契約更改もまだならキャンプメンバーの振り分けもまだ。
カープはいったい何をやってんだ。今日から新シリーズ「春季キャンプ注目選手」を始めます。
着目ポイント
2年前のキャンプでは3年目の田村俊介が大暴れしていました。
カープファンは「前田二世」と騒ぎ、阪神ファンは「バースの再来」と騒ぐ中、私一人だけが
「イヤ、打率.260、本塁打2~3本だろう」
とコメントし続けました。結果は打率.198、0本塁打でした。
この年の田村はオープン戦で長打を連発し、3月の侍ジャパンにも選出されました。井端が田村を選んだ理由はキレイなスイングと守備も案外上手だったからです。
田村の長所は「真ん中のストレートを一発で仕留める能力が高い」ところです。打撃連練習で「真ん中ストレート投げますよ」と言われれば、百発百中で美しいスイングを見せる。
ですが田村の欠点は「変化球を全く打てないこと」でした。2年前のオープン戦でもヒットやホームランにしてるタマは全部ストレートでした。だから私の期待値は打率.260、2~3本だったのです。※参考記事
結果的には.198、0本でしたが、ガマンして使えばホームランを2~3本打ててたと思います。あの頃の田村ならね。
1本も打てないなあと思ったのは1年前の佐々木泰です。泰の打ち方ではホームランを1本も打てないだろうと思いました。
佐々木泰は青学時代から2種類のスイングを使い分けていて、私はそれを「ジキルとハイド」に例えていました。
2ストライクまでのアッパースイングでは高めのタマを100%打てません。2ストライク後のコンパクトスイングでは率を残せるが打球は遠くへ飛びません。
よって今の打撃を続けるなら「打率.180、0本塁打」だと予想しました。※参考記事
佐々木泰の結果は「打率.271、0本塁打」でした。
佐々木泰は公式戦でハイド打法を封印し、ジキル打法に専念しました。小説ではおとなしい人がジキル氏で、暴れん坊がハイド氏です。
私は中村奨成が3割打つとも言ってきましたし、二俣翔に一も.270、12本塁打を期待しています。こいつらには十分打てる力があります。
内田湘大にも既に一軍で10本塁打する力はあります。三振もエラーもしますが、内田は低めスライダーをけっこう拾えるんですよ。
辻大雅のケース
さてそんな私が本日は 辻大雅 について解説します。
左投左打の21歳、高卒4年目。二松学舎大付高。
2025年の一軍成績は16試合、16回12安打21三振3四球、防御率1.13。被打率.203、WHIP0.94
素人の皆さんが喜びそうなハデなスタッツが並んでいますが、ハッキリ言って今のままでは辻大雅は一軍で 使い物になりません よ。
辻大雅の長所は「投げっぷりの良さ」と「魔球チェンジアップ」です。
投げっぷりの良さとは「腕の振りがよく、どんどんストライクゾーンにストレートを投げてくる投手」という意味です。辻大雅のここがまず気持ちいい。
チェンジアップもその強い腕の振りから放たれて、しっかり落ちるため空振りを奪えます。奪三振率も高い。
ただ若いですから欠点も多い。
辻の欠点は「球種が少ない」こと。あとたぶん「スタミナも少ない」だろう。
新井はこの投手を秋季キャンプから 先発調整 させています。
タイプ的にはリリーフ向きの投手ですが、新井には何か考えがあるのでしょう。私も21歳の子をリリーフで連投させたくはありません。
だから先発転向は大いに結構。大きく育てよう。
そのためにはスライダーもしくはカーブの習得。それでいてストレートの威力を落とさないようにしたい。私はこのキャンプで辻にそれができるかどうか注目したい。
上の動画は9月28日のDeNA戦でのピッチングです。結果は三者凡退2三振ですが、辻のタマはハッキリ言って
ヘロヘロ でした。
辻大雅は7月31日に支配下登録され即一軍。そこから2ヶ月間ずっと一軍に帯同してきました。辻は2ヶ月毎日ブルペン入りしていたのです。
上の動画の1人目のバッターへの1球目と2人目のバッターへの2球目が、ともに「外角低めを狙ったストレート」なんですが、1人目は垂れてボール。2人目は逆球で真ん中甘めに来ました。見逃しストライク。
特に2人目へは2球で追い込めたのに、3球目と4球目がともに変化球の抜け球。バッターが1球ボールを振ってくれたためカウント1-2。
次の5球目は外角低めのストレート。清水のリードも甘ければ、辻のタマも中に入りました。DeNAのバッターも完全に振り遅れて見逃し三振。まるで二軍の試合を見ているようでした。
3人目は三森。実力者ですが辻のフォームにはいまいちタイミングが合ってません。全体的に始動が遅い。
初球カーブでうまいこと1ストライク取れたので、2球目以降は押し込めた。見逃し三振のストレートも逆球でボールくさいタマでした。
辻の持ち球は「カット、カーブ、チェンジアップ」ですが、カットは1球もストライク入りませんでした。
1人目がセカンドゴロを打ったタマがカットボールです。決め球で使うだけならボールのカットでも使えるのかな。
カーブは2度見逃しストライクを取れました。これは大きな武器になりますね。ただしこちらは腕の振りが緩むため、決め球では使いにくい。カウント球のカーブはなかなか有効です。
最後にチェンジアップ。この球が魔球で辻の決め球。ストレートも決め球ですが、チェンジアップもいいです。
この球を辻は左にもけっこう投げてます。辻の被打率は対右.133、対左.276
森浦もそうですが左のチェンジアッパーは対左の被打率が高い。逆を言えば 対右に強い ということです。
辻のカットとカーブは見せダマ程度と考えて、ストレートとチェンジアップがあくまで辻の生命線です。
チェンジアップの腕の振りはストレートと同じです。バッターの反応は遅れると思います。
あとはスタミナと再現性。辻のチェンジアップは高めに抜けても何とかなりそうですが、逆球のストレートは球威が落ちます。上の動画の2人目への2球目はバッターがファールしてくれましたが、これがもし佐藤輝明や牧秀悟なら一発スタンドに放り込まれているボールです。
1球くらいなら逆球もいいんですが、2人目へは1球目も2球目も逆球でした。一軍のバッターはこういうのをほとんど見逃してくれませんよ。
辻の課題はスタミナと再現性。辻のいいタマは十分一軍で勝てるボールです。1億円の値打ちがあります。
悪いタマがまだ多いので、それを減らせれば辻は一軍で先発できます。
岡本駿のケース
もう一人先発に転向するのが2年目の 岡本駿。
右投左打。23歳。甲南大学。
プロ1年目はほぼ1年間ずっと一軍帯同で40試合登板、1勝1敗、防御率2.88。被打率.283、WHIP1.24
スタッツは辻より地味ですが、投球内容は岡本の方がずっと大人です。
岡本の持ち球は「カット、スライダー、チェンジアップ、ツーシーム」です。
スライダーとチェンジアップは投げてるだけで見せ球です。右にカット、左にツーシームが岡本の基本パターン。
贅沢言えば辻大雅のような大きなカーブがあれば変化球は七色に近付きますが、私は岡本にカーブは要らないと思います。
岡本の持ち球はまんま 黒田博樹と同じ だからです。
黒田のツーシームはシュートとシンカーの両方がありました。
岡本のツーシームはほぼシンカー限定。それもかなりフォーク寄りで縦に落ちる亜細亜系ツーシームです。
若い頃の黒田も最初はスライダーとフォークだけのピッチャーでした。岡本の持ち球もカットと実質フォークのツーシームの2種類で十分でしょう。
岡本駿の課題は…
特に見当たりませんね。大きな弱点はありません。
岡本はコントロールもいいし、球威もある。牽制クイック守備も良い。
球種も十分だし、被打率が高いと言っても、走者を出しても点をやらなきゃいいんですよ。
黒田も北別府も意外に被打率は高いんですよ。彼らはストライク先行で投げる投手でしたから。
岡本に足りないものは「先発投手としての経験だけ」でしょうね。データはあるけど、コイツのここに投げたらこういう反応をするのか、を肌で感じることだけです。
岡本駿は非常に完成度の高いピッチャーです。みんなが野手あがりの素材だと言う中、私一人だけが
「岡本駿は完成度の高い投手だ。意外と即戦力だぞ」
と見抜いていました。ドラフト会議の時からです。※参考記事
岡本はフォームの再現性が高く、ストレートの軌道が一定している。要するに高低にブレることはあっても、左右にブレることが少ないのです。
このことを根拠に結構ストライクが取れるだろう。だから大崩れはしないだろうと予想しました。そして皆さんの言う通り、岡本は野手あがりですから伸びしろも大きいでしょう。
私がキャンプで岡本に注目したいのは、球種を増やすなどの小手先の変化をしないことです。
最近野球がないので相撲を見てたんですが、近頃の横綱はよく変化しますねえ。大の里も豊昇竜もです。
さすがに立ち合いでは変化しませんが、一旦押されるとすぐ引きます。そりゃ安青錦に負けるはずだよ。
横綱はどっしり構えて動かない方がカッコいい。岡本駿もまだ変化したりかわしたりするピッチングは覚えない方がいい。
去年と変わらないことが岡本にとって「いい道」になるんじゃないかなと思います。岡本は去年のままで成功するよ。
あとは使う方の使い方ですね。
岡本を20試合以上先発させるのか、15試合程度に抑えるのか。
「リリーフに戻すのはいつでもできる」とか変なスケベ心を出しちゃダメです。ピッチャーのポジコロもあまり良くないぞ、新井よ。