赤辞苑~岩見優輝

NHKの球辞苑ていう番組、面白いですね。
テーマがマニアックすぎます。「牽制球」とか「初球打ち」とか、もうたまりません!
私は外野手なので、そのうち「守備位置」とか「風」とかがテーマにならないかと期待しております。
打撃の「タイミング」まで行くと、これはもう野球の「奥義」です。
ちょっとテーマが壮大すぎるか・・・とか日々妄想しています。

 

ということで、私も球辞苑をパクらせていただきました。
広島バージョンの球辞苑なので「広辞苑!」だと元に戻ってそのまんまなので、「赤辞苑」で行きましょうか。
第1回目のテーマは岩見優輝。高校の歴史の授業風にお届けします。

広島県立妄想高校3年1組・・・

先生
おーい授業を始めるぞ!
さっさと席につけ!

 

生徒たち
ガタガタガタ・・・ゴトゴト・・・・

 

先生
ったく・・・チャイムが鳴ったら、先生に言われる前に席に座っておけ。
では歴史の授業を始めるぞ。教科書233ページ。
うむ、そうだ。今日は2004年の第86回全国高校野球選手権大会の続きから始めるぞ。
前回は大会5日目にPL学園の1年生・前田健太が日大三高打線の二巡目に掴まって惜敗したところまでだったな。
では大会6日目からのページを・・・よし迫丸。お前が読んでみろ。

 

迫丸
はい。この日から夏の甲子園も2回戦。
6日目の注目は秋田商業の剛腕・佐藤剛士vs春の覇者・済美高校。
四番・鵜久森のホームランなどで済美高校が11-8で勝利。
大会7日目は中京大中京が広商を破った浦和学院に勝利。

 

先生
うむ。広島商業は3年生の岩本貴裕がエースで四番。
浦和学院の捕手は2年生の今成亮太だったな。ここは試験に出るからしっかりノートに書いておけよ。
よし次、片岡。大会8日目~12日目までを読んでみろ。

 

片岡
8日目第3試合は岩見優輝を擁する熊本工業が明徳義塾と対戦。
8回と9回に岩見がつかまり、明徳が逆転勝利。岩見は春の雪辱を果たせず最後の甲子園を終えた。
続く第4試合で春に熊工をノーヒットノーランで破った東北高校のダルビッシュが登場。
新鋭・遊学館を3安打完封。

 

先生
ダルビッシュと投げ合った遊学館の先発投手は背番号8の鈴木将光2年生だぞ。忘れるなよ。

 

片岡
大会10日目からは3回戦。第一試合は駒大苫小牧が日大三高を7-6で破り、初のベスト8進出。
大会11日目は千葉経大付属vs東北高校。
エースのダルビッシュが延長戦で打たれ3-1。千葉経大が勝利。

 

先生
うむ。2004年の駒大苫小牧vs日大三高を甲子園史上のベストゲームだという声も多い。ここは必ず試験に出るところだぞ。
苫小牧の左腕・鈴木康仁、背番号11はアンダーラインを引いておけ。
そして千葉経大付属。エース松本啓二朗は松本監督の息子だ。松本は丸佳浩と入れ替わりで卒業し早稲田進学。
松本は大学で斎藤佑樹や福井優也らとチームメイトになり、阪神と横浜からドラフト1位指名を受ける。
一方、軟式野球出身の丸佳浩を千葉経大にスカウトしたのは父・松本監督だ。
丸が今でも野球ノートをつけているのはこの松本監督の教えを守っているからなんだ。ここも忘れるなよ。
では最後は・・・鈴川。いよいよ準々決勝から決勝戦までだ。

 

鈴川
はい。大会13日目。ここから準々決勝。第1試合は中京大中京vs済美高校。
小椋対福井優也の息詰まるエース対決。雨の中の激戦は2-1で済美が辛勝。
第2試合は駒大苫小牧が涌井の横浜高校を撃破。
大会15日目からは準決勝。
第1試合で済美が鵜久森の今大会3本目のホームランなどで千葉経大を破り決勝進出。済美は春夏連覇まであと1勝。
第2試合では勢いに乗る苫小牧が東海大甲府を破って北海道勢として初めて決勝戦に進出決定。

 

先生
うむ。なんかワクワクしてきたぞ。

 

鈴川
大会16日目、決勝。
苫小牧はいつものように岩田から鈴木康仁に継投。済美は1回戦から一人で投げ続ける2年生福井。
疲労困憊の投手たちは強力打線につかまり、結果13-10で苫小牧が勝利。北海道勢初優勝を飾った。

 

先生
よーし、お疲れさん。
苫小牧の鈴木は被安打16。福井優也も被安打14。壮絶な試合だったんだぞ。
後のエース田中将大はまだ1年生で、アルプススタンドで先輩たちを応援していたんだそうだ。
いや、それにしても盛りだくさんだったな。2004年の甲子園は非常に「名勝負数え歌」だ。
だからこそ毎年毎年、国立妄想大学の入試問題にもたくさん出題されている。
みんな、2004年の夏の甲子園はしっかり覚えておくんだぞ。

 

生徒
はーい。

 

先生
よし、今日は特別に熊本工業の岩見優輝について授業をしよう。
ここは試験に出ないが、彼はけっこうトリビアな野球人生を送っていて興味深いからな。

 

岩見優輝は高校を卒業後、亜細亜大学に進む。
ここで同級生の岩本貴裕と出会う。
亜細亜大学ではフォーム固めに苦労するも、4年生になって才能が開花。
ドラフト上位指名が有力視されるが、プロ志望届は提出せずに「スカウトの方にお世話になったから」という理由で大阪ガスに入社。
岩見は社会人でも活躍し、2年後の2010年、東京ガスの榎田大樹とともに「社会人ナンバーワン左腕」というふれこみで一躍ドラ1位候補に躍り出る。
そしてこの年のドラフトはハンカチドラフト。
大石達也に6球団。斎藤祐樹に4球団が重複する。
大石を外したカープは済美出身の福井優也(早稲田大学)を1位指名。

 

阪神が1位で行くかと思われた岩見は3位でカープが指名。阪神の1位は同じ左腕の榎田だった。
3位で社会人ナンバーワン左腕の岩見を指名したことに全国のカープファンは色めき立った。
今でいえばJR東日本の田嶋大樹を3位で指名できたようなものだ。
前年の「2位で堂林」に続き「3位で岩見」が妄想カープ界の流行語大賞に選ばれたほどだ。

 

しかしプロ入り後の岩見は故障に苦しみ、プロ入り4年間でわずかに1勝。
5年目の2015年には背番号が46に代わり、それまでつけていた背番号28番は新井貴浩の背中に移った。
5年目も岩見は一軍登板ゼロ。オフに戦力外通告を受け「野球に未練はない」と発言し引退。
現在は広島市内で会社員としてファイナンシャルプランナーの資格を取得。生保関係のお仕事をされているようだ。

 

そして注目は岩見のインスタグラム。
非常に頻繁に更新されており、カープの現役投手も多数登場している。
特に一岡。登場しすぎだ。
どんだけ仲良しやと。笑

 

そんな岩見がなんと昨日のインスタに新しい名刺の写真をアップしているんだ。

 

「MSH医療専門学校 野球部 投手コーチ 岩見優輝」

 

あれ、MSH?
どっかで聞いたことあるな・・・

 

ああそうだ、今年クビになった育成選手、松浦耕大の出身校だ。
しかし一岡の沖データ専門学校ぐらいの「聞かない名前」だな。
いったいどんなところなんだろうか・・・

 

へええ、スポーツトレーナーを目指す人たちの専門学校か。しかも広島市西区。
そして松浦耕大もこの春からここに復帰してトレーナーの国家資格を目指しているのか。ふむふむ。
今井啓介もトレーナーや鍼灸師を目指すと言っていたが、こりゃあもしかすると・・・

 

んで、MSHの硬式野球部がけっこう強いわけか。なるほど、なるほど。
選手は広商や盈進などの名門高校の出身者多数。
コーチやトレーナーもカープの大物OBがずらり。

 

ここに来季から31歳の岩見優輝が加わるのか。こりゃ要チェックだな・・・

 

・・・ハッ!

 

ごほん・・・

 

最後は独り言のようになったが、以上のようにプロ野球選手のセカンドキャリアはかくあるべきである。
ロッテや巨人で活躍した前田幸長はリトルリーグのチームを作り、山本武白志をプロ入りさせた。
今年ドラフト1位で指名された履正社高校の安田君も、元阪神の赤星の教え子だ。
プロ野球OBがアマチュア球界で選手を指導する姿は、見ていて非常に気持ちのいいものだな。

 

岩見は今も亜細亜大学の後輩の飯田や九里を可愛がっているというし、中崎や一岡とも仲が良い。
そんな岩見優輝がコーチとして再び野球に関わる姿が見られて私はとても感激している。

 

生徒
あのう、先生、妄想が長いんですけど。
もっと受験に関係する授業をお願いします。

 

先生
ばかもん!
ったく近頃の若い奴ときたら、すぐに結果を欲しがる。
いいか。そういう選手は逆にプロに入っても大成せんのだぞ。
まずは下半身を鍛えるかの如く、何事も基本を大切にだな・・・

 

生徒
(また始まったよ。これだから昭和の人って・・・)

 

先生
ん?そこ!何か言ったか!?

 

生徒
いいえ、別に。

先生
いいか、結論を急ぐな。
何事も急がば回れだ。まずは小さいことからコツコツとだな・・・

生徒

・・・

 

おしまい
岩見さん、まだ30歳なんですね。
今年のドラフト1位田嶋君を見てると、なんとなく岩見のカマキリ投法を思い出します。笑
岩見を3位で獲れた時は嬉しかったんですが、後で聞いたらその時には既に肩を痛めていたらしいです。
ここらへんが阪神が1位を回避した理由ですかね・・・