「妄想面接」月刊妄想カープ

今日もフィクションです。
全部架空の人物なんで、今日は誰にも気兼ねが要りません。
どうぞ、妄想面接をお楽しみください。

加藤
では次の方どうぞ。

ひが
ハイ、失礼します!

加藤
どうぞ、おかけになって。

ひが
ハイ、失礼します!

加藤
私が人事部の加藤、こちらが編集部の水谷です。

ひが
初めまして、東出世代と申します。よろしくお願いします。

加藤
はい、じゃあ早速ですが、ひがさんの志望動機からお聞かせ願えますか?

ひが
ハイ、私は子供の頃から御社の「月刊妄想カープ」の大ファンでして、子供の頃から自分も北別府徹さんやフォーク山根さんのような妄想家に憧れていました。
この度、どうしても夢を捨てきれず御社の採用試験に応募させていただきました。

水谷
ウチは厳しいんだよ、知ってると思うけど。
雑誌のファンだってのはありがたいけど、それとコレとは別だからね。

ひが
ハイ、私の作品を通じ、弱かった頃のカープ選手たちの努力と功績を永遠に記録したいと思っています。

水谷
書類選考の作品読んだけど、ショートプログラムの「2番サード衣笠の是非」はまあまあ良く書けてるよ。
理論と妄想のバランスもぎりぎり保てている。
問題なのはフリースタイルの作品だ。「妄想対決・高橋慶彦vs野村謙二郎」だけど、これはちょっと酷い出来だな。

ひが
そんな!
渾身の一本だったんですが・・・

水谷
この程度の妄想ならカープファンなら誰でも書けるぞ。
だいたい慶彦さんvs謙二郎さんで読者を期待させておいて、両者時間切れ引き分けなんてオーソドックスすぎる!
妄想する意味がない!!

ひが
そ、そんな・・・

水谷
プロレス形式で対戦するという視点は良かった。だが勢いが続かない。
最低でも長嶋清幸&正田耕三の「はぐれヨシヒココンビ」が乱入して場外戦に持ち込む、くらいは妄想しなきゃ。
最低でも、だよ。俺だったら、そこから首領クラスのヘルミッショネルズが登場!みたいな展開も考えるけどね。

ひが
は、はあ・・・さすがですね。

水谷
さすが、じゃないんないだよ!
カープファンの目も肥えてきてるんだよ!

加藤
まあまあジンさん、何もしょっぱなから圧迫面接しなくてもいいでしょう。
私は好きですよ、ピットレポーターの川井一仁さんがスパイス効いてて、まあまあ面白かった。

ひが
まあまあ、ですか・・・?

水谷
お前、うぬ惚れてんじゃないぞ。
俺たちは「妄想」を「作品」と呼ぶ。
そしてその作品を全国200万人の妄想ファンにお届けしなきゃならないんだ。

ひが
ハイ。

水谷
だいたい今のカープは、10数年前俺たちが妄想したカープを遥かに超えちまったんだ。
前田智徳の「夢の貯金生活」とかマエケンが「琢朗さんをCSに!」とか言ってた時代はもう終わったんだよ!
俺たちがAクラスを願ってた時代はもう終わったんだよ・・・哀

ひが
ハイ、黄金時代の妄想作家はこれまで通りではダメだと思っています。

水谷
おいちょっとオマエ、今ここで最も暗黒だった頃のカープのオーダーを作ってみろ。

ひが
ハ、ハイ。・・・では参りますよ。
1番尾形佳紀4
2番シーツ6
3番嶋重宣9
4番ラロッカ5
5番森笠繁7
6番廣瀬純8
7番野村謙二郎3
8番倉義和2
9番長谷川昌幸1
です。

加藤
いいじゃない。なかなかどんよりしてて。
2番シーツは残念だよね。当時の苦しみが伝わってくるよ。

水谷
いや、まだまだだ。
月刊妄想カープならば、模範解答はこうだ!
1番東出輝裕4
2番赤松真人8
3番アレックス9
4番栗原健太3
5番シーボル5
6番天谷宗一郎7
7番小窪哲也6
8番石原慶幸2
9番篠田純平1

ひが
ぐぅわ!!!やられたぁ!!!

水谷
どうだ、これがプロフェッショナルな「妄想暗黒オーダー」だ。

ひが
す、すごいです。よくこんなチームを応援できますね。

水谷
どんよりだけでもダメ、弱いだけもダメなんだ。
このオーダーの暗黒感を説明してみろ。

ひが
ハイ。私はまず4番栗原に目を奪われました。
かの千利休はわびさびの美しさを引き立てるため、一輪の小さな花を狭い茶室に飾ったと言われます。
暗黒期の栗原健太がまさにそれ。
そしてお見事なのがスコット=シーボルです。
彼の個人成績にもガッカリさせられたんですが、私はシーボルの存在にどうしても新井貴浩がチラつくんです。
ですから「スタメン・シーボル=新井ショック」という悲哀が、このオーダーからヒシヒシと伝わってきます。

水谷
うむ、まずまずの分析だ。
だがそこまでなら素人レベルだぞ。その続きを解説してみろ。

ひが
続いて魅了された点が「赤松、天谷、小窪」の平成三銃士の同時スタメンです。
この一軍半の3人がスタメンに並ぶ美しさは「惑星直列」なみの確率で、「打てなそう、絶対繋がんねー」感が満載です。
そして括目すべきは「ショート小窪」で、さりげなくファンに梵の心配までさせるという、素晴らしくどんよりなオーダーです。

水谷
うむ、1番2番の順序と、投手篠田についても同様だ。
しょうがない、「ギリ合格」ってところにしとくか。

ひが
ありがとうございます。

水谷
調子に乗るな。まだ面接は終わっていない。

ひが
はあ・・・

加藤
ひがさん、おめでとう。編集長の一次審査は合格みたいだね。
それでは二次審査といこうか。

ひが
ええっ、まだあるんですか?

加藤
これが最終問題だ。今度は私が出題するぞ。

ひが
ハイ、お願いします!

加藤
今、突如としてひがさんの目の前にドクター・エメット=ブラウンという白髪の外国人が現れた。
そしてスポーツ年鑑とタイムマシーンを君に見せて、こう言った。

ブラウン
ハーイ、スポーツ年鑑アゲルカラ、タイムマシーンにノッテ、2004年のドラフト会議をモウイチド、ヤリナオシテクダサーイ!

ひが
怪しいっすね。

加藤
そうだ、暗黒時代の暗黒ドラフト、それが2004年だ。
カープは投手ばかり7人を指名するが、その7人の合計通算勝ち星は10勝だ。

ひが
7人で10勝・・・一年分じゃないですか。

加藤
そうだ、勝ち頭がドラフト4位・梅津智弘の通算8勝。あとの者は6人で2勝だ。

ひが
なかなか暗黒っすね・・・

加藤
そこでキサマに、あの年のドラフト会議をもう一度やり直させてやる!
この年のドラフト1位は「佐藤剛士、17歳、投手、秋田商工」だ!

ひが
なんか、加藤さんまで妄想するんですね・・・

加藤
そうだ、人事部の俺でさえ妄想する、これが月刊妄想カープだ。

ひが
ハイハイ、俺もなんか調子出てきたし、燃えてきましたよ。
いいですよ、受けて立ちましょう! 2004年ドラフト会議!

加藤
言わなくてもわかっているとは思うが、この年のドラフト会議は「1リーグ構想」からの「選手会ストライキ」、そして「一場問題」等で揺れに揺れた。
那須野はしれっとベイスターズに入団するが、一場は結局巨人を諦め、星野楽天に入団する。
一方高校生も豊作で、北海道日本ハムがダルビッシュ有を単独1位指名。西武も横浜高校の松坂二世・涌井秀章を単独指名。
カープは高校三羽ガラスと言われた佐藤剛士を指名するも、一軍では1試合に登板しただけで、24歳で引退することになる。

ひが
もちろん、知っていますよ。
肩の故障に泣いた悲運の投手です。

加藤
そしてひが君、君は知っている。
やんちゃなイメージだったダルビッシュが、実は研究熱心でNPB史上最強投手へと進化し、今やメジャーリーグを代表するスターターであることを。
そして一見優等生に見えた涌井秀章が意外に自己主張が強く、けっこう扱いづらい大人へ成長することを。
君は今からタイムマシーンに乗って、2004年にバック・トゥ・ザ・フューチャーするのだ!!

ひが
ちなみにこの年の夏の甲子園で、肩を壊した佐藤君をボコボコに打ったのが新進気鋭の済美高校。
2年生エース・福井優也は翌年巨人から4位指名を受けます。

加藤
そうだ、いいぞ。
妄想につぐ妄想、それこそ我が月刊妄想カープだ。

ひが
ドク、ドク!
ドゥーユーヒアミー?

ブラウン
時速88マイル、オッケー?

ひが
オッケー!
タイムスリーーーーップ!!

・・・・

司会
第一回選択希望選手、広島東洋・・・
「さとう、つよし、17歳、投手、秋田商工」

ひが
うっし!

加藤
ひが君、君はダルビッシュや涌井を指名できるのに、故障で活躍できない佐藤剛士をもう一度指名するというのかね?

ひが
ハイ、高校2年生の佐藤君を見たら、彼は絶対にドラフト1位で獲るべき投手です。
球速もさることながら、長身からの角度あるストレート。単独指名できるならば、私はもう一度・・・いや何度でも佐藤剛士を指名したい!

水谷
フッ、いっぱしのスカウト面しやがって。

加藤
いいだろう、ひが君。
君はわが社で、これから妄想家として活躍してくれ!

ひが
本当ですか!?
ありがとうございます!

加藤
フッ、森跳二や金城宰之左を語らせるとうるさそうなヤツだな。

水谷
ああ、なかなかいいセンスしてやがる。

・・・

おしまい

すみませんでしたね。
次からは真面目(?)に妄想します。


おしまい
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ありがとうございました。

-妄想