「環境が変わる」とは何か?野球用語の基礎知識

今年も現役ドラフトが行われ、NPBは「二巡目もやりたかったぜ、ちっきしょう」とコメントしました。※スポーツ報知

選手会が「二巡目をやりたかった」と言うなら話はわかるが、NPBが「やりたかった」とコメントしたのはわからない。マジメな人なのか、事情が分かっていないのでしょう。

 

現役ドラフト

こないだも書きましたが、現役ドラフトの趣旨は「実力があるのに試合に出られない選手にチャンスを与える」こと。

現役ドラフトの成功例として頻繁に名前の挙がる 細川成也 はDeNA時代から実力者でした。我慢して使い続けりゃ、DeNAでも主砲になれてたと思います。

あの頃のDeNAはソト・ロペス・筒香がいて、ロペスと筒香の後にはオースティンと佐野が出てきた。22歳の細川には高い壁でした。

 

そんなタイミングで現役ドラフトが始まって、第1回現役ドラフトの1番人気は24歳の細川だったんじゃないか?

大竹耕太郎 も「パリーグには合わないけど、セリーグには合った」ってよく言われるけど、大竹は広島に合っただけで、パリーグ球団も普通に抑えているよ。

移籍を機に活躍する選手は今も昔も大勢います。よく「環境が変わる」という言い方をされますが、まさにその通りで選手の能力は大きく変わらないものの「試合に出られる」という変化が大きいのです。これを俗に「環境が変わる」と言います。

 

細川の場合はライトにソト、レフトに筒香、ファーストにはロペスや佐野がいた。これじゃあ試合に出られない。

2018年の巨人はファーストに阿部(39)、サードにマギー(36)、レフトにゲレーロ(32)がいました。あの時に現役ドラフトがあれば、22歳の岡本和真は現ドラにかけられていたかもしれないね。

カープで言えば 中村奨成 がそうでした。試合で使えば打つんだけど、キャッチャーは坂倉で、センターは秋山でした。カープは奨成の出る場所にことごとく蓋をしていたのです。

 

「その高い壁を超えるのがプロだよ!」

と言われましてもねえ…

私が奨成ならコンバートして坂倉と秋山のいないポジションで勝負しますね。それかトレード志願。

現役ドラフトはまさにこういう選手を試合に出したいって制度なんですが、球団もできれば細川・岡本・奨成を出したくない。将来性ある若者だからです。

 

私は今回の現役ドラフトに矢野と羽月が出るかもしれないと考えていました。こいつらもレギュラーで143試合出られる選手だからです。

矢野と羽月がカープにいては小園とキクの控えです。もちろん「時々スタメン」はあるでしょうが、ハッキリ言ってポジションは「4人で1個」くらいしかありません。

 

球団編成

だから選手会とNPBは現役ドラフトを活性化して二巡目もやりたいのですが、12球団は消極的です。なぜかと言うと、ペナントレースが長期戦だからです。

いくら小園が首位打者だといっても、デッドボールでいきなり骨折する可能性があります。全治2か月となれば、矢野と羽月でショートを回さないといけない。だから簡単には出せない。

12球団には「編成部」という専門集団がいて、支配下・育成含め何歳の選手を何人揃えるか計算して戦っています。

支配下選手は70人。「野手35/投手35」と考えれば、多いようで意外と少ないのです。

 

カープは今回大道を現ドラで放出したわけですけど、ファンとしては「もったいない」と思うんですよ。でも大道を一軍に入れると中崎や鈴木健矢を二軍に落とさないといけないわけで、だったら大道はヤクルトで活躍してほしいなと思うわけです。

誰かがケガをした時の代わりの選手というのが、いわゆる「選手層の厚さ」であって、12球団はここを厚くしたいのです。

一方、選手会はそれを「ダブつき」と見るし、大げさに「飼い殺し」と呼ぶことある。

選手会は現ドラ二巡目を活性化したいと考えますが、12球団は主力選手のFA流出や故障離脱に備えないといけない。だから中日は根尾を出さなかったし、カープは矢野を出しませんでした。

 

堂林翔太のケース

堂林も一時期サード失格で、一塁と外野に回されましたが、そこへやって来たのが新井貴浩でした。私はあの時

「新井なんか使わず堂林を使え!」

と吠えてました、

結局、新井は100打点でMVP。新井復帰は完全に美談となりました。

いや、新井が悪いと言ってるんじゃないですよ。勝負に負けた堂林が悪いんですよ。ただ堂林の場合も試合に出せば打てるようになってたと思うんですよね。

新井が衰えると今度はバティスタが台頭。堂林は28歳になりました。

 

堂林も環境が違えばどうなっていたでしょうか?

堂林は2021年に国内FA権を取得しましたが、権利を行使せずカープに残留。「育ててもらった。生涯カープ」みたいなコメントを残しました。※スポニチ

堂林も使えば打つと思うんですが、球団はもうモンテロとファビアンを獲得しました。堂林の成績が「.270、14発」ではスタメンで出られません。

 

まとめ

このように「環境が変わる」という言葉の意味の90%以上は「出場チャンスが増える」という意味です。

「大竹がセリーグの野球にマッチした」

「細川は和田一浩と出会って変わった」

「中村奨成はバットを寝かせて変わった」

は全部 迷信 です。

全く影響がないとは言いませんが、わずかな違いです。

 

大竹はソフトバンク時代からいいピッチャーでしたし、細川も試合に出せば打ててたと思います。奨成のことも4~5年前から「3割打てる」とずっと言ってきた。

クビになった高橋大樹も試合に出せば打ってたはずです。緒方孝市が有原のクジを当てていれば、カープに野間は来なかった。高橋大樹は試合に出られたんじゃないだろうか。

鈴木誠也には勝てないだろうけど、高橋大樹が堂林や長野に勝つ可能性は大いにありました。西川龍馬が外野に来たことも、カープの編成部は計算に入れてなかったでしょう。

 

今、川端順が「よしひこチャンネル」に出てます。

川端がいれば、カープは宗山にも立石に行ってないと思います。

オーナーの趣味なら止められませんが、小園と矢野がいるのに宗山獲って、内田と佐々木がいるのに立石獲るなんてアホみたいです。

 

現役ドラフトで環境が変わればいいと言いますが、大道がヤクルトに行けばヤクルトの投手が一つ仕事を失うわけです。

カープにも辰見が来ました。辰見が代走で羽月がスタメンなら、キクか前川のどちらかは二軍です。選手会はここまで考えて言ってるのかね?


おしまい
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ありがとうございました。

-赤辞苑