野球のどこがおもしろいのか? [2023クライマックスシリーズ]

2023.10.15(日)

広島 4-2 DeNA マツダ 

私の小園がごめんなさいね。

8回裏の代打田中の決勝タイムリーを見て涙するカープファン、歓喜するカープファン。

そんな中で「よし、小園の前にランナーが溜まったぞ!」と盛り上がるカープファン。笑

涙と歓喜が全体の9割なら、小園の未来に盛り上がったカープファンも1割くらいいたんじゃないですかね?

今日は8回裏無死満塁での小園海斗の空振り三振を徹底解説します。ちょっと長いです。

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1stステージ突破

昨日の試合は豪華でしたね。

現地観戦の方にはお得感がいっぱいでした。

まず始球式が山本浩二vs鈴木誠也。ベンチには黒田博樹もいたらしい。

そして西川龍馬のホームラン、代打末包ホームラン。

 

DeNAの今永は国内ラスト登板かもしれないし、引退する藤田一也は島内のチェンジアップをしっかり捉えた。

バウアーもマツダに来てたみたいだし、ひょっとするとエスコバーもNPBラスト登板かもしれない。

 

んで代打田中の涙のタイムリー。

栗林が締めて試合終了。1stステージ突破。

試合後のセレモニーでは島内颯太郎の挨拶というオチまであった。

 

それもこれも全てマツダスタジアムのカープファンの後押しがあってこそ実現しました。

次の甲子園ではこの後押しがありません。

過去に何度となく甲子園球場を赤く染めたことがありましたが、あの時のカープは強かったし、あの時の阪神は強くなかった。

今は逆です。阪神の方がカープより強い。阪神ファンの圧力は大きいと思います。

 

まあ頑張りましょう。

カープが甲子園で阪神に4勝2敗できる可能性は20%くらいあります。そんなにないかな?笑

とにかく下剋上の可能性はゼロではない。

阪神のゲーム感が鈍ってることに期待しましょう。笑

 

アウトになりいくい打者

ここからは小園海斗の話をします。

阪神に勝つには小園の力が必要だからです。

 

私が4番に推す小園海斗。

8回裏の無死満塁で打席が回ってきました。

「満塁で敬遠はできないぞ。とどめを刺すんだ、小園海斗!」 

なのに小園は空振り三振。内容最悪。

 

三振という結果は問題じゃありません。

小園がボール球を2度も振ったところに打撃の奥深さがあります。

 

私が村上宗隆を幼いバッターだと評価するのもココ。

アウトになりやすい打者というのはチャンスでボール球を追いかけてくれます。

今年の夏以降、小園はチャンスでボール球を振りませんでした。だから私は「小園海斗が西川龍馬と松山竜平に追いついた」と評価しました。

 

だけどそれはもうカープの優勝がなくなった後でのこと。

チームの負けが確定した後で、小園海斗は落ち着いたプレーを積み重ねてきました。

昨日の試合の無死満塁の場面はまだチームの勝ちも負けも決まっていませんでした。

まさに小園の打席が勝敗を分けるという場面でした。

 

山本浩二、金本知憲、栗原健太、鈴木誠也はこういうチームの勝敗を託された時、

ボール球を絶対に振りませんでした。

緒方孝市も振らなかったイメージ。江藤智はけっこう振った。笑

野村謙二郎や前田智徳もちょいちょい振ってましたが、彼らはそれをヒットにしてました。

 

現役打者なら松山と秋山は振らない。

西川龍馬も去年あたりから振らなくなりました。走者なしでは変態打ちをすることもあるけど、チームの勝敗がかかった場面で西川龍馬は実はボール球をほとんど振っていません

 

小園の打席

8回裏、田中広輔の勝ち越しタイムリーでがけっぷちに追い詰められたDeNA。

三浦監督が自らマウンドに向かい、上茶谷交代を告げます。

「森原かな?」

と思いましたが、よく知らない左投手が出てきました。

 

「三浦もダメねえ。明日がないのにシーズンと同じ継投。左だから左ってのは明日がある人の悠長な戦い方だよ」

と私は思いました。

その左投手の名は石川達也。育成上がりの25歳。左腕。

 

結果から言うとこの子は頭の良い投手でした。コントロールはそんなでもないけど思い切りが良い。

打ち気にはやる小園海斗に変化球で誘いをかける。山本祐大のリードはこの2試合とても冴えてる。

 

この打席で小園は初球のストレートを果敢に打ってファール。

ストライクからボールになるスライダーを空振って2ストライク。

最後はストライクからボールになるタテのカーブを空振って3ストライク。

 

どのストライクが1番ダメかというと、

 

それはもう圧倒的に・・・

 

 

2番目のストライクです。

2ストライク目のストライク。

 

並み居るカープの伝説戦士の中でもトップクラスでボール球を振らないのは金本知憲だと私は思います。

新井貴浩もそれを学んで100打点。

今年の小園はボール球を振らなくなったので、私は小園を信頼しています。

 

ストライクをファールするのは仕方ありません。

2ストライク後は多少のボール球でも追いかけざるを得ない。

チームの勝敗を左右する中心選手が絶対にやってはいけないのが、0ストライクと1ストライクの時にボール球を振ることです。

コレをやると味方の士気は下がるし、相手チームは喜びます。

 

ストライクを振って空振りはOK。

2ストライク後に決め球で打ち取られることも仕方ない。

だけどバッティングカウントでボール球を振ることだけは100%やっちゃいけない。

 

昨日の小園のあの打席、

田中広輔のタイムリーで盛り上がりに盛り上がってマツダスタジアムは最高潮でした。

チャンステーマは最大音量。

お・ま・え・が・・・

決めろ!

コ・ゾ・ノ!!

 

スゴい人気だねえ。俺も盛り上がったよ。心の中ではね。

だが頭は冷静でいないといけない。おまえがこれからチームの勝敗を決めるんだから。

 

小園は「打ちたい!勝ちたい!」と思ってました。ここで打てば試合が決まるからです。

こういう時、相手は「打たせたくない、打たれたくない」と考えています。

 

だから試合の勝敗を分ける場面で何が起こるかというと・・・

  

相手投手が・・・

 

 

ボール球から入る

ことが多いのです。

 

昭和のピッチャーは意図的にピンチで「誘う投球」をしました。

江夏豊が最たる例ですね。

江川や大野はマジメにストライクを投げますが、北別府や川口はボール球で誘うことが多かったです。

 

令和の今はストライク先行が流行です。

とくにリリーフピッチャーは「誘う投球」をあまりしてこないです。

 

昨日の若い石川君も誘うと言うよりは「ストライクゾーンに投げきれずボールになった」って感じでした。

1球目は外角まっすぐストライク。小園が打って三塁側へのファール。

2球目は外スラを要求したのが内角に抜けてボール。カウント1-1

3球目も2球目と同じ球。山本は外角要求でしたがスライダーが内角低めのいいとこに落ちて小園は空振り。カウント1-2

 

ハイ。

私が一番残念な一球が3球目の空振り。2ストライク目の空振りです。

試合を決める大チャンス。打ちたい、勝ちたいと誰もが考えます。

だがチームの中心選手はそこでガマンできるのですよ。

 

6回表に反撃を開始したDeNAは森下暢仁を攻めて1死3塁。

ここでカープはピッチャー交代。大道温貴。

大道は3番太田と4番牧に全球ストレートで全球ストライクを投げました。大道の6球は炎の6球でした。

 

ピンチの場面でピッチャーがボール球を投げるとどうなるでしょうか? 

 

答えは

「打者がどんどん有利になっていく」

です。

  

野球の真髄

コレこそが野球の真髄です。

昨日TBSの日曜劇場「下剋上球児」の中で、井川遥が

「ねえ。野球の何がそんなにおもしろいの? 一言で説明してよ」

と夫に尋ねます。 

 

夫は困惑します

「そんなこと一言で言えるかよ」

 

ちなみに私は一言で言えます。

野球の面白さは「タイムリーヒットを打つこと」です。だいたいの野球人はタイムリーヒットを打つために野球をやってます。

ただし相手はタイムリーヒットを打たせたくありません。そこが野球のおもしろいところ。

 

小園はボール球を振ってはいけないのです。

3球目を振ってカウント1-2になるのか、見逃してカウント2-1になるのか。

いわゆる「カウントを作る」作業ができるかどうか。

これができれば走者一掃のタイムリースリーベースを打てて、野球って楽しいだろと井川遥に説明できるのです。

 

小園は23歳で初めてのクライマックスシリーズ出場。

1試合目も2試合目も敬遠ばかりされてきて、やっと回ってきた男の見せ場。

この打席の前の打席でも小園海斗は3度目の申告敬遠をされています。1塁は空いてますが次打者は6番秋山翔吾ですよ。DeNAは小園を敬遠して秋山と勝負したんですよ。

 

小園のフラストレーションは溜まりに溜まっていました。

2球目のスライダーを見逃した時、私は

「これぞ成長の証しだ!」

と喜びました。

 

3球目のスライダーを空振った時は

「そんなにうまくいかないかw」

と苦笑いでした。

 

2014年のクライマックスシリーズ。場所は甲子園。

プロ2年目の鈴木誠也は7番ライトでスタメン出場しました。

20歳の鈴木誠也は7回表の1死満塁の場面で阪神・能見篤史の前に3球連続ボール球を振らされました。※スポルティーバ

 

誰もが通る道。

あの悔しさからの鈴木誠也の急成長は誰もが知るところですね。※鈴木誠也の成長曲線

私は甲子園でも「4番小園で戦え」という考え方です。

龍馬と堂林がやっぱりまだベストコンディションではないからです。