出塁率は2種類ある

普段からデータ野球を完全否定している私ですが、本日も「出塁率順に打順を組む愚」について解説します。

2022年のカープは打順1番西川龍馬、2番菊池涼介、3番小園海斗、4番松山竜平で開幕します。

2020年の抑えスコット、2021年の1番田中広輔に比べると2022年の開幕は比較的静かです。

ただしあくまでも「比較的」でありまして、佐々岡1年目の「抑えスコット」はそれはそれは強烈なインパクトでした。当ブログでも激しく批判しましたが佐々岡はオープン戦の数字(6イニング自責点2)だけを見てスコットを9回に投入し、開幕2週間で0勝2敗0セーブ。防御率21.00でした。


 

今年の開幕オーダー

昨日、森浦大輔と林晃汰が2軍に降格しました。

林はまたライトに引っ張れなくなっており、森浦はおそらくコンディション不良。ボールは来てましたよ。

これで例の「1番龍馬、2番キク・・・」と「7回島内、8回中﨑」が実現に向けて大きく前進しました。私は8回ザキも否定しています。いきなり8回は心配です。8回は島内で、7回を流動的にするべきです。例えば先発投手が7回まで投げるとか、相手打線に合わせて塹江orザキとかです。私は松本より黒原のほうが面白いと思ってます。

打順にしても佐々岡は「西川龍馬を1番にしたのは苦肉の策」と語っており、大盛や野間の出塁率が伸びなかった点を問題視しました。スポニチ

 

出塁率の値打ちは打順によって異なる

■主な現役打者の通算出塁率(NPB限定)
1位 イチロー 9年 .4208
2位 柳田悠岐 11年 .4206
3位 吉田正尚 6年 .416
4位 鈴木誠也 9年 .414
5位 近藤健介 10年 .412

青木、福留、糸井は.380~.390
鈴木誠也は右打者でこの数字
アレックス=カブレラは12年で.398

 

イチローのNPB時代の通算打率は.353です。出塁率と打率の差は7分もあります。案外NPB時代のイチローは四球も多く選んでいました。

ギータ、正尚、誠也は強打者ゆえの出塁率4割。特に唯一右打者でランクインしている誠也の異次元さが際立っています。山本浩二の通算出塁率は.381、落合博満.422。歴代の右打者と比較できる誠也はやっぱりスゴかった。ちなみに日本記録の王貞治は比較対象外です。笑

 

そしてもっと立派なのはリードオフマンタイプで出塁4割前後をキープしている青木宣親です。福留孝介は強打者とチャンスメーカーの中間くらい。近藤健介と糸井嘉男も中間ですが福留よりは「出塁寄り」だと思います。福留の打順が3~4番なら、近藤と糸井は2~3番という感じ。

4番打者は敬遠されるが2~3番は敬遠されません。だから「2~3番の出塁4割は4番の4割より値打ちが高い」という意味です。ややこしいですか?笑

そして最も値打ちが高い出塁率はむろん「1番打者の4割」です。ピッチャーが1番打者に四球を与えることは最もやってはいけないことです。その中で4割も塁に出られる1番打者は理想的であります。

 

1~2番打者の出塁率

ではカープ歴代1~2番打者の出塁率はいかなるものか、見ていきましょう。

■カープ1~2番打者・通算出塁率ランキング
1位 緒方孝市 .365
2位 山崎隆造 .355
3位 田中広輔 .350
4位 正田耕三 .345
5位 西川龍馬 .343
6位 野村謙二郎.340
7位 高橋慶彦 .333
8位 野間峻祥 .319
9位 菊池涼介 .318
10位  小園海斗 .294 ※赤字は現役選手

緒方孝市や西川龍馬は純然たる1~2番打者ではないため、正田や慶彦に比べると2~3分有利ではあります。

ということはデータ上では山崎隆造や田中広輔の3割5分というのがカープ史上最高の1~2番打者出塁率。4割前後の青木とイチローもスゴいのですが、相手投手に投げさせた球数や進塁打によるアウトの数も含めると1~2番打者の田中広輔と山崎隆造もかなりハイレベルな仕事をしていたと思います。

 

んで今のカープには粘り強く出塁できる打者が確かに少ない。1番打者には出塁率.350以上を求めたい。

高橋慶彦や野村謙二郎が盗塁王を取っていた頃、彼らの出塁率は.350以上ありました。

今年の野間とキクに出塁率.350は望みにくいですが、小園と龍馬、あと中村奨成には大いに可能性があると思います。

 

4~5番の出塁率

■カープ4~5番打者・通算出塁率ランキング
1位 鈴木誠也 .414
2位 金本知憲 .382
3位 山本浩二 .381
4位 坂倉将吾 .365
5位 前田智徳 .358
6位 衣笠祥雄 .345
7位 新井貴浩 .339

いちおうOBでは2000本安打の人だけ集計しました。栗原健太や水谷実雄もしぶとそうですね。

現役では唯一坂倉将吾がランクイン。誠也も現役っちゃ現役。

ただここで皆さんに注目してもらいたいのは7位の新井貴浩です。

彼、不格好なフォームで泥臭く右に左にタイムリーを打ちます。

実は彼、シーズン100打点を4回やってます。一度も打点王になれていませんが。笑

初めてタイトルを獲得した2005年は打率.305、43本塁打、94打点。打順は主に6番でした。この頃の新井はまだ勝負弱かったのです。出塁率も.353でした。打順6番、本塁打40発で出塁率.350はちと恥ずかしい。

新井は2006年以降、振り回す打撃をやめてヒットと進塁打を始めました。以後引退するまでこの打撃で100打点4回と打点王1回(94打点)を挙げるクラッチヒッターとなりました。しかし出塁率はそれほど大きく上昇していません。

元日本ハムの中田翔も新井貴浩タイプかもしれません。本塁打を狙えばもっと打てるけど、チャンスで打点にこだわる。クサいタマにも手を出して自分でヒットする。まだ詳しく知りませんが、今年は中田を見る機会も多いでしょう。

 

結論

1番打者の出塁率は高い方がよい。理想は.350~.400

4番打者の出塁率が高いとつまんない。誠也はほとんど勝負してもらえませんでした。

出塁率に関する日本記録をいくつも持っている王さん。

王さんのキャリアハイ出塁率は1974年の.532です。←ただしタイトル認定前の参考記録。

この年の王さんは三冠王も取ってますが、158四球&45敬遠という日本記録を作った年でもあります。四番長嶋さんが現役引退の年か。そりゃ歩かされるわねえ・・・

 

このように1番2番に出塁率の高い打者を置く作戦はとても正しい。

だからと言って4番タイプの誠也や金本を1番2番に置くのは愚。西川龍馬の1番に抵抗があるのもそのため。佐々岡もこの点は理解しているようなのでまあいいか。

四球で歩かされると悔しい人がチームの主砲。四球ゲットで「よっしゃ!」となる人が1~2番タイプです。

誠也や金本が敬遠や四球で歩かされると寂しいのです。ま、こっちもギータや正尚を敬遠するんだけどさ。笑


おしまい
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ありがとうございました。

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