なぜショートの選手はFA宣言しないのか?

突然ですが問題です。

日本プロ野球ではなぜショートの選手がFA移籍しないのでしょうか?

 

過去にFA宣言した選ショート

日本のプロ野球ではショートの選手がほとんどFA権を行使していません。

した選手は以下の7人。

2003年 松井稼頭央

2010年 西岡剛(ポスティング)

2011年 川崎宗則

2012年 中島裕之

2014年 鳥谷敬

2014年 大引啓次

2017年 大和

 

明らかな「宣言残留」は除外しました。川相昌弘や奈良原浩など。

鳥谷敬も「宣言残留」でしたが、鳥谷は他球団とも交渉したので数に含めました。

ユーティリティー選手も除外しました。藤本敦士や木村昇吾など。

上の7人のうち川崎・大引・大和もユーティリティー選手ですが、移籍先でショート中心に活躍したため「ショートのFA選手」に含めました。

 

1993年のFA制度導入以来、33年間で 259人 の選手がFA権を行使しました。※ソース

内訳は残留110・移籍149。国内海外合算です。

移籍した149人の中でショートの選手は5人。本職ショートは わずか2人 です。松井稼頭央と中島裕之。

 

ちなみに私の中では川崎宗則はユーティリティー選手。

西岡剛はショートですがFAではなくポスティング移籍。

「西岡剛もユーティリティーだろ!」と言う声が聞こえますが、メジャー挑戦時の西岡はバリバリのショートでしたよ。小坂誠さえいなければ西岡はバリバリのショートでした。

 

めんどくさいので数えませんが、FA移籍した149人の半分が野手だとすると75人が野手。

75人を8つのポジションで割り算すると平均9.3人。

つまりショートの選手がこれまでに9人FA移籍しててもよさそうなものですが、FA移籍は2人。ポスティング移籍者とユーティリティー選手を合わせても7人。平均9人に届きません。

 

どうです?

コレって 異常に少なくない ですか?

私は少ないと思います。ショートの選手には需要があるので、平均の9.3人より多くて普通だと思うのですが。

 

考察

「いや、そもそもFA宣言の行使者は投手が多いんだよ」

私もそう思ったので、めんどくさいけど数えてみた。

FA宣言した259人の内訳は投手108人・野手151人でした。FA宣言した選手は野手の方が多かった。なのに ショートのFA宣言は非常に少ない のですよ。

 

ここで私の目的は正確な人数を数えることではありません。

私の目的は

ショートの選手がFA宣言しない理由

を考察することです。

 

ショートの選手って育成が難しいんですよ。「キャッチャーの育成が難しい」はよく言われるけど、ショートも実は難しいんですよ。みんなあんまり言わないけどさ。

だからショートの選手がFA市場に出てくれば、けっこうな人気で良い契約を勝ち取れるはずなんですよ。でも出てこない。一体なぜか?

 

私はぐっすり眠って考えました。

そして 一つの仮説 にたどり着きました。

それがこちら。

「ショートの選手ってそもそもFA権を取得できないんじゃないか?」

ってことです。

 

まずこちらの「FA権・取得条件」をご覧ください。

■FA権・取得条件

 国内FA…高卒8年・大社7年

 海外FA…全選手9年

つまりショートの選手ってFA権を取得する頃にだいたい 30歳前後 になってるんですよ。

それを言えばFA権を取得したピッチャーとキャッチャーも30歳前後になってるんですが、ピッチャーとキャッチャーは勤続疲労していてもある程度「技術でカバー」できます。全盛期のスピードやパワーは衰え始めてますが、「技術」はむしろアップしています。

 

ショートの場合も技術はアップしていますが、ショートはピッチャーやキャッチャー以上に フィジカルの強さ が要求されるポジションなのではないでしょうか。

一軍のショートを7年も8年も守り続けた選手が30歳以降もショートを続けのは少々キビシイ。ショートって 激しく消耗 するポジションなのですよ。

 

24歳でプロ入りした 宮本慎也 はゴールデングラブ賞を10回獲得していますが、ショートで何回、サードで何回だと思いますか?

なんと、

ショートで6回、サードで4回です。

同じ時期に 井端弘和 がいたせいもあるんですが、宮本でもショートでGG賞を獲ったのは6回だけなんですよ。井端は7回。

宮本慎也が国内FA権を取得したのは2004年。宮本はまだヤクルトのショートを守っていましたが、年齢は 34歳 になっていました。

井端弘和が国内FA権を取得したのは 33歳 の時でした。

2008年8月、33歳の井端はFA権を取得したその日に、なんとシーズン中にも関わらず「中日残留」を高らかに宣言しました。男らしかったです。

 

26歳のFAショート

宮本や井端でさえ国内FA権を取得したのは33~34歳の時でした。

ショートを7年も8年も守ると年数がかさむうえ、ヒザと腰にもガタが来ます。

私は常々「プロ野球のレギュラーは10年が限界説」を唱えていて、たとえ外野手であってもプロ野球のトップで10年間レギュラーを張り続けるのは至難の業だと考えています。

 

高橋慶彦は20歳でレギュラーを掴んだため30歳でガタが来ました。

金本知憲は30歳でレギュラーを掴んだので37歳で40本塁打できました。単純に年齢で衰えるものではないのです。

 

2026年10月10日現在。

今ここに

小園海斗

というFAショートがいます。

 

小園はレギュラーになって6年。しかも半年休んだシーズンがそのうち3年あります。つまり小園はレギュラーを実質4年半くらいしかやってない計算になります。

計算式はこうです。

「レギュラー6年」ー「グレてた0.5年×3回」=4.5年

つまり小園はまだショートを 5.5年守れる計算 になります。実におもしろい。

 

こりゃ小園は

引く手あまた ですよね。クリーンなイメージだし。

国内外問わず小園は大人気です。26歳でショートを守れて打率3割です。

素人は「ホームラン数が少ない」だの「嫁さんと別れた」だの、いつまでも「ないもの探し」をしていればよい。タコ。

「ないもの」や「できない理由」ばかり見ているから、お前ら素人はいつまでも成長しないのだ。巨人の補強戦術と同じだ。

 

結論

【事実】

 ショートの選手はFA市場になかなか出てこない

【背景】

 FA権を取得する頃にはフィジカル面の劣化が始まっているから

 

守備要員のショートは劣化せずにFA権を取得できますが、打てないショートに需要は少ない。

木村昇吾は守備要員6年+レギュラー1年という「理想的なタイミング」でFA権を行使しましたが、木村昇吾の場合はちょっぴり年俸が高かった。当時推定4000万円。

2015年当時、控えショートに4000万はかなり高額でした。だからどの球団も手を挙げずに木村昇吾は「セルフ戦力外」となりました。カープだけが木村昇吾を高評価していました。

結局、木村昇吾は年俸2000万で西武に拾われました。

 

鳥谷敬のケース

オマケで 鳥谷敬 と 坂本勇人 のケースも紹介しておこう。

こいつらもNPB史上最高ショートなので。

 

まず阪神時代の鳥谷敬。

2000安打の鳥谷も実は最初からスーパースターではありませんでした。

若手時代は早稲田の同期・青木宣親 にずいぶん水を空けられていました。

鳥谷も大卒ルーキーとして申し分ない活躍をしていましたが、青木が次々とNPB記録を塗り替えるものだから

「ドラフト4位の青木があれなのに1位鳥谷は何をしてる!」

と「ないもの探し」が好きな素人からディスられる毎日でした。

ホントに阪神ファンは短絡的なクソ野郎どもです。

 

鳥谷が青木に追いついたのはプロ5年目の2008年頃でした。初のベストナイン獲得。

その後も鳥谷は着実に成長を続け、9年目の2012年に念願の 海外FA権 を取得します。

鳥谷はプロ入り前からの夢だったMLB挑戦を熟考しましたが、このシーズンは連続打率3割が途切れ、打率.260と低迷した影響もあってFA権を行使せず残留。阪神と2年契約を結びました。この時の鳥谷は31歳でした。

 

2014年オフ、鳥谷は再びFAとなります。2年契約が切れたからです。

この時阪神が33歳の鳥谷に提示した金額が 5年20億 でした。今では普通ですが、2014年当時はめちゃくちゃ破格な好条件でした。

鳥谷は悩みました。5年契約を結べば生涯阪神。メジャーへ行けば1年でクビになる可能性もある。年齢は33歳。

結論はご存じの通り阪神残留。※朝日新聞

当時「日本人ショートはMLBで通用しない」と思われていたからです。

 

松井稼頭央でもMLBのショートを守れなかったと今でもよく言われますが、実は松井も西武で9年ショートを守ってフィジカルの劣化が始まっていました。

それにMLBは土のグラウンド。慣れるのにも時間がかかるんですよ。

松井はMLBでショートを110試合しか守っていませんが、川崎宗則もMLBでショートを100試合ほど守っています。

MLBのショートと言っても30人全員がデレク=ジーターやエリー=デラクルーズのような選手ばかりではないのです。普通の肩のショートだっていることはいるのです。

 

坂本勇人のケース

坂本勇人は19歳からレギュラーでしたので、26歳で国内FA権を取得しました。現在の小園とタメです。

しかし坂本はFA取得前から早々と 生涯巨人 を宣言していました。※日刊スポーツ

「巨人に愛着がある」

「メジャーに興味ない」

意訳すれば

「西岡さんや中島さんみたいにはなりたくない」

という意味です。

26歳だった坂本勇人はメジャーに挑戦せず巨人で王様になる道を選びました。それも一つの人生です。

 

26歳の小園海斗は果たしてどんな決断を下すのか?

私はどこへ行っても小園海斗を応援します。私がドラフト前から目を付けていた選手だからです。

別に阪神や巨人でもいいんだぜ。とにかく走れよ、小園海斗。カープを見返してやろうぜ。

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