山崎浩司(やまさきこうじ)
1980年生まれ。内野手。右投げ右打ち。
1998年ドラフト3位で近鉄バファローズに入団。大阪産業大学付属高校。
2004年のオフ、菊地原毅⇔山崎、上村和裕のトレードでカープ入団。背番号00
守備の名手で守備固め要員として17年間の現役生活。通算518試合出場、231安打。
もくじ
■カープでの立ち位置
■尾形佳紀との関係
■守備の名手
■意外な攻撃力
■カープのTシャツは隠し球から
■ジャーニーマン
■カープでの立ち位置
山崎浩司は東出世代。決してバリバリのレギュラー選手だったわけではありません。
山崎がトレードでカープに入団する2004年オフ、カープの四番打者で2年連続20本塁打のレギュラー遊撃手だったアンディ=シーツ(33歳)が退団。
山崎はシーツ退団で一つ空いた内野手の控え要員としてカープに入団。
山崎のカープ在籍期間は2005~2008年7月まで。
梵英心&東出輝裕の黄金二遊間の全盛期と重なります。
山崎の仕事は彼らのバックアップ。彼らが故障した時の控え要員でした。
■尾形佳紀との関係
カープの2005年は1番ショート尾形佳紀(26歳)で開幕。
2番セカンドは東出(24歳)とかキムタク(33歳)とか。
山崎浩司(24歳)は彼らのバックアッパーとしてベンチで控えていました。
この年の1番バッター尾形佳紀は開幕から打撃好調で打率3割をキープし、長打も連発。
オールスターにも出られそうな勢いでした。
しかしそんな尾形も、山崎浩司がスタメン出場する日はショート山崎で尾形がセカンド。
当時の私は「故障もちの尾形にむりさせんなよ」と思っていたんですよ。
尾形はこの年開幕からずっと1番ショートだったんです。
確かにエラーも多かったけど市民球場のショートは誰がやってもエラーするんです。
尾形の守備位置をちょこちょこ変えずに山崎をセカンドで出せばいいのに・・・
そう思っていた矢先、この年から始まった交流戦で尾形佳紀が靭帯断裂。
2005年5月28日。人工芝の西武球場でした。
んで、ここから山崎浩司の出場数が激増し、プロ初ヒットも記録。
96試合に出場し大ブレイク。一軍定着を果たした・・・かと思いきや2006年に梵英心が入団。
東出輝裕も打撃が復調し、2006年以後の二遊間にはつけ入る隙がなくなりました。
こうして山崎はまた代走と守備固めの仕事に戻りました。プロ野球は厳しいなあ・・・
■守備の名手
山崎は守備の名手。カープ時代は主に二遊間を守りました。
一塁と三塁は一度も守っていません。
オリックスに移籍後は一塁も三塁も守りました。
外野も2試合ほど守っています。
守備範囲の広い方ではなかったですが、捕球の堅実さとスローイングの安心感が特長でした。
ハデなプレーの東出や尾形に対し「地味な山崎」という構図。
エラーはするが守備範囲の広い二人と堅実な山崎は、当時のカープのファンで間でも好みの分かれるところでした。
しかしショート東出以降は、シーツ&山崎を支持する「堅実派」の人が多かったです。
記録を見ると尾形のショート守備率は.940。シーツと山崎は.980。
ボロクソ言われてた20歳の東出輝裕が.960。
若かりし慶彦も.960、野村謙二郎は.970。
山崎はやはり安定感が高い。尾形は分母が少ないので単純比較するのは気の毒です。
山崎はユーティリティーなイメージですが、外野と一三塁はほとんど守っていません。
やはり二遊間の安定度が突出していたのです。
ちなみに若かりし新井貴浩のサード守備率は.930。←誰にも言っちゃダメ
■意外な攻撃力
山崎は送りバントも上手かった。「代打でバント」も何度も見ました。
身長も180cmなので特別大きくも小さくもありません。守備要員のイメージなのでなんとなく非力に見えるんですが、たまに引っ張ると意外に打球が飛びます。
たまにドカーンとレフト戦に引っ張って打ってました。
盗塁数は意外にもカープ在籍4年間で1個だけ。通算でも8個だけ。
遅くはないけど、走んなかった。山崎浩司。
■カープのTシャツは隠し球から
山崎浩司を語るうえで避けて通れないのが隠し球。
プロ野球珍プレー好プレーで何度も放送されました。
最初にやったのは2007年の巨人戦。標的は阿部慎之助(28歳)でした。
次にやったのは2009年のソフトバンク戦。標的は田上秀則(29歳)でした。
セパ両リーグで隠し球に成功しています、山崎。笑
当時の阿部はこの年からチームの主将を任され、捕手ながら初めてチームの四番に座るなど、まさに巨人の顔の顔。
その阿部にカープの控え内野手が隠し球。いい根性です。笑
2009年の田上選手は山崎の高校時代の1年先輩。いい根性です。笑
このように山崎浩司はけっして大人しい「いい子ちゃん」ではなさそうです。
意外とチャレンジャーで冒険家です。
ところでカープの隠し球は伝統芸でございまして、大下剛、木下富雄、ティム=アイルランドら名手(?)揃い。
ちなみに2007年に阿部を隠し球で殺したプレーがTシャツになって販売されたのですが、これは2006年「ブラウン監督ベース投げTシャツ」に次ぐカープTシャツの第2号です。
山崎の隠し球がなければカープの伝説「おもしろTシャツ」のシリーズ化はなかったかもしれない!?
ありがとう山崎。
もはやカープ球団のTシャツ経済効果は計り知れないです。
■ジャーニーマン
近鉄とオリックスを2球団と数えれば、山崎は17年間で5球団を渡り歩きました。
んで2015年に35歳で現役引退。
メジャーリーグでは毎年所属先が変わる選手のことをジャーニーマンと呼びますが、山崎もそういう感じ。
レギュラーにはなれないけど、毎年どこかのチームからは求められる必要戦力。
ディス・イズ・プロ野球選手じゃありませんか。
こういう選手も格好いいのです。
「プロのメシが食えるスキル」があることは、めちゃくちゃ凄いこと。
投手の場合でもボールは凄くないけど故障しないとか、すぐに肩ができるとか、こういうのもメシの食えるスキルですね。
山崎は良いコーチになれるんじゃないでしょうか。まだ若いし5球団分の人脈もある。
隠し球の大先輩、立石充男(南海)も山崎の半分しかヒットを打っていませんが、引退後ずーっと30年コーチを続けています。コーチとしてのジャーニーマン。
格好いいです。
プロ野球を支えているのはスター選手だけではないのです。
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