カープのキャンプの話をしようかと思ったんですが、あまりにも衝撃的なニュースが報じられたので今朝はそっちの話をします。
佐々木朗希が契約更改をまだ終えていない、球団にメジャーリーグ移籍を訴えている、ということまでは知っていたんですが、実はNPB選手会を脱退していたというニュースが飛び込んできました。
いやビックリしたわ。それってメリットあんの?
魔球
花巻東高校の菊池雄星くんがNPBを経由せず高校を卒業して18歳でアメリカに行きたいと言い出したのが2009年のことでした。
当時週刊サンデーで連載中だった「MAJOR」という野球漫画がクライマックスを迎えており、高校卒業後彼女を置いてマイナーリーグに移籍した茂野吾郎がワールドシリーズを戦っていた頃でした。
このMAJORという漫画が現在の20~30代の野球少年に与えた影響は非常に大きい。バイブル。
昭和人の感覚で言うとちばあきお大先生のキャプテンである。
野茂英雄が近鉄を退団したのが1994年。
当時のマスコミは野茂のことを「わがまま」と罵ったが、1995年にMLBでトルネード旋風を巻き起こすと手のひらくるり。「野茂スゴい、野茂天才」
漫画MAJORはその時代に連載開始。
タイトルこそMAJORですが90年代の連載当初はまず少年野球から始まりました。
1997年。野茂に続いて長谷川滋利がメジャーに移籍。2000年に佐々木主浩。
2001年、満を持してイチローが移籍。新人王&MVP。8年連続首位打者。
この頃かなあ・・・
茂野吾郎は高校生になり、魔球ジャイロボールを投げ始めるのです。
ジャイロボールって何やねん? この時私は30歳。
菊池雄星は10歳でした。佐々木朗希は生まれてねえ。
ジャイロボールは要するに「ものスゲえストレート」だと思っててください。
2001年頃のジャイロボール初登場以後、日米の野球界は10年近く「ジャイロボールは実在するのか?」と大いに盛り上がりました。
当時西武ライオンズにいた松坂大輔のストレートがジャイロボールだなんて日米の軽薄なデータ野郎が騒いでました。
高性能カメラで松坂のストレートをのぞき込んで「ほらジャイロだ!」って映像をたくさん見せられました。
私は冷めてました。アホじゃないのかと。
当時の松坂のストレートの回転は汚かったので魔球に見えたのでしょう。後に松坂大輔自らが「ジャイロボールはカットボールのすっぽ抜け」と証言しました。ボストンの1年目か2年目です。2007年か2008年。
ジャイロがブームだったのは2001年頃。源は漫画MAJORの影響ですが、コナミ社のテレビゲーム「実況パワフルプロ野球」にジャイロボールが登場した影響も大きかった。ジャイロボールはかなり強烈な特殊能力でした。松坂には付いてなかったけど猪狩兄に付いてました。
2001年の菊池雄星は小学生だったので「茂野カッコいい。俺もジャイロ投げたい」と思うのも無理はない。
んで2003年か2004年に茂野吾郎は高校を卒業。彼女を日本に残し、一人でアメリカに渡るのです。
だいたいなこんな感じ。細かい点まで覚えてません。あまり真剣にMAJORを読んでないので。
とにかく2004年頃中学生になった菊池雄星は
「へえ・・・高校卒業してすぐアメリカに行ってもいいんだ」
と思ったと思います。私もキャプテン翼を読んで小学校を卒業したらすぐブラジルへ行くつもりでしたから。
上原浩治のケース
私にとってのバイブルはキャプテンとあぶさん。ドカベンはちょっと話が難しかった。大甲子園は好きでした。
菊池雄星(32)や大谷翔平(30)のバイブルはMAJORだったんじゃないですかね。花咲徳栄高校・高橋昂也(25)のバイブルもMAJORでした。
2001年がジャイロボール初登場。
2003年が18歳の茂野の渡米。
この頃、30過ぎてて茂野吾郎の影響を受けたアホな大人が読売巨人軍の上原浩治(30)でした。
30歳の上原は2003年に入団したルーキー内海哲也から
「上原さん、この漫画おもしろいっすよ」
と言われてMAJORを知りました。
上原は
「何これ?おもろいやんけ。俺もアメリカ行きたいやんけ」
と考えたのです。2004年の話です。
その年のオフから毎年のように上原は
「ポスティングでメジャーに行きたい!」
と騒ぎ始めたのです。
巨人球団は毎年毎年、
「いい加減にしろ。逆指名で入団した選手がポスティングなんてワガママすぎる」
と断り続けました。
結局上原浩治が海外FA権を行使してメジャーに移籍するまで5年くらいかかりました。
佐々木朗希のケース
佐々木朗希が生まれたのは2001年。小園海斗の1個下です。
リアルタイムではMAJORを知らないでしょうが、単行本でMAJORを読むことはできます。私が初めてキャプテンを見たのもアニメの再放送です。君は何かができる。
佐々木朗希が小学生だった時代は日本人がメジャーリーグで活躍するのが当たり前でした。
イチローは10年連続200安打だし松井秀喜はMVP。
ドジャースにいた黒田博樹の男気単年契約を佐々木朗希が知っていれば現在の朗希君も少しは態度が違ったかもしれない。
そして22歳の朗希君は大谷翔平のMVPと1000億円の契約を見た。
「俺もアメリカに行きたい」
と考えるのは当然であります。
私たち過去の人間は「もう少し日本球界に貢献してからでも遅くはない」と考えます。
だが21世紀生まれのZ世代は世界に飛び出すのが当たり前の世代です。
生まれた時からインターネットとトラックマン。野球はメジャー。ジャイロにカットにツーシームです。
だから佐々木朗希の契約更改が越年するのもよくわかる。ロッテには気の毒だけど若者がワガママ言い出す気持ちもわかる。
だけど朗希が選手会を脱退する理由はよくわからん。
選手会は選手のメジャー移籍を妨害する組織なのか?
そして選手会会長、我らの會澤翼(35)が佐々木朗希にキレてるってマジか? ※週刊文春
ウソだろアツ。アツがこんなことでキレるはずない。
アツをキレさせたら大したものですよ。
なんだよく見りゃまた文春か。