定したい。役割がはっきりするからです。

相手との相性を見て組む日替わりコロコロ打線はヒット数が増えて、得点は増えないアホ野球になりがちです。

交流戦明けの8試合でカープは10点しか取れていません。35イニング連続無得点中。

この8試合、毎日打順が異なります。2番打者は8試合で6人も変わっており、4番打者も8試合で3人います。

走者を返す人はあまりいじくらない方がベターです。

 

坂倉vs岸田

以上の話を象徴するようなシーンが昨日の試合の中にありました。

7回裏0対0、2死3塁、投手島内、打者7番岸田。

島内は3球で岸田を追い込みカウント1-2。

坂倉は高めのつり球を見せてカウント2-2。

この日の解説黒田博樹は

「1点勝負ですからカープバッテリーは次の8番門脇のことも頭に入れて、慎重にピッチングしないといけないですね」

と言いました。

 

坂倉は5球目6球目にチェンジアップを要求。2球ともファール。カウント2-2。

「岸田選手はやっぱり捕手ですね。しっかりチェンジアップをマークしてアウトになりにくい打撃に徹しています」

「カープバッテリーにしてみれば『チェンジアップは怖いな』というバッターの反応ですね」

 

7球目。珍しく坂倉がタイムを取る。

決断力の鬼、坂倉がサインを決めきれない。

「そりゃ迷いますよ。低めのチェンジアップを振らせたいところですが、バッターの反応は明らかにチェンジアップ狙いです」

 

迷った坂倉が要求した球はインハイのストレート。昨日代打キャベッジに決勝ホームランを打たれたタマです。

島内のタマは逆球となって低めに外れボール。カウント3-2。

 

「低めに外れましたがストレートを見せることができました。これでチェンジアップを投げやすくなりました。バッテリーは四球オッケーの気持ちでしっかり低めに投げ切らないといけないですよ」

8球目。坂倉の選んだ球はインコースストレートでした。見逃し三振。

島内は首を振ることなく静かに坂倉のリード通り投げ切りました。岸田は全く反動できず見逃し三振。美しいほど動けない三振でした。

日テレのアナウンサーは「ああっ、ズバッと来たー!」と絶叫。

黒田博樹は絶句してました。

 

黒田が絶句した理由は単にスリーアウトチェンジでCMに入るから。

CM明けの黒田博樹はまだチェンジアップの話を続けていて、

「いやあ、あそこまでチェンジアップが来ると決めつけられる岸田選手はやっぱり捕手ですねえ」

とか意味の分かんない褒め方をしていましたが、坂倉にしてみりゃ、今日の試合も大切ですが、シーズンの先でチェンジアップに頼らないといけない場面はたくさん来ます。今日は裏のリードをしたまでです。せっかく昨日キャベッジにホームランを打たれたんだから、その残像を利用しない手はありません。

 

坂倉は交流戦明けから得意技の「内角ストレート」を多用するようになりました。いよいよ牙を剥き始めたのかな?

私が注目している「玉村のインローのスライダー」も右打者に投げ始めました。まだ精度は低いですが、決まりだすと玉村は長いイニングを投げられると思います。

 

得点の取り方まとめ

結論は「野球は点を取りあうスポーツだ」ということ。

攻撃側の目標は点を取ること。

守備側の目標は点を与えないこと。

 

岸田はあの時

「この試合1点で勝てる」

と思っていました。正解。

坂倉は

「岸田を歩かすのは簡単だ。でもそれ以外にもっといい方法はないか?」

と考えていました。んで珍しくタイムを要求しました。

 

セリーグのバッテリーはここで普通チェンジアップを投げるんですよ。確率的には90%以上。島内は球種がチェンジアップしかないため、95%チェンジアップ。

のこり5%がストレートなんですが、これがもし「石原貴規が島内に出したストレートのサイン」なら島内はミット通りズバッと投げ切れず、フォアボールになっていた可能性が高いです。なんでか、わかりますか?

 

友よ、

 

 

その答えは…

 

 

島内が人間だからです。島内は機械じゃないからです。

7回裏の2死3塁。巨人の8回9回は大勢、ライデル。昨日はベンチ外でしたけど。

絶対に1点やれないこのケース。普通は95%チェンジアップです。黒田博樹は3分間で20回くらいチェンジアップという単語を口にしました。

 

打者岸田も点の取り方や野球の目的をよく知っている。ここは95%チェンジアップだとヤマを張っている。

捕手坂倉はそれを見抜いている。岸田はチェンジアップのタイミングでファールし、チェンジアップのタイミングでストレートに差されている。

この場面、インハイストレートのサインを指先で出すことは石原貴規にもできます。

だが試合を決める1点のこの場面で、島内颯太郎にミット通りの素晴らしいストレートを投げさせるリードは坂倉にしかできません。アツにもできない。

 

なんでかというと坂倉はずっと強気のリードを続けてきたからです。昨日キャベッジに打たれた内角ストレートを今日も土壇場で岸田にぶっこむ。

岸田に一発はありませんが、走者が3塁にいます。正田でも岸田でもヒットが出れば即タイムリーで試合終了です。

走者2塁ならまだ余裕があります。カープのセンターは中村奨成だから、島内は石原貴規のサインでもビビらずインコースに投げ切れます。

 

だけど2死3塁でインコースにズバっとぶっこむのはピッチャーとキャッチャーの 信頼関係 がないとあり得ません。

言っときますが島内と石原にも信頼関係はありますよ。島内は低めのチェンジアップなら石原の要求通りのコースに投げ切れます。信頼関係です。

だが石原が突如インハイのストレートを要求したら、その時は島内も「うん?それマジで大丈夫なん?」となります。普段やってないことを土壇場でさせようとすると呼吸は乱れるのです。人間ですから。

 

たった1点取るだけで、これほど長い話になるのです。

アホの朝山が思い付きで「1番末包、4番小園」なんてことをすれば、そりゃチーム内はみんな大騒ぎです。

岸田は岸田で次の打者に繋ぐことを必死で考えてます。

島内は島内で走者を出しても得点は与えないぞと考えて投げます。

小園は打順何番でも繋ぎの打撃に徹しています。私はそこが歯がゆい。小園で負けたら本望なので、てめえが一人でワガママに決めるバッティングをしてほしい。 

 

小園海斗はプロ7年目の25歳。

7年目の鈴木誠也はセリーグ三連覇を達成しました。

誠也はこの頃から

「将来はメジャーリーグに行きたい。行ってナショナルリーグの打点王を獲りたい!」

と言い始めました。←言ってません

 

なのに小園よ、スケールの小さいバッティングをするんじゃない。

俺たちはともに戦ってきたじゃないか、今までもこれからも

お前が決めろ。小園。打順は何番でもお前の自由なバッティングが見たいんだよ。

 

話が逸れました。

得点の取り方。まとめ。

まずは「出る役」と「返す役」の役割を決めること。

小園は両方できるから打順1番か2番。

奨成は俊足ですが私は「出る役」にはあまり向いてないと思います。大盛と矢野はまんま「出る役」です。

末包ファビテロ坂倉は純度100%の「返す役」。打順2番は面白いけど1番はないと思います。

 

対戦打率などクソのクソ。

打者の役割を見極めて打順を組む。そして出る役が塁に出て、返す役の前に走者をためる。

それができなきゃ完封されるまでです。末包と奨成で初球エンドランはアホなギャンブル。宝くじ戦法です。


おしまい
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ありがとうございました。

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