20勝投手はもう生まれないのか?【前編】

2021.11.27(土)

オリックス 1-2 ヤクルト 神戸GS

ヤクルトが日本一。おめでとう。試合は見てません。

開幕前、私の予想ではヤクルトがセ5位でオリックスはパ6位でした。

私の予想がハズレたと言うより、みんなも1年前は似たような予想だったでしょ。

低い下馬評を作戦と采配で覆した両指揮官。バブリーな補強なんかしてません。創意工夫と若手育成で勝った両チーム。外国人が働いた?そうでもありませんよ。両チームともエースと四番は日本人です。


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山本由伸でさえ18勝

今回の日本シリーズで頭一つ抜けた選手がいましたね。

と言うか今季のパリーグで頭一つ抜けてた投手。

そう。

それが山本由伸。23歳。坂倉世代。

10年前のダルビッシュのようですね。相手が諦める。

今シーズンの成績は26試合、193回2/318勝5敗、防御率1.38、勝率.783、奪三振203、完投6、完封4。太字はリーグ最多です・・・って全部がリーグ最多です。最多じゃないのは負け数だけ。笑

五輪優勝とリーグ優勝。満票で沢村賞。

こんな日本のエースでも勝ち星は18勝でございます。20勝には届かない。

もはやこの先ずっとNPBで20勝投手を望むことはできないのか?

今日は「令和の20勝投手」を考察してみます。

 

パリーグが有利

パの最多勝は山本由伸。18勝。

セが九里亜蓮と阪神青柳。こちらは13勝。

今季はたまたま差が開きましたが、ここ10年間の「最多勝投手の勝利数」にセパの格差は認められません。セの投手の勝利数が多い年もちゃんと半分あります。

ただし私はこの先、20勝投手が生まれる確率はパリーグの方が高いと思います。

理由はDH制度です。先発投手に代打を出す回数が少ないからです。長いイニングを投げるのに有利です。

他方パリーグには代打を少なくしてブルペン9人で戦うチームも多い。セは8人。だから逆にパリーグには先発を降ろして早めの継投策に走るチームも目立ちます。特に西武。

ただ私はパリーグの「早めの継投策」は長続きしないと思います。

中6日の先発投手が5回で降りてちゃブルペンが疲れます。その野球では勝てないと思います。まるで今年の巨人のようです。

今年は規定投球回数に達した投手がセ9人、パ14人。五輪休みの恩恵も受け、去年から倍増しました。来年以降もこれくらいの人数が続くと思います。日本プロ野球が「1週間で6試合」の日程を組む限り、先発ローテは「中6日6人体制」が最も強い。ならDHのパリーグは1億円以上の投手に「最低6回・通常7回」を投げてもらいたいはずなのですよ。

 

最後の20勝投手

2021年現在、NPB最後の20勝投手は2013年の田中将大でございます。ご存じ24勝0敗のシーズン。

■最近の20勝投手
1980 F木田勇  22勝8敗(40)
1981 G江川卓  20勝6敗(31)
1982 C北別府学 20勝8敗(36)
1982 F工藤幹夫 20勝4敗(28)
1984 B今井雄太郎21勝9敗(32)
1985 B佐藤義則 21勝11敗(35)
1989 G斎藤雅樹 20勝7敗(30)
1989 D西本聖  20勝6敗(30)
1990 G斎藤雅樹 20勝5敗(27)
1999 G上原浩治 20勝4敗(25)
2003 T井川慶  20勝5敗(29)
2003 H斉藤和巳 20勝3敗(26)
2008 E岩隈久志 21勝4敗(28)
2013 E田中将大 24勝0敗(28)

()内の数字は登板数です。木田勇はリリーフ登板も多いが、他の人はだいたい全部先発です。

これを見ると20勝するためには30試合近く先発したいところ。今季15連勝した由伸でさえ26試合で18勝です。未来の投手が25試合で20勝することはかなり困難。

2022年のセリーグの日程を見ると、エースが先発する火曜日が25回あります。中6日ローテで25試合先発、追加であと1試合か2試合投げて26~27試合です。今年のカープでローテを守り通した九里が25試合先発、森下が24試合先発です。二人ともコロナで1回か2回ローテを飛ばしました。

カープ三本柱を中5日で回すプランも考えましたが、それをやると今年の巨人のように火曜日に先発した投手が行き場を失い、結局ローテの順番がメタメタになります。原辰徳は火曜の投手を中4日で投げさせましたが、あえなく撃沈。ヤクルトに1ヶ月で10ゲーム差広げられてしまいました。

 

森下暢仁が20勝する方法

よって私は「森下暢仁が25試合登板で20勝する方法」を考えます。

【1】長いイニングを投げる

【2】打線の援護

【3】リリーフ陣の強化

だいたいこの3つでしょう。「カード頭を回避する」も考えましたが消極的なのでパス。1999年の上原浩治は日曜日に投げて勝ち星を稼いでいますが、他の投手はだいたいカード頭で勝っています。森下にも相手エースの勝ち星を消してもらいたい。

【1】長いイニングと【2】打線の援護は当然必要。捕手坂倉と組めば同時に解決します。

今日は特に【3】について語りたい。

リリーフ強化策です。

 

今季の山本由伸は1試合平均7.5回、森下は6.8回を投げました。この「0.7回の差」を「DH制度の有無」とは言わせません。二人ともエースであり「投手の打順」なんかで降りないからです。「0.7回の差」は単なる実力差。

山本由伸が先発した26試合でオリックスは18勝6敗2分です。チームが勝った試合は全部由伸に勝ち星がつき、引き分け2試合も由伸の勝ち星をリリーフが消したわけではありません。0-0と1-1の引き分けです。由伸がリリーフに勝ち星を消された試合は1試合。引き分けの2試合と負けの1試合を勝ちに変えれば、今季の由伸は21勝5敗でした。机上の空論です。

一方、森下は24試合でチームは10勝10敗4分、自身も8勝7敗と冴えない。ところが実は今季の森下もリリーフ投手に勝ち星を消された試合は1つもありません。ちょっぴり意外。不運でも悲運でもなく、テメーの責任で10勝に届きませんでした。厳密に言えば8/31のDeNA戦で森下は勝利投手の権利を1つ消されていますが、この試合は森下も5回5失点でヘロヘロだったので自業自得。

オリックスもカープも「先発は良いがリリーフが弱い」と言われてる割には、エースの勝ち星は無事でした。敗戦処理投手がチーム防御率を悪化させても勝ちパターンの森浦と島内の成績は安定していました。

 

今日から都市対抗

ただし栗林を含めた後ろの3人には「2年目のジンクス」が心配です。

だからカープは左のニック=ターリーを穫ったし、今年も即戦力投手を3人穫りました。

 

今日28日(土)に都市対抗野球が開幕します。

カープのドラ2・森翔平と、ドラ5・松本竜也が登場します。※松本は東邦ガスの補強戦手

外野手の中村健人と末包昇大もチェックしますが、上の2人がブルペン戦力に加わると厚みが増します。フランスアの状態が全く読めないので、せめて枚数を増やしたい。

都市対抗の日程上、カープ勢の登場はやや遅め。30日(火)に東邦ガスの松本竜也、1日(水)に三菱重工westの森翔平、2日(木)に中村&末包です。

今日と明日はカープ勢の出場はありません。

西田真二は明日出るけどね。笑

森下暢仁20勝計画、後編は明日やります。