ウエスタンリーグが開幕。野球のテンポの話をします

2024.3.15(金) 

ハヤテ 1-9 オリックス 静岡 

昨日ウエスタンリーグが開幕しました。

注目の新規球団くふうハヤテベンチャーズはオリックスと対戦。

開幕直前のこの時期は二軍の試合にも一軍ローテ投手が調整目的で登板します。

オリックスの先発は宮城大弥でした。宮城は悠々と5回2安打無失点。7奪三振。62球。

ハヤテが大敗するのは仕方ありません・・・なんて余裕ぶっこいてたらカープの方はもっと大差をつけられて惨敗してました。今日はカープ二軍を徹底レポートします。

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カープ投手陣

2024.3.15(金) 

阪神 13-1 広島 鳴尾浜 

ハヤテはよく頑張りましたが与四球12はいただけません。打たれるのは仕方ないけど相手打者にもっと向かっていかなきゃ。

カープの与四球も8でした。五十歩百歩。開幕初戦から寒いものを見せてもらいました。

出場全選手を詳しくレポートしたらけっこうな長文になってしまいました。とても長いのでお気に入りの選手のとこだけチェックしてください。

 

先発ノムスケ。2回7安打4失点。与四球1。

ノムスケの立ち上がりは悪くありませんでした。普段通りでした。

2イニング目に下位打線に連打されて投球テンポが単調になったところを阪神打線にたたみ込まれました。

噂通り、阪神の若手はよく打ちます。力強く引っ張った打球も目立ちましたし、反対方向へのライナーも痛烈でした。

ここんとこ巨人のセンターの子が「当て逃げ打法」で脚光を浴びていますが、あんな打ち方は長続きしません。阪神の打ち方は理想的です。将来性を感じるのは断然阪神です。

 

2番手は新家颯。2回3安打7失点。与四球5、与死球1。

私が密かに注目している高卒3年目の20歳。左腕。

去年の秋季キャンプからオーバースローとサイドスローを混ぜこぜで投げ始めました。

本人は「感触がいい」と言ってましたが、私は現時点では反対の立場です。

育成3年目で結果がほしい気持ちもわかるが、まずはオーバースローのフォームを固めてからサイドスローの練習をすべきです。

この日も1イニング目はスイスイと三者凡退。私の夢も大きく膨らみましたが、2イニング目に4者連続フォアボール。そこから連打連打で1イニング7失点。ポテンヒットなど一つもなく、3安打全部が痛烈なヒット。アウト3個はどれも野手正面のライナーでした。

 

ただ新家くんは打たれても打たれても下を向かなかったです。

逃げてストライクが入らないのではなく、打者に向かって行ってストライク入りませんでした。

「それはそれで問題じゃん」

ハイ。その通りです。まあでも全くダメという感じはしませんでした。

オーバーハンドのストレート、カーブ、フォークはどれも角度と落差があっておもしろいと思いました。平均球速は138kmくらいでしたが、阪神打線は刺されてました。

 

3人目松本竜也。2回0安打無失点。無四球、2三振。

結果は完璧ですが、ストレートの球威も精度もイマイチ。

カーブがおもしろいようにストライク取れたので、阪神打線は狙いを絞れませんでした。平均球速は140kmくらい。

 

4人目高橋昂也。1回2安打2失点。2四球。

とてもガッカリしました。球速はこの日投げた投手で最速でしたが、そこまで球威は感じませんでした。

今年、昂也くんを3度見ましたが、3度とも投げ方が違いました。1回目はノーワインドアップ。2回目はワインドアップ。昨日はセットでした。

そこからの投球フォームは去年までと変わっていないのですが、タマは相変わらず暴れていました。制球が定まらないからモーションを変えているのか。

最速146km、平均も142kmくらいでしたが暴れてました。30球投げてストライクは半分以下。捕手のミット通りは2~3球です。

 

5人目戸根千明。1回0安打無失点。

この日の光明は戸根でした。阪神も10点差で疲れてたと思いますが、戸根は3人の打者に全てストライク先行。後述しますが清水叶人のリードも良かった。

戸根はセットからポンポンとストライクを投げ続け、阪神打線に考えるヒマを与えませんでした。球速140kmでもコントロールがそこそこでも、投球テンポで相手を抑える術もあることを若手に示してくれました。

さすがベテラン。塹江もいいいが戸根もおもしろいと思います。

 

カープ野手陣

続いて野手陣。

1番ショート羽月。3打数2安打1四球1盗塁。

阪神先発の西勇輝を一番苦しめていました。三塁側へのファールファールで球数を投げさせる得意の打ち方。

1四球は8回表、西純矢から獲得。8球投げさせました。10点差でこの集中力はさすがです。

守備も不慣れなショートでフル出場。3~4つショートゴロを捌きました。無難は無難ですがスローイングやフットワークはやっぱ二塁手です。ショート羽月は違和感あります。

 

2番センター大盛穂。4打数0安打。

羽月と正反対で初球からガンガン前に打ちに行くスタイル。1打席目だけエンドランなのでゴロを打ちましたが、他の3打席は全部長打狙いのバッティング。ボール球にも積極的にフルスイングしてました。

このスタイルは大盛が昨年から継続しているものなので、本人の考えとコーチの指導でやっているのでしょう。俊足の選手がホームランを打っちゃダメというルールはありません。しかし「それなら1本くらい打っとけよ」と思うのです。

8回表、羽月が粘って四球。暴投で無死2塁。点差は10点ビハインド。進塁打なんか打ったって無駄な点差ですが、大盛はファーストストライクを積極的に打ちに行ってレフトフライでした。大きな飛球でしたが、私の古い野球観では無死2塁でレフトフライはしっくり来ないです。

ちなみに次打者の代打宇草も初球レフトフライでした。無死2塁が2球で2死2塁となりました。

 

3番ライト中村貴浩。3打数0安打2三振。

全くいいとこなし。振れば空振り。当たれば投ゴロ。

スイング軌道もめちゃくちゃ波打ってるし、ピッチャーとのタイミングも全然合ってませんでした。

西勇輝に合わないだけかなあと思ってたら、2番手の西純矢にも全くタイミング合いませんでした。貴浩のバッティングは重症だと思います。

 

4番レフト中村奨成。3打数1安打1四球。

1安打は詰まったショートゴロが内野安打になったもの。ハッキリ言ってラッキーヒット。

2打席目は大きなライトフライ。西勇輝の高めに浮いたスライダーを右中間へ運びました。内野安打よりこっちの方が遙かにいいバッティングでした。奨成は右中間やライトフェンス直撃の長打もたまに打ちます。タイミングバッチリ。ほんのちょっと先っぽだったかな。

3打席目は6回表走者なしカウント3-2。西純矢のストライクからボールになるフォークを振って空振り三振。これを見逃してきたから私は奨成を推していたのに残念。

4打席目、再び西純矢と対戦。大盛と宇草が連続フライアウトで2死2塁。ここで奨成四球を選ぶ。素晴らしい。

西純矢のストライクからフォークになるボールを悠然と見逃して、「アホかお前。さっきと同じタマなんか誰が振るかよ」と西を睨みつけた奨成はカッコよかったです。同郷なんだから仲良くしろよ。

 

奨成のレフト守備。

ノムスケと新家が打たれて奨成は大忙し。捕ればファインプレーという大飛球をフェンス際でまたしてもポロリ。奨成は相変わらず球際に弱い。

課題のスローイングも披露しました。やっぱ奨成のスローイングはキャッチャー投げのためめちゃくちゃシュート回転します。カットマンのショートを狙ったらサードが捕ったほどです。→ちょっと盛りました

奨成のシュートは九里のシュートより大きく曲がってます。テイクバックが小さいからシュートするのですが、チャーリー廣瀬は何を指導しているのか? 奨成のレフトはまだまだヘタクソです。

ただ2回裏の2死23塁で阪神井上がレフト前ヒットを打った時、2塁走者の島田はストップしました。2死だしけっこう深めのヒットでしたし、あれで俊足の島田が止まったということは奨成の肩は相手に恐れられていると思われます。

 

5番ファースト韮澤。4打数2安打1打点。

韮澤ならこれくらい普通です。西勇輝と西純矢から1安打ずつ。どちらもニラらしい鋭いヒットです。守備も安定していました。

 

6番DHロベルト。3打数0安打0三振。

なんかロベルトが雰囲気良くなってます。キャンプではいつも「3タコ2三振」でしたが昨日は3タコ0三振。

ドアスイングはあまり変わってないですが、タイミングの取り方を変えたのか? どこが変わったかは1試合ではわかりませんでした。

ロベルトの代打に出てきたラミレスも雰囲気が良くなってた。結果はアウトローのスライダーを追いかける三振でしたが、私はキャンプの時より打ちそうな雰囲気を感じました。

 

7番セカンド佐藤啓介。4打数0安打1三振。

彼も相当ワガママなバッティングをします。全球フルスイング。ボール球もフルスイング。

しかしスイングスピードはチーム1位かもしれません。ガッツ小笠原みたいな雰囲気。

4タコですが捉えた打球は強いです。4回に打った痛烈な二ゴロは西勇輝がホッとしたような表情を浮かべるほど鋭い当たりでした。9回の二直も捉えた打球でした。ただボール球もガンガン振ってたのでガッツへの道のりはまだまだ遠いです。

守備ではカットプレーでミスしてしまい1失点。二ゴロの捌き方を見ても特別上手いという感じはしませんでした。足も速いがAランクではない感じ。西川龍馬くらいか。

 

8番キャッチャー石原貴規。2打数0安打。

一軍にいた頃の石原はボール球を見逃して甘い球を強く振っていましたが、二軍ではいつでも打てると思うのか、きわどいコースを強引に打って二ゴロと三ゴロ。西勇輝の思い通りのアウトでした。

リードでもノムスケはともかく、新家颯はしっかり引っ張ってあげてほしかった。キャッチングでも2~3球ポロポロ。集中力が足りてませんでした。

磯村がいないので私は石原が開幕一軍かと思ってましたが、石原にはどうやらその意思は無さそうです。もしかすると既に「開幕はイソだよ」と通達されてるのかもしれない。だから石原はやる気がないのかもしれない。そう妄想したくなるほどやる気がありませんでした、石原は。

 

2024年の内田湘大

ちょっと長くなってきたので、うっちーだけ別枠を取ります。

うっちーの話は・・・

 

特に長いですから。笑

 

9番サード内田湘大。3打数1安打0三振。

1安打はボテボテの内野安打。打ったうちに入りません。

第1打席はカウント1-1から力ないセカンドゴロ。2打席目が内野安打。

3打席目はカウント0-1から力ないセンターフライ。

昨日のうっちーは手だけで当てに行くバッティングでした。バッティングカウントでこれはたいへん寂しい。魅力がないぞ。佐藤啓介に負けないくらい大きく振りなさい。

 

内田の守備。あっぷあっぷのノムスケと新家颯を救う素晴らしい守備が3つくらいありました。イージーなサードゴロも2つほど無難に捌いて5回の守備機会をノーミス。送球が逸れたのが1個ありましたが、あとは落ち着いてました。少し上達している。

グラブが地面に着くほど低い位置にあるのも良い。クラシカルで私はスキだ。

 

内田の走塁。1塁までの全力走塁をサボらないところがカワユイ。

あと4回表無死1塁での走塁に感心しました。

走者うっちーで打者羽月。羽月がボテボテの投ゴロを打って西勇輝がセカンド送球。西の送球が高く浮いて、阪神のショートとうっちーが交錯。ケガする感じの交錯ではなく、ショートが走者に乗りかかるような交錯。よく見るプレーでしょ。

タイミングは完全にアウト。阪神のショートがうっちーに「ごめんごめん」と謝ってます。

この時、内田は二塁の塁審へ「僕、アウトですよね?」と確認していたのです。私が感心したポイントはここ。

確認はとても大事なことで、毎日野球をしているプロ野球選手がつい忘れてしまうことです。

 

3月12日の日本ハム戦で代走五十幡に悪送球から一気に三塁へ行かれたプレーがありました。

一塁走者五十幡がピッチャー森浦の牽制に誘われ飛び出しました。ボールが一塁から二塁に転送されますが、これをセカンド矢野がセンター方向にポロリと弾いてしまいます。

スピードを落とす五十幡。ショート小園はそれを見て油断します。「五十幡は二塁ストップだろう」と走者に背を向けてテレテレ走ってます。すると五十端が再加速。コイツ相手をよく見ています。五十幡はさっきまで挟殺プレーで挟まれてたのに、その1秒後には小園を騙そうと考えたのです。おもしろいヤツです。

小園もすぐに気が付いたんですが、五十幡の足はチーターみたいでした。三塁に投げられないくらい悠々セーフでした。

 

うっちーが二塁アウトになった走塁と、五十幡のトリックプレーの共通点は彼らがセルフジャッジをしていないことです。

うっちーは完全にアウトのタイミングでした。ベテランになればなるほどアウトだろうとセルフジャッジしがちなプレー。だけど、もしかしたらショートがボールをこぼしていたかもしれません。なのにうっちーがタイミングだけでアウトと判断して一塁ベンチに帰ろうとすると再タッチされてアウトになります。うっちーの確認作業はこのミスを防ぐためのもの。

五十幡は「小園を騙してやろう」と考えていました。小園は「どうせ二塁で止まるだろう」とセルフジャッジしました。

一軍選手ほどセルフジャッジするものです。小園も十分反省してるでしょう。

 

清水叶人

いよいよ最後の一人。

6回からマスクをかぶった清水叶人。

昨日書いたばかりですがやっぱりこの子、雰囲気が良い。

明るい高木翔斗とクールな清水叶人って感じ。プライベートは知りませんよ。グラウンドでの雰囲気です。

 

キャッチャーをしている時の清水はアツに雰囲気が似ている。落ち着きを感じます。キャッチングもとてもしっかりしてる。

高木翔斗は野間峻祥や新井貴浩のような雰囲気。仲間を明るくさせる雰囲気。笑顔が良い。

 

清水は6回松竜、7回昂也、8回戸根とバッテリーを組みましたが、それぞれ特徴のある投手と組めて良かった。

特に戸根と清水のコンビはサインをポンポン出してポンポン投げてとても楽しかったです。昂也くんもあんな風に楽しそうに投げればいいのに。いつもぶっきらぼうなんだから。

「内角投げて、外角投げて・・・」もリードなのですが、何も考えず真ん中近辺にポンポン投げさせるのもリードです。戸根のテンポについて行った清水のリードに野球センスを感じました。

 

打撃のほうは2打数0安打。なんか彼、全部の球を振りました。

1打席目も2打席目も西純矢と対戦。フォーク、フォーク、フォークで一ゴロ。全部ボール球でしたが全部に手を出しました。まあ中村奨成でも振ったフォークだから仕方ないか。

2打席目は9回2死から真ん中ストレートをセンターフライ。これは打つべきタマでしたが、最後の打者なのでもう少し粘ってもいいんじゃないか。

 

19歳の清水といい新人の佐藤といい、2年目の貴浩といい、もの凄く積極的です。

二軍は基礎を身に付けるところですけど、試合ではもうちょっと相手の嫌がることもやってほしいなあと思いました。

相手にテンポ良く野球をさせないこと。相手のリズムを崩すことも教えてほしい。まだ無理なのかな。