広島カープはなぜ三連覇を逃したのか!?

今日、12球団が一斉にキャンプイン。
三連覇を目指すカープの新しい年がスタートしました。
カープ球団の68年の歴史の中で三連覇に挑戦したシーズンが過去に一度だけありました。
それが1981年(昭和56年)です。

 

1980年4月、前年の覇者カープは勝率7割でスタートダッシュに成功すると、そのまま秋までほぼセリーグを独走。
主砲の山本浩二(34歳)は.336、44本、112打点で二冠王。
相棒の衣笠祥雄(33歳)は.294、31本、85打点。
投手陣は北別府学(23歳)が3年連続2ケタ勝利、エース山根和男(25歳)も14勝を挙げた。
高橋慶彦(23歳)も2年連続盗塁王と3年連続のベストナインを獲得。

 

独走で二連覇を果たし、三連覇も見えてきた。
若い新戦力が次から次へと登場。
投手力だけでなく打力もあって全員が走れる。
なんだか現代のカープと非常によく似ていますね。笑
しかしそんなカープは三連覇をかけた1981年、惜しくも2位に沈むのでした・・・
2018年がそういうことにならないように、ちょっとここで1981年の敗因を分析してみましょう。
●1980年(カープ二連覇の年)の野球界の出来事

 

8月4日 衣笠祥雄(33歳)が連続試合出場の日本新記録を達成

 

8月22日 愛甲の横浜高校が荒木大輔の早実を破り甲子園優勝

 

10月5日 山口百恵(21歳)が引退ラストコンサート

 

10月17日 カープがセリーグ優勝

 

10月21日 巨人が長嶋監督(44歳)の解任を発表

 

11月2日 日本シリーズをカープ4勝3敗で勝利。V2

 

11月4日 巨人・王貞治(40歳)が電撃引退発表

 

11月10日 広島・江夏豊(32歳)と日本ハム・高橋直樹(35歳)のトレード発表

 

11月15日 西武・野村克也(45歳)が引退発表

 

11月26日 ドラフト会議。巨人は原辰徳(22歳)を1位指名。

 

ご存知のように1981年のセリーグ王者は藤田・巨人です。
巨人は80年のオフに長嶋監督を電撃解任し、王貞治をも引退させました。
「わが巨人軍は!」の名台詞とともに華々しい引退セレモニーを行った長嶋に対し、王貞治は高橋由伸のように引退試合もセレモニーもなく突然の引退発表となったのでした。
巨人は大ナタをふるい、3年連続V逸の長嶋カラーを刷新。本気でチーム改革に乗り出してきました。

 

そして迎えた1981年のペナントレース。
三連覇に挑んだカープは67勝54敗、勝率.554の好成績をあげるも、新生巨人が73勝48敗、勝率.603。
開幕からぶっちぎりで巨人が4年ぶりにセリーグ制覇。
カープは江夏の穴を若手の大野豊(25歳)が見事に埋める大活躍。しかしいかんせん巨人が強すぎた。
更にこの時代のカープには特定の苦手ピッチャーがいました。巨人の定岡とか中日の三沢とか。

 

この年の巨人はまさに「目の色を変えて」ペナントを獲りに来ました。
江川卓(26歳)が20勝6敗、西本聖(25歳)が18勝12敗。
リリーフには若き角三男(25歳)。この年20セーブでセーブ王に輝きます。
打線も若い人たちが台頭。篠塚利夫(24歳)が打率.357。ヤッターマン中畑清(27歳)は.322、16本塁打。
ルーキーの原(22歳)は主に6番を打ち.268、22本塁打をマーク。新人王。
松本匡史(27歳)も台頭し、山倉和博(26歳)は初めてのゴールデングラブにベストナインを獲得。
ニューヨーク・ヤンキースから移籍してきたロイ=ホワイト(38歳)は前年よりやや数字を落としたが、若手のお手本となる姿やチームの逆境を救う場面の一発が印象的でした。
日本シリーズでも江夏率いる日本ハムを撃破。見事日本一に輝いたのでした。

 

んで、話を2018年に戻します。
二連覇しているカープには確かな実力が備わっており、選手の層も厚いです。
しかし1981年のカープも層の厚いチームでした。そしてこの時のカープは目の色を変えてきた巨人に敗れました。
目の色変えて挑戦してくるチームがあれば、それは今年もカープにとって三連覇を阻む厄介な存在となりそうです。

 

今、セリーグのどのチームが一番目の色変えていますかね?
ヤクルトあたりがやや不気味ですね。
石井琢朗、河田コーチの獲得。智将小川監督に宮本慎也ヘッドコーチ。
このへんのスタッフはちょっとコワいです。選手たちの目の色が変わってもおかしくない。
そして阪神も補強と育成のバランスがいいです。
このチームで一番目の色が変わりそうな男が藤浪晋太郎。いつ20勝しておかしくない選手です。
肩肘の故障がないのなら、目の色が変わった時にセリーグで一番怖い選手は藤浪晋太郎です。
DeNAならやはり筒香嘉智その人でしょう。
子供たちの野球離れに警鐘を鳴らし、自身はしれっと結婚発表。
昨年もWBC疲れを抱えつつDeNAを3位に導いた男。
今はニュースに登場する回数が少ないですが、今年も静かに目の色を変えてやって来ることでしょう。
NPB屈指の実力者だけに「筒香の静けさ」は超ド迫力です。

 

うーむ・・・それなら今年のカープはひょっとして苦しいシーズンになるのか?
しかし実は今、一番目の色を変えてギラギラしているチームは我らがカープじゃないかと私は見ています。
それも若い人たち。
なんか自主トレの時からやたら気合が入っていて、大瀬良も危機感ありありだし、戸田も今年は順調です。
日南の一軍メンバーに名を連ねた坂倉、昂也、美間、庄司、辻、藤井、アドゥワ、幹也、塹江。
西川龍馬、堂林翔太も虎視眈々。野間だって元気です。

 

ここに名前を挙げた人、みんなが「レギュラーを狙う」と公言しています。
いや、素晴らしいです。
実に頼もしい。
二連覇している最強チームを倒そうと目の色変えて一番練習しているのは、実はカープの選手たちかもしれないです。

 

「菊池さんからポジションを奪うぞ!」
「誠也から四番を奪うぞ!」
「ベストナインのキャッチャーたちに勝ってレギュラー捕るぞ!」

 

春のキャンプ、初日からこういう雰囲気がヒシヒシ伝わってきます。
誰もレギュラーを諦めていない感じがします。
坂倉がこのムードを作っているのかもしれませんね。

 

去年もこういう雰囲気ありましたっけね?
去年は黒田の穴がどうのとか、ラミロ=ペーニャの右打席はどうだとか、今年の野間と堂林はがけっぷちやでとか、そんなような話が多かったような気がします。
今年の一軍キャンプはファームも優勝したおかげで、もう20歳ぐらいのホープたちが目白押し!
そりゃドラフトも高校生中心になりますって!
辻空とかアドゥワとかほんまに凄い球、投げてますって!

 

40年カープを応援してきて、ここまで期待の若手が大勢いる年ってまあ記憶にありません。
1991年の緒方、江藤、前田、浅井、石貫、足立、川島、前間とかの時代以来。
三連覇できるかどうかは別としても、この子たちの活躍が私は非常に楽しみです。笑