甲子園史上最も美しい投手・川島堅

今日はちょっと長いですよ。
だんだんアツくなって長くなっちゃいました。よろしくお付き合いくださいませ。

今年で100回目の夏の甲子園、地区予選が各地で始まっております。
プロ野球が84年で甲子園は100年です。
凄いですねえ・・・
皆さんは甲子園で一番好きだった選手は誰ですか?
私は堂林翔太です。春夏連続出場。打撃が凄かった。ピッチングの話はしません。
3番の河合も凄かったけどやはり私は堂林。甲子園史上最も美しいバッターです。
顔のことじゃないですよ。バッティングフォームです。
清原より松坂より、私は堂林に燃えました。

昨年は中村奨成が清原の記録を破る一大会6本塁打。
でも何度か書いているように、私は高橋昂也の後輩・清水達也(現中日)と、坂倉将吾の後輩・櫻井周斗(現DeNA)を応援していました。今年はどんな記念大会になるのか、楽しみですね。

さてカープ。
カープという貧乏球団は秋のドラフト会議が「生命線」で「死活問題」であります。
過去に競合覚悟で大物高校生に「特攻」したことはほとんどありません。
外すとダメージが大きいので大物高校生には伝統的に「及び腰」なのであります。
くじを外すリスクもありますが、「育成に失敗するリスク」も考えているからでしょう。
6球団の清原しかり(長冨)、3球団の松坂しかり(二岡東出)、4球団の松井秀喜しかり(伊藤智仁)・・・
7球団の福留、清宮の時はそれぞれ長谷川昌幸、中村奨成。
6球団の菊池雄星、5球団の佐藤由規、松井裕樹の時は今村猛、唐川、大瀬良を指名しました。
田中将大も4球団。でも私はマー君より前田健太を推してました。

カープは若田部健一とか田中正義とか即戦力ルーキーにはけっこう「特攻」します。
古くは1980年。4球団競合のあの人に特攻しました。
じゃじゃーん!
その名はなんと
原辰徳!
衣笠祥雄が当時33歳。うーん、わからんでもないです。
もしくじに当たっていたら原が入団。
30年後に菅野智之が「広島以外行かない!」とか言ってたりして。笑
原の外れ一位は川口和久でした。菅野の年は野村祐輔。
1980年のくじだけは外してよかったです。

しかしやっぱり高校生には特攻しないカープの伝統。
県岐阜商業の高橋純平には行ってほしかったなあ。現ソフトバンク。この時に指名したのは岡田明丈。
そんなカープが5球団競合で特攻した一人の高校生がいます。
たぶんカープが5球団で高校生に競合したのはこの1回だけ。
さらっと出てくる方はかなりの「ドラフト通」。
最後に発表します。笑

そんなカープが3球団以上の競合で高校生のスター選手を獲得したのは過去2例しかありません。
一人は1999年、達川監督のラッキーストライク河内貴哉。
もう一人が1987年の東亜学園・川島堅でした。

■川島堅
覚えてる人のほうが少ないでしょうねえ。東亜学園のエース川島堅。現在48歳。
私の心の中に「夢を見たカープ選手ランキング」というのがありまして、1位が堂林。2位が東出。いわゆるロマン枠です。

「こいつがどれだけ大物になるか楽しみだぜ!」
ってランキングです。独自の見解。

私の3位が川島です。ちなみに4位河内、5位野間。
6位紀藤真琴、7位高木宣宏、8位仁平馨、9位ロビンソン=チェコ、10位小早川毅彦、11位足立亘、12位片岡光宏・・・エンドレスです。笑

川島!
夢を見ました。短い間だったけど。
プロ入り生活7年。18試合に登板して1勝4敗。肩の故障で引退。
1987年の夏の甲子園のヒーローでシンデレラボーイ。
後に「甲子園史上最も美しい投球フォーム」と言われ、伸びのあるストレートと甲子園で一つもフォアボールを出さなかったコントロール。この年限りで現役引退した江川卓と似たタイプだと比較されていました。

西東京の東亜学園は1986年に2年の川島を擁して初出場。初戦敗退。
翌1987年はベスト4に進出。決勝をかけ木内監督率いる常総学院と対戦。
しかし延長10回、2対1で敗れます。
最後は1年生で3番打者の仁志敏久のセカンドゴロを味方がタイムリーエラー。サヨナラ負け。
私はこの試合は見ていません。
なんせ立浪、片岡のPL学園が負けるところを期待してPLの試合ばかり見ていました。
決勝はPL学園対常総学院。
優勝はPL。野村-橋本で春夏連覇。
今なお高校野球史上最強!の呼び声高いチームでした。

さて川島。
私がこの川島君のどこにロマンを感じたか?
まず東京の東亜学園という名前。これが超カッコいい!
智弁学園とかPL学園とかはカッコよくありません。←個人的見解
あだち充さんの明青学園以来のカッコよさ。東亜学園のエース!
名前も川島堅!まるで野球漫画の主人公です!←妄想
もうなんかエースになるべくして出てきた投手じゃないですか。
そして美しいフォームとアウトローにズバズバ決まる145kmのストレート。
左右の違いはありますが、今でいえば高橋昂也の球質に近いです。
燃えましたねー。川島堅。

実はPLばっか見てたんで、高校生の川島の印象はあまり残っていません。すみません。
ただ東京の東亜学園でドラフトの目玉。
この年のドラフトで1位指名で競合したのは長嶋一茂2球団、立浪和義2球団。
そして川島堅に3球団です。

カープに来るはずがない!
来るイメージが全く湧かん!!!
カープは川島に特攻するか、社会人の伊藤敦規に行くのか最後の最後まで迷っていました。

当時はドラフト会議のテレビ中継などなく、夕方6時のニュースのスポーツコーナーで速報が流れます。次は9時40分とか11時とかにスポーツニュースでちょろちょろっと6人の名前が出ます。
ドラフト外は名前が出ません。そもそもドラフト会議で指名されません。
私は毎年ドラフト翌日の朝刊を穴が開くまで読み込んでいました。
夏の甲子園に出てた選手がどこに指名されたかチェックするためです。

川島の抽選を当てたのは嬉しかったですけど、実際にカープに入団してくれるかどうかまだ不安でした。
なにせ当時、東京出身の甲子園のスターがカープに来るってイメージが全然ない!
あれ?
今もない!
今でいえば清宮幸太郎や根尾昴君の交渉権を獲得したようなもの。
ちょっと不安になるでしょ。笑

しかし川島君はすんなり入団。
まじか、まじかよ。本当に「最も美しい投手」がカープに来んのかよ?
背番号21? これ、まんま北別府の後継者やん!

こりゃ楽しみだ。
そして1988年が開幕。今から30年前。
この年に大阪で前田健太が誕生し、田中将大が誕生し、坂本勇人が誕生します。
私は高校2年生でした。

高卒ルーキー川島堅のプロ初先発は巨人戦。
1988年9月25日。広島市民球場。
私は川島の投げているところを見るのは初めて。
ワクワク。ワクワク。

しかしストレートはどれも130km前後。120km台もありました。
スピードガンの故障などではありません。
見るからに遅い。ベテランの北別府より遅い。

「あれ? 甲子園の印象と全然違うな・・・」

しかし初物に弱い巨人打線も凡打の山。
毎回ヒットを打たれるんですがのらりくらりと5回無失点。
0対0。巨人先発は昨年10勝水野雄仁。
6回表、ついに川島がつかまります。
4番原がフォアボール。5番中畑がヒット。2死12塁。
バッターは6番駒田。

「行け行け、まっすぐで行け!」

カウントは忘れましたが2ストライク取ってたと思いますね。
ウィニングショットは130kmのストレート!外角高めでした。
駒田打ちあげる。レフトにフラフラと上がる。

レフト長内がゆっくり下がる。
あれ? まだ下がる。
だんだん長内がレフトのポールに近づく。
そしてポテン・・・とレフトポール際最前列に着弾・・・

巨人先制3ラン! 3対0!

川島はこの回でマウンドを降りる。
高卒ルーキーのプロ初登板。6回3失点。
まずまずの好投です。今の野球なら5回で交代していたかもしれません。

駒田のHRは風に乗ったホームラン。
川島は打率3割の左の強打者を押し込んだんですが、打球はレフトスタンドにギリギリで届いてしまいました。

カープは6回裏に水野を攻めて3得点。
川島の負けを消しました。
8回裏にリリーフの斎藤雅樹から正田が決勝タイムリー。4対3。
9回は津田。対巨人26回戦に1点差勝利。13勝12敗1分でシーズン勝ち越しを決めた。

私のこの試合の印象は「まあ高卒だし仕方がない」
しかし、非常に寂しく感じた記憶があります。
あの熱闘甲子園のダイジェストで見ていた川島のストレート。
ドラフト前後の川島の紹介VTRで流れるアウトコースのストレート。
それがこの日の川島は完全に別人でした。

ドラフト会議から約1年。
燃えに燃えた私の「川島熱」が急激に冷えていきました。
今思うと、もうこの頃には肩を故障していたのかもしれません。
翌1989年はプロ初勝利をあげるものの尻すぼみ。
その後も一軍登板はほとんどなく、たまにズームイン朝の脇田義信アナウンサーがインタビューしてくれてたんですが、なんかいつも川島には覇気がなかったです。
晩年はサイドスローにしたり、背番号を41に変えたりしながら、現役最後の1995年は菊地原毅や池田郁夫らとともに提携していた台湾リーグの時報イーグルスに野球留学。
この時、川島と入れ替わるように時報からカープに入団したのがロビンソン=チェコ。
ドミニカ・カープアカデミーの一期生。
背番号105番のチェコは一軍で15勝。大ブレーク。
そして同年秋、川島堅はひっそりと台湾で現役引退。
ディスイズプロ野球。

甲子園のスターでもほんのボタンの掛け違えで若くして引退を余儀なくされます。
駒田のホームランの時、あの風がなければ川島はプロ初先発初勝利。
その後の野球人生がどうなったか・・・夢の続きをもうちょっと見られたかもしれません。
堂林、お前はどうなんだ・・・

実は今、日刊スポーツのホームページで川島堅のコラムが連載されています。
先週金曜日に第1話が更新され、明日第2話が更新されます。
本当はこの川島ネタはそれを読んでからアップしようと思っていたんですが、明日は坂倉&奨成のフレッシュオールスターをやらなきゃならないんで今日アップしました。
ちょっと記憶もあやふやで覚え違えしてる箇所もあると思いますが、細かいことはご容赦ください。

川島のダイナミックで美しい投球フォーム。
私は川島の投球フォームより川島の投げるボールのほうが好きでしたねえ。
おしまい
ちなみにカープが5球団競合で指名した高校生は近藤真一(1986年)です!どん!


おしまい
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ありがとうございました。

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