今日は久々に守備の話をします。
守備は記録に残らないので、素人のみなさんにはわかりにくく見えづらい指標です。
オリックスの中嶋監督が日本シリーズでケガしてる杉本をレフトで使い、キャッチャーの森をライトに入れました。わずか1週間前の話です。
DHなしのセリーグ球場ならまだわかりますが、この布陣は本拠地・京セラドームでの話です。この試合のDHはセデーニョでした。
外野守備の話
結論から言うと、その試合はオリックスが阪神に圧勝しました。5対1。
しかもライト森のファインプレイで試合の流れが決まったという展開でした。
オリックスはセンターに内野手の中川や広岡を入れるなど、けっこう打力重視のオーダーでCSと日本シリーズを戦いました。
私はオリックスの福田周平と宗佑磨の12番コンビが好きでしたが最近は見なくなりました。福田があまり打たないからです。
外野なんて誰でも守れるし、エースが投げる試合だと自分のところに打球が1度も飛んでこない日も珍しくありません。
カープ史上最も酷かった外野陣はレフトアレン、ライト長内、センター西田。ちなみにファーストは小早川でした。
センターの西田ってあの代打の切り札のトラさんのことです。西田真二。背番号28
これは1990年の話ですが、長嶋清幸と高沢秀昭が打てないのでこういういびつな布陣になりました。私はセンター長嶋でいいじゃんと思ってました。
翌1991年に20歳の前田智徳がセンターの穴を埋めてくれて全カープファンが安堵しました。
このように1990年の山本浩二監督と2023年の中嶋聡監督は打力重視のスタメンを組みました。
チームのバランスもあるので一概にどれが正解とは言えませんが、私は外野3人が全員本職でないような布陣は基本的に気持ち悪いです。
オリックスって外野手が足りてないのかね?
セカンドに強打者を置く布陣
このように外野はわりかし無理が利くと言いますか、最悪西田でも務まります。延長戦で投手が守ることもちょいちょいある。
野村克也監督はかつてファーストに遠山や葛西を入れましたが、あれはどうなんだろ?
阪神ファンは喜んでましたが、私はそれほど勝率は高くない気がします。
そして50年野球を見てきた私ですが、さすがにショートとセカンドに本職でない選手を使った野球はまだ一度も見たことありません。
一番ヘンテコだったのはショート中村紀洋とかセカンドマギーとかですかね。二人とも案外上手かったよ。
1980年のセカンド岡田彰布と1981年のセカンド原辰徳もおいおいと思いました。笑
実はカープの小早川毅彦もセカンドを守ってた時代があります。ファースト長内の頃。この時もセカンドに正田耕三が出てきて私はやれやれと思いました。
素人のみなさんは「打たないと勝てない」っておっしゃいますが、私と岡田彰布はそうは思っていないんですよ。
野球って打たなくてもけっこう勝てます。
「セカンド小早川、ファースト長内」や「セカンドマギー、ファースト阿部慎之助」の方が弱いと思います。普通にファースト小早川、ファーストマギーのほうが強いと思います。
要するにセカンドマギーはスケベなんですよ。
阿部もマギーも両方好き。サードは村田修一。
誰か1人に絞って二遊間には守備範囲の広い吉川尚樹を使いなさい。って私はずっと思ってました。
強打者をセカンドに置ければ得点力は上がります。
岡田彰布のセカンドは意外と上手かった。
セカンド原はぎこちなかった。すぐに中畑清がファーストにコンバートされ、セカンドには篠塚利夫が入りました。
浅村栄斗や牧秀悟は本職のセカンドですが、彼らの守備もあまり上手くはありません。私はできれば彼らをファーストで使いたい。できればですよ。
守備って何?
守備って何でしょうか?
私は「守備とは相手の進塁をを防ぐこと」と定義しています。
攻撃=進塁することで、
守備=進塁させないこと。わかりやすい。
エラーしない堅実なプレーも守備なら、ヒット性の打球をアウトにするファインプレーも守備の一つです。
カープの菊池涼介を語る時、素人のみなさんはすぐに忍者という言葉を使います。
確かに若い頃のキクは忍者のようでした。野性味溢れるプレーでした。
だが近年のキクは円熟味が増して職人的になってきました。
職人は「速度」で忍者にかないませんが、「技術」では忍者を上回ります。
東京ドームのファインプレーを見た時、私は「この打球はハヤブサでも捕れない」と言いました。
上の動画のプレーはキクの「速度と野生」によって捕球したものではありません。
キクの「経験と技術」によって捕球した職人的ファインプレーです。詳しくは当時の私が書いたこちらの記事でご確認ください。
キクが11年連続GG賞を逃した今日、私はキクの平凡そうなプレーについて語りたい。
若いキクは忍者でしたがエラーも多かった。追いつけない打球に追いついてエラーと記録されることもありました。
内野手は「保険」をかけながらゴロ捕球をします。保険とは「イレギュラーした時はこう行こう」という準備のこと。キクの保険は他のどの内野手と比較しても飛び抜けておもしろい。
私クラスの玄人になると、キクのところにゴロが飛ぶとたまに「イレギュラーしろ!」と思うこともあるくらいです。
普通、味方の守りでイレギュラーバウンドを期待することなどあり得ません。でも私は見たいんですよ。職人のワザを。
もう1個キクのファインプレーを貼ります。
バリエーション豊富なキクのグラブトス。
さすがの私もコレは初めて見ました。
瞬時の判断。とっさのプレー。
かと思いきや、キクは普段のルーティンワークでこのプレーを練習していました。
下の動画の0:15あたりです。
50年に一度のプレーを毎日練習しているキク。
セカンド守備には「当て捕り」という言葉がありますが、東京ドームのプレーはそれを超えている。当ててはいますが捕ってはいません。跳ね返しているだけ。
まだまだ楽しませてくれるキクの守備。
平凡なゴロのバウンドの合わせ方や、一塁へのスローイングは34歳の今なお進化中であります。
そもそもゴールデングラブ賞を獲れなかったことがニュースになってることがおもしろい。菊池涼介ならではです。