2023.3.9(木) WBCプールB
韓国 7-8 オーストラリア 東京D
WBC2日目。いきなり韓国がオーストラリアに敗れる波乱。
喜びすぎてアウトも痛恨ですが、私が気になったのは9回2死から盗塁アウトでゲームセットになったプレー。
今朝はそのプレーとNPBで現在最もスライディングが上手な選手の話をします。マニアックですよ。
アウトになる理由
まずはこちらの動画をご覧ください。
非常にきわどいプレーです。どちらとも取れるプレー。
だが判定はアウト。決め手になったのは1塁走者のスライディング技術でした。
1塁走者は韓国のエドマン。昨年MLBで32盗塁を記録した1番バッター。ハッキリ言って世界トップレベルの盗塁技術を持つ男。
ピッチャーのクイックは遅いが、投球が外角ストレートだったこととキャッチャーがスゴいボールを投げたことでギリギリアウト。
実況アナウンサーも思わず
「PIN POINTぉ!」
と絶叫したほど素晴らしい送球でした。
韓国はリクエストを要求しましたが判定通りアウト。んで試合終了。
素人の皆さんは「キャッチャーの肩すげえ!」で終わればよろしい。
私は1塁走者のエドマンに「スライディングを教えたい」と考えます。
一発勝負のトーナメント。負ければ終わりのトーナメント。
シーズン50本塁打の扇風機と空振りの少ないいぶし銀。あなたなら、どちらをトーナメントで起用しますかという話。
私は空振りの少ない選手をスタメンに選びたい。古葉監督にそう教えられたからです。
スライディングの基礎
スライディングとは何か? どうしてスライディングが必要なのか?
それは止まるためです。
一塁と本塁は全力疾走したまま駆け抜けられますが、二塁と三塁はオーバーランが許されない。
だから走者はベースで止まらないといけない。実はスライディングとは早くベースに到達するプレーではなく、スピードを殺してベース上で止まるために必要なプレーなのです。
韓国の1番エドマンのスライディングも悪くはないんですよ。普通。基本通りの「二塁で止まるためのスライディング」です。
セリーグの盗塁王、阪神・近本光司も二盗の時はいつも二塁で止まるためのスライディングをします。
二塁で止まるスライディングを私は「受け身のスライディング」と呼んでいます。受け身とは受動的という意味ではなく「ケガしないためにクッションをかける」という意味。柔道の受け身と同義です。
伝説の高橋慶彦と福本豊もスライディングスピードは速いんですが、やっぱりベースで止まるためにブレーキをかける「受け身のスライディング」でした。
21世紀のスライディング技術
ところが2010年頃からプロ野球のスライディングに変化が起こり始めました。
誰が言い出したのか知りませんが、この頃から「受け身をかけずにベースと衝突するようなスライディングをしろ」というのが流行り始めました。
これが一番得意だった選手が福地寿樹です。元ヤクルト。
福地がカープにいた頃はオーソドックスな受け身のスライディングだったように記憶しています。代走福地はよくヘッドスライディングもしてました。
西武での2年間はほとんど見ていませんが、ヤクルトで盗塁王を取った頃にスライディングが変わったなと感じました。
普通の選手は二塁へ滑り込む時、前の足が曲がります。韓国のエドマンもそうなってます。これはケガを避けるため本能的にこうなるのです。
だが近頃の選手は前足を曲げずに伸ばしたままベースタッチする選手が多い。
その筆頭が阪神の中野拓夢です。私が現役選手で一番スライディングが上手いと思う選手が阪神の中野。
阪神近本、ヤクルト塩見、ヤクルト山田も基本通りの受け身のスライディングです。基本通りで悪くないんですが、受け身のスライディングは衝突のスライディングより0.05秒遅いのです。20分の1秒遅い。
カープの選手で最もベースと衝突しているのは曽根海成です。菊池涼介も上手い。
田中広輔は完全に受け身のスライディング。基本に忠実で最もケガしないスライディング。だけどソネキクよりはベースタッチが20分の1秒遅いです。
堂林翔太のスライディングは受け身と衝突の中間くらい。野間峻祥のスライディングは衝突しようとしている意識はわかるがいつもベースを行き過ぎているイメージ。
小園海斗は体が起きたままスライディングしています。だから足ではなく体にタッチされてアウトになる。体が寝ていれば20分の1秒かせげるのにもったいない。
パリーグはあまり詳しくないですがロッテの荻野貴司と岡大海のスライディングはカッコいいです。西武の若林楽人も速い。3人とも衝突系。
その中でも私がピカイチの評価をしているのが阪神の中野です。彼のスライディングが現役選手の中では一番速いと思います。
中野のスライディングはいつも二塁ベースの横っ腹を狙っています。二塁ベースの横っ腹で見事にブレーキをかけています。
前足を曲げて横っ腹に滑り込むのが基本的な「受け身のスライディング」。昨日のエドマンもこうでした。
だが上の動画の中野のスライディングは足を伸ばしたまま横っ腹に到達しています。0:35あたりを見てください。ブレーキのかけ方も絶妙です。3:42の方がわかりやすいかもしれません。
昨日のエドマンは足を曲げながら横っ腹に到達したので20分の1秒差でアウト。
悪くないスライディングですが、所詮アメリカのビッグベースボールって感じがしました。日本の技術はもっと緻密で繊細です。
大谷もビッグだわ
2023.3.9(木) WBCプールB
日本 8-1 中国 東京D
意外に善戦した中国。16個も四球を出しながら日本を8点に抑えました。監督とキャッチャーが見事でしたね。
連日、選手もメディアも大谷大谷、ダルビッシュダルビッシュとうるさいですが、私は昨日の試合で大谷の弱点を5個見つけました。村上宗隆の新しい弱点も1個見つけた。
野球は遠くへ飛ばしたヤツが勝ちではないし、160km出しても勝ちではない。
1点差勝利も10点差勝利も1勝は1勝。同じ1勝だピョン。
ビッグベースボールはやっぱり危なっかしいと感じました。トーナメントでは特にね。
韓国が負けてざまあ見ろとは思わないです。
ただ今日の韓国戦に勝てたら、最終戦でわざとオーストラリアに負けようかなとは思いましたね。笑
そうすれば韓国は予選リーグ敗退。韓国は強いからここで消しとこうかなあという意味です。