カープの強さのカギは中田廉と一岡竜司

由伸よ、今の広島にいいリズムをもたらしているのは誰かわかっているか?
それがわかっていないとひょっとすると食われるぞ
・・・ということで今回は今のカープのどこに「強さの秘密」があるのかを考察してみます。

昨日ジョンソンがまたも登録を抹消されました。
普通ならば「エースが離脱! 大ピンチ!」と大騒ぎするところですが、今のチームにはそれほどの危機感はありません。
貯金があるし、先発で使ってみたい投手もたくさんいるからです。
「エースの長期離脱」さえ「少々のアクシデント」で済ませてしまう今のカープ。
ここらで菊池涼介も休ませて「2番セカンド安部、7番サード堂林」も見たいと思ってしまう今日この頃です。
いつからこんな層の厚いチームになったんでしょうか。

思い返せば緒方監督1年目の2015年。
あの年、カープは黒田復帰で盛り上がり「優勝しなくてはいけないシーズン」だったと思います。
この年の開幕ローテは豪華絢爛なメンバーでした。
1.前田健太
2.クリス・ジョンソン
3.黒田博樹
4.野村祐輔
5.大瀬良大地
6.福井優也
凄すぎます。すさまじい先発陣です。
しかしこのメンバーで戦ったチームは借金2の4位でした。

2017年、7月25日現在のローテも粒揃いです。
1.野村祐輔
2.大瀬良大地
3.中村祐太
4.薮田和樹
5.岡田明丈
6.九里亜蓮
2015年のスーパースター軍団と比較すると地味な印象ですが、今の貯金は25です。

2015年のカープと2017年のカープ、いったい何が違うんでしょうか?
<1>攻撃力
<2>相対的強さ
<3>ブルペン力
このあたりを考察してみましょうか。

<1>打力
過去3年間のチーム打撃成績
2015年 打率.246 本塁打105 得点506 1試合当たり3.5点
2016年 打率.272 本塁打153 得点684 1試合当たり4.7点
2017年 打率.281 本塁打 96 得点484 1試合当たり5.4点
年々成績が上がっています。琢朗コーチ頼りになります。
こりゃ独走するわけだ。

<2>相対的強さ
これはいわゆる「よそが弱くなった部分」です。
巨人で言えば阿部がキャッチャーを辞めたこと、山口マシソンが衰えてきたことが大きいです。
ヤクルトで言えばROB解散の影響が最も大きいでしょうか。
阪神は何といっても藤浪の謎の不調。本来ならば菅野や大谷と張り合ってないといけない選手です。
2015年は優勝チームの貯金がわずか11でしたし、2016年のセリーグ2位チームも貯金が2しかありませんでした。
他のセリーグのチームが今、世代交代の過渡期で苦しんでいる状況もカープ独走の一因であると思われます。

<3>ブルペン力
勝ち星の多い先発投手陣と個性あふれる打撃陣に隠れて見落としがちですが、今年一番いいところは「ブルペンの力」ではないかと感じています。
2015年はクローザー・ヒースがコケて、その後釜探しをしている間にシーズンが終わった印象。大瀬良がリリーフで起用され、回を跨ぎに跨いだ影響は翌年にも残りましたからね。
2016年は中﨑、ジャクソンの「2枚の方程式」でスタートしましたが、開幕直後にヘーゲンズが加わり「3枚の方程式」が完成。
この3枚目が非常に大きかった。ブルペンが安定すると同時に「中崎の回跨ぎ」がほぼ無くなりましたから。
シーズン後半にヘーゲンズが先発に回ると、フォークを憶えた今村猛が復活して「3枚」を保持できました。
そして迎えた2017年も「3枚」でスタートしましたが中﨑が一時離脱。その代わりに7回の男として登場したのが薮田。薮田が先発に回ると今度は一岡と中田が登場。中﨑が復帰するも、今度はジャクソンが不調で現在の7回の男は一岡が務めています。

ここまでのセリーグ6球団の防御率を先発/救援別に見てみると
広島 阪神 Dena 巨人 中日 ヤク
先発 3.55 3.46 3.65 3.40 3.89 3.95
救援 2.82 3.02 3.83 3.72 3.85 4.23
となります。

「投壊」と言われているヤクルトでさえも実は先発投手の防御率には大きな差が見られません。
どこのチームも苦しいのはブルペン陣のようです。
私は常々「勝ちパターンで出せる投手は4枚ほしい」と考えております。
3枚だと2~3年は持ちますが、それ以降は体力的にキツくなると思うからです。
4枚いれば勝ちパターンの投手たちの負担も減り、5年10年と活躍できると思うのです。
近年のプロ野球においては「ブルペン力」=「ペナントレースの順位」に近しい結果が出ていますが、今季もそれに順ずる数字が並んでいます。
これは非常に興味深いデータです。これを堅持するためには方程式3枚ではもはや足りない時代なのかなとも思います。
ちなみにカープに限れば2015年の救援陣は2.86、2016年は3.06でした。

ということで、
「誰が広島にいいリズムを生み出しているか」問題ですが、私は「ブルペン陣」に一票を入れたいと思います。
具体的に言うと絶対的守護神の中崎に、経験豊富な今村猛。
そして「4枚目」として中﨑ジャクソン今村の負担を減らしてくれている中田廉と一岡竜司です。
この二人の復活が今季の独走の「いいリズム」を生み出してくれていると思っています。

<1>ブルペンがしっかりしているから先発投手は6回7回を目標に飛ばして投げることができる
<2>先発投手が試合を壊さないので、相手先発投手にプレッシャーがかかる
<3>相手先発投手が1点もやりたくないと考えるところに、味方打線が繋がり1点また1点と追加点が重なる
<4>相手先発がノックアウトされると相手も勝ちパターンの投手は出しにくい。結果またダメ押し点が入る
<5>セーブの付かないシチュエーションになり、カープはリリーフ投手を酷使せず若い投手にも経験を積ませることができる
<6>結果ブルペンがますます強くなり、余った投手は有事に備え二軍で先発調整に回る。また投手層が厚くなる
と、まあここまでうまく回るかどうかはわかりませんが、ブルペンが強いと確実にチームは勇気を安心を得られますよね。

今年は3枚でスタートしましたが、来年は4枚でスタートしてほしい。
そうすれば3連覇、4連覇できる息の長いチームが完成すると思います!