私が一軍では使えないと評価していたテイラー=スコット(28歳)が連日の好投。
全投球のうち50%が逆球。4球で四球を与える場面も目立ちます。BB9=4.00です。
よって私の古い野球観では「スコットのクローザーは怖い」となります。
ですがカープはフランスアと中﨑が万全じゃない中で開幕を迎えることが確実。勝ちパターン継投がいまだに確定していません。
ストライクゾーンについて
ここでストライクゾーンの話についてメモしておきます。
「ホームベースの幅」ってボール何個分かご存じですか?
答えは6個分です。意外と狭い。
ただしルール上ではベースの端っこをかすめただけでストライク。
なのでストライクゾーンは実質ボール8個分の幅があることになります。
8個と聞くと俄然ストライクゾーンの幅を広く感じてきますね。
もう一つ言いますとストライクゾーンは立体でもあります。
普通の人は「五角形の一番前の1本のライン」しか意識しません。
私が球審をやる時、ホームベースの土を全部拭くのはめんどくさいので「1本のライン」の部分しか土を拭きません。どうせそこしか見てないんだもん。
ところが理論上は五角形のどこにかすってもストライクになるハズなのです。
私も坂田三吉の通天閣投法を練習しましたし、高校野球では定期的に「山なりの超スローボール」を投げる投手も出てきます。
山なりボールを投げる投手は「1本のライン」の上をボールが通過するイメージではなく、「ライン」を飛び越えて五角形の後ろの「三角の部分」をかすめたいのです。
数年前の北海道の投手はかなり精度の高い山なりボールを投げてましたが、球審には一球もストライクを取ってもらえませんでした。私は入ってると思いましたけどね。
このようにルール上のストライクゾーンは立体ですが、現場では平面扱いされることがほとんどです。
バッターも球審も現実的には「ホームベースの一番前の1本のライン」をストライクゾーンと意識してます。
だって山なりボールとか、大きく曲がるスライダーが1本のラインを通過せずにストライクと言われたらバッターは非常に不利ですから。
緩急という奥行き
ストライクゾーンは実質平面です。
ところが「緩急」を駆使して打者にストライクゾーンを立体的に感じさせることはピッチングの常識です。
チェンジアップやカーブでタイミングをずらすピッチング。
カープのテイラー=スコットはこれに長けている感じがします。
オープン戦(2~3月)のスコットは6試合で6イニングを投げ、被安打4、奪三振5、与四球2でした。ERA3.00
6月の練習試合でも3試合に登板。3試合で3イニング。被安打ゼロ、奪三振4、与四球2。ERA0.00
本気モードの6月に入って、私はスコットのメッキがはげると予想しましたが、むしろ成績を上げています。
スコットは全投球の4割がスライダー、4割がツーシーム、2割がフォーシームってイメージ。
このスタイルは2月から変わっていません。ツーシームはベースの右半分に投げて、フォーシームはベースの左半分に投げ込みます。
んでスコットのおもしろいところはスライダーを右打者のインコースにも平気で投げ込んでくるところ。
コントロール悪い投手はこれができないはずなんですが、スコットはよくこのボールを投げます。フロントドアって言うヤツ。
フォーシームが150km出てますし、ツーシームもよく曲がります。スライダーはストレートの軌道からキレよく曲がります。
逆球が多いんですが、それが「荒れ球効果」となって打者を踏み込ませなくしている。9日の阪神のバッターは全然踏み込めていませんでした。
このようにスコットの好投は多分に「結果オーライ」なところがあって、とても心配なんですが、関連記事の中でも書いた通り緩急だけでメシを食ってたプロ野球選手もたくさんいるんですよ。渡辺久信とか野茂英雄とか川口和久とか。
そういう意味ではスコットもコマンドは無いけど打者を抑えることができるかもしれない。
スコットのメッキとはズバリ「スライダーの軌道」です。もし打者に慣れられると途端にピッチングが窮屈になると思います。
ただしスコットの150kmと荒れ球は武器にもなるかもしれません。守備は下手ですがクイックはまずまずです。7回くらいなら使ってもいいかな。