プロ野球ファンと大河ドラマは相性が悪い。いや、悪かった。
NHKの大河ドラマは日曜夜8時から。野球中継とかぶるんですよ。
私の親父は大河ドラマが大好きで、ほぼ欠かさず全作品を見ていました。
日曜夜が「巨人-広島戦」なら親父も野球を見せてくれました。だけど「巨人-ヤクルト戦」なら親父は野球を見せてくれませんでした。小学生の私はヤクルト戦でもいいから野球を見たかったです。
巨人戦のナイター
巨人戦の地上波中継が終わったのが2005年と言われています。
1980年代の巨人戦は視聴率20%のドル箱チャンネル。王と長嶋は引退したけど江川や中畑が頑張ってました。大阪に原辰徳のファンは一人くらいいたかなあ?忘れた。
2025年の現在では巨人も普通にデーゲームをやってますが、1980年代の巨人は日曜も全部ナイターでした。アイツら吸血鬼だから青空で野球できないんです。だから今も天井に屋根を付けてる。
もう一つの理由は巨人は入場料だけでなく「放映権料」でも稼いでいたから。
1980年代の家庭にはビデオなんかありませんから、国民は夜しかテレビを見られません。昭和の日本シリーズはデーゲームでしたから、夜にNHKが再放送していたほどです。※参考記事
日曜だけは再放送がなかったかもしれない。大河もあるし、デーゲームを生で見られるからね。
だから私は大河ドラマをあまり見てこなかった。
子供には内容が複雑だし、時代劇は大人向きなイメージ。
じゃあ大人になった今は見てるかと言われたら、全く見てない。
時代劇がキライなわけじゃありません。TBSの「JIN」は全部見ました。面白かった。綾瀬はるかちゃんもカワイイし。
やっぱ私には「午後8時から9時」という時間帯がネックなんですよ。若い頃はまだ仕事してる時間ですよ。
べらぼう
ただ私も大人になり、プロ野球もオンデマンドでいつでもどこでも視聴できる時代になった。
だから私は今年のNHK大河ドラマをちょっと見てみようと思いました。
「大河ありき」で大河の世界にデビューするわけではなく、実は私のデビューの理由は 横浜流星 君(28)にあるんですよ。
私は横浜流星が戦隊ヒーロー役をやってる頃からのファンで、深田恭子とのラブコメドラマで完全にハートを掴まれてしまいました。※参考記事
その横浜流星が主演ということが見たい理由の1番目。
2番目の理由は今度の大河ドラマが アホっぽくて軽い ところです。←ホメてます
大河ドラマの主役にジャニーズを起用してた時代もありましたが、それ以来のNHKの 挑戦 と意気込みを感じました。さあ新しいことを始めるぞ、という意気込み。
時代は江戸時代。1770年代。
場所は江戸の吉原。遊郭の「よしわら」
華やかなイメージですが、実は当時の吉原ってかなりの 財政難 だったみたいです。
正確には「貧富の差が激しかった」という意味。一流の花魁(おいらん)はドジャースと1000億円契約を結べるが、そうでない花魁には戦力外通告。
実際、第1話から流星君の幼馴染みの花魁が 餓死 します。んで亡骸が道端に裸で放り捨てられます。
これを見て憤る流星君。
「なんで姉ちゃんがこんな目に遭わなきゃならねえんだよ!」
流星君も遊郭で働く若衆。子供の頃両親に捨てられ、遊郭の主人に「働かないか?」と拾われたのです。
そこで弟同然にかわいがってくれた「朝顔ねえさん」
その朝顔ねえさんが飯を食えなくて餓死したのです。
怒りに震える流星君は遊郭の主人たちに噛みつきますが、全く相手にされません。
「ワシらは慈善事業をやっとるんじゃないんじゃ。食えぬ女を養ってやる義理はない。分を知れ、たかが選手が!」
ならば流星君。今度はお上に泣きつきます。
泣きついた相手は田沼意次。おいおい大丈夫か?
「田沼様!なにとぞ吉原をお救いください」
「私は吉原のことだけを案じておるわけにはゆかぬ。国益全体を考えねばならぬのじゃ」
「国益?」
「つまり、吉原だけに関わりあっておられぬ」
「そこを何とか!田沼様」
「聞くが、お前は今何をやっておる?」
「は?」
「お前は今、吉原のために何をやっておる?」
「…」
「吉原のためにお前ができることがあるだろう。吉原に人を呼べるような手立てを考えてみてはどうじゃ?」
「!」
流星君はここで生まれ変わります。目が開きます。
そうか、大人に頼らず、俺が自分でがんばりゃいいんだ!
「田沼様!おかげで目が覚めました。このご恩は一生忘れません!」
「田沼様、まことに、まことに…」
おっとここまで。
ふう危ない、あやうくネタ晴らしするところだったぜ。この後の流星君に私は鳥肌が立ちました。
流星君の役名は蔦屋重三郎。つたや、じゅうざぶろう。愛称つたじゅう。
貧乏な生まれでバックボーンは全くありません。親もいないんですよ。
だが彼は裸一貫で立ち上がります。最終的には 江戸のメディア王 にまで成り上がるらしい。何となくナベツネを想起させますね。
大河ドラマはなぜ大河か?
今晩8時から第2話が放送されます。BSは7時。私の親父は待ちきれなくてBSで大河を見てました。
そもそもなんで大河ドラマって大河って言うんでしょう? 川なんか出てきませんよね。
その理由は「大河のようにスケールの大きい物語」だから大河ドラマなのです。
1900年頃にロマン=ロランが自分の小説を「roman fleuve」と例えました。roman=小説、fleuve=川。
フランス語は形容詞が後ろに来るので直訳すれば「川のような小説」となります。
ちなみにロマン=ロランのロマンと、小説のロマンはスペルが異なる別物です。日本語のロマンチックは「小説みたいで夢がある」といった意味。
川にもいろいろあって新しい川もあれば、急流もある。
ただ世界的に見れば川は大きくゆっくり流れている川が多い。日本は山国なのでどの川もほとんど「急流」です。
日本の川はどっちを向いて流れているかほとんど一目でわかりますが、ミシシッピ川なんて流れがゆっくりすぎて、どっちへ流れているか近づかないとわからない。
ラプラタ川なんて向こう岸が見えないくらい広い。名前は川だけど実質海。
中国の長江には14,000年前から文明があったと言われている。
小説を川に例えたロマン=ロランもさすがですが、それを大河と訳した日本人のセンスも素晴らしいです。
日本で最初に大河を謳ったのは 読売新聞 らしい。赤穂浪士の連載を「大河小説」と謳ったのが大河の始まりだそうだ。←諸説あります
私が小学生だった1980年代、NHKの8時の番組は既に「大河ドラマ」と呼ばれていました。
いつからNHK8時が「大河」と呼ばれるようになったのかまでは知りません。