2023.3.29(水) センバツ
報徳学園 5x-4 仙台育英 甲子園
野球はツーアウトから。昨日の甲子園でドラマチックな試合がありました。
ツイッターでは「甲子園の魔物」「報徳のセンター」などがトレンド入り。
劇的なドラマが生まれたのは9回表2死からでした。
試合展開
9回表2死1塁。1対3。仙台育英、最後の攻撃。
報徳学園・今朝丸投手が投げる。3番永田君が高めストレートを打つ。
詰まった打球はセンターへ。報徳のセンター前進する。アナウンサーも言いかける。「試合しゅう･･･」
だが打球は無情にもセンターのグラブをかすめて地面に落ちる。記録はエラー。中失。残酷。
1塁走者ホームイン。2対3。1点差。よくぞ走ってた。
打者走者もしっかり全力疾走して2塁到達、ギリギリセーフ。最後まで諦めない仙台育英が素晴らしい。
なおも仙台育英のチャンス。9回表2死2塁。得点は2対3。打席には4番・斎藤君。走者には代走・登藤君。
この時、私には見えたんですよ。報徳・今朝丸投手にスイッチが入ったことを。
味方のミスを消してやる
野球ってミスが付きものです。
ましてや高校生。甲子園はさっきまで明るかったのにナイター照明が灯ったばかり。
私も現役最後の公式戦で中失をやってるんですよね。思い出しちゃったよ。
報徳学園の今朝丸投手は名前がカワイイ。けさまる。カワイイ。笑
この今朝丸君は仙台育英の3番をセンターフライに打ち取った時、「ヨッシャー！」と叫んだように見えました。「これでベスト4進出だ！」と誰もが思ったことでしょう。私は「この打球はけっこう難しいぞ」と思いながら見てましたけど。
2死1塁ですから外野は深めに守っています。しかもバッターが振り抜いたわりには打球が詰まっているので、センターは前進しながらランニングキャッチしなきゃいけません。
「ポロッとやんなよ･･･」
と思ってみてたら本当にポロッとやりました。
この時の今朝丸投手の表情が非常に良い。
「よっしゃ大丈夫。このピンチ、オレが絶対抑えてやる！メラメラメラ･･･」
私には今朝丸君のスイッチが入るのがハッキリ見えました。
強いチーム、ましてや甲子園まで進出するようなチームは味方のエラーに「何やってんだ」などとは決して思いません。
強いチームは味方のミスに対して
「ドンマイドンマイ、これから取り返せばいいんだ」
と必ず考えます。
「何やってんだ」
「お前のせいだ」
と考えるヤツは弱虫のチキン野郎です。ツイッターで選手の誹謗中傷を平気でするようなやつらです。
しかし相手も強い。今朝丸君は同点タイムリーを打たれ、試合は延長戦へ。
10回表に仙台育英が勝ち越して4対3。今度は報徳がピンチ。
10回裏の報徳学園の攻撃。タイブレーク無死12塁からのスタート。
すると今度は仙台育英のサードの子がエラー。報徳同点4対4。なお無死13塁。仙台育英、絶体絶命。
続く8番打者の打球はまたもサードへの強い当たり。球場に悲鳴が響くが、今度は仙台育英のサードの子ががっちり捌いて1アウト。3塁走者は進塁できず。
おっちゃんは仙台育英のサードの子にも感動しました。
仙台育英は9回裏にも2死23塁の大ピンチを招いて、ややこしい当たりのセカンドゴロが飛んだんですよ。
私はまた「この打球も難しいぞ」と思いながら見てました。
だけど仙台育英のセカンドの子は上手にバウンドを合わせて、体が1塁側に流されつつも踏ん張って1塁へ正確な送球を見せました。
我々は普段プロ野球の一軍の試合を見ているので、野球の複雑なプレーが「できて当たり前」と感じるようになりやすいです。だけど高校野球ではランニングキャッチとかランニングスローってけっこうミスするし、ハーフバウンド送球を一塁手が捕ってあげられないこともしょっちゅうです。
だから私は高校野球のフライやゴロを見ても全く安心できません。最後まで油断できません。
そこでややこしい打球をしっかり捌くチームは「よく鍛えられている強いチームだな」と感じるわけです。
そういう意味ではタイムリーエラーされた今朝丸投手の態度は立派でしたし、仙台育英の内野陣も重圧のかかる土壇場でたいへん立派でした。
私の場合は土壇場になると、
ボールよ、頼む･･･
オレのところに･･･
飛んでこないでくれ･･･
と願うばかりでしたよ。
涙腺の話
今年、初めて甲子園を見ました。
涙腺が弱くなるのは、年を取ったからではなくて、
たくさんの経験をしてきたからなんですよ。
恋愛映画やヒューマンドラマに感動するのは、自分も似たような苦しさと嬉しさを経験してきたからです。
報徳や仙台の選手たちが味方のエラーを責めるどころか「大丈夫、俺たちが取り返してやる！」って表情で全力プレーしてるのを見ると涙腺がちょっとね･･･
ミスしたこともあるし、ミスした子を助けたこともあります。
苦しんだこともあれば、それを乗り越えたこともあります。
私、昨日の夜7時ごろ、そんなことを考えながら報徳と仙台を応援してました。うるうるしてる私を見て、春休みの息子たちに心配されたほどです。笑
とにかく結果は報徳学園がベスト4進出。小園海斗以来6年ぶり。
対戦相手は何度も連覇している最強・大阪桐蔭。
大阪桐蔭の西谷監督はなんと報徳学園のご出身です。
エースの前田悠伍君は2023年のドラフト候補。この子の1回戦だけちらっと見ましたが、物足りない感じでしたね。ペース配分してたのかもしれないけど。
