昨日NPB選手会(会長・會澤翼)が12球団の承認を得て、ついに2022年12月に現役ドラフトなるものが始まることが正式決定されました。されたはずです。
今日は現役ドラフトの狙いと仕組みを説明して、最後に「実際どうなるの?」を考察してみました。
では始めます。衝撃ですよ。
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現役ドラフトの狙い
現役ドラフトの狙いは「二軍で燻っている選手に出場機会を与えたい」ということ。
自チームではレギュラーになれないけど、他チームに移籍すれば一軍で試合に出るチャンスがある選手を12球団で交換しましょうよ、ということ。
名前はドラフトですが、イメージ的にはトレードの方が近いと思います。
現役ドラフトとは「12球団合同トレード会議」に近いイメージです。
スケジュールは以下の通り。
11月上旬 第一次戦力外通告
11月中旬 新人選択会議(ドラフト会議)
11月下旬 第二次戦力外通告
12月1日 保留者名簿の公示
12月上旬 現役ドラフト会議
一部では「戦力外選手の交換会」と揶揄されていますが、決してそうではありません。
12球団は新人ドラフト会議を終えて、64~65人(新人含む)の支配下登録選手を抱えている状態で現役ドラフトに臨みます。おそらく現役ドラフトで指名される選手はNPB選手会の思惑通り、飼い殺されている二軍選手が中心になると思われます。だってクビになる選手はもうクビになってるんだもん。
現役ドラフトの仕組み
では12月の現役ドラフトがどのように行われるのか、簡単に説明します。
[1] 12球団が自チームの保留者名簿の中から1~3人の選手を選び、現役ドラフトに提出する。ただしその選手の年俸は1億円以内とする。
[2] 現役ドラフトで入札された球団のうち、一番入札数の多かった球団から順に他球団の選手を指名できる。その後は「選手を獲られた球団」に指名権が移っていき、12球団が一巡する。
[3] 各球団が獲得できる選手は1人だけ。
※産経新聞の記事が詳しいです。こちら。
例えばカープが堂林と野間を提出し、11球団のうち3球団が野間に入札、4球団が堂林に入札したとします。すると合計7球団がカープの選手を指名したことになります。
もしカープの「合計7球団」が12球団最多の被入札数だったら、ウエーバー順でカープが1位となります。つまりカープが「11球団×1~3名」の約20~30選手の中から好きな選手をいの一番で指名できるのです。ただし現役ドラフトで獲得できる選手は1人だけです。そして穫られる選手も1人だけです。
細かなルールはまだ調整中です。今後変更点が出てくる可能性もありますが、大筋では他球団から欲しがられる選手を出したチームが有利という図式に変わりはありません。
続いて今年の現役ドラフトが実際どうなるのかをシミュレーションしてみます。
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実際どうなるの? パターンA
新人ドラフト会議では通常、各球団が100人程度のリストを作成し、そのリストの中からほしい選手を指名していきます。
現役ドラフトでもおそらく「参加選手のリスト」が事前に12球団に渡されるでしょう。そしてそれは間違いなく非公開です。参加選手が可哀相だからです。
各球団は会議当日までに参加選手(推定20~30人)の中から優先順位を付けて会議に臨みます。
パターンAではカープが現役ドラフトに消極的な場合を想定します。
この場合、カープは控え捕手や故障している選手などをリストアップすると思われます。
そうするとカープの指名順が最後になる可能性があります。
ただしその場合でもカープの指名順は12番目です。市場に出てる20人の中から12番目に指名できることはそう悪い話ではありません。現役ドラフトはスター選手を指名する性質のものではなく、チームの弱点を補う性質のものだからです。
ハッキリ言って実際は
「いい選手を穫られるくらいなら無理に穫らなくていい」
と考える球団の方が多いと思います。特に初年度はね。
だからカープは野村祐輔、薮田和樹、山口翔などを現役ドラフトに提出するのではないでしょうか。残念ながら彼らはクビも涼しいですけどね・・・
こうなるとカープは選手を獲られない可能性が高くなり、獲れる順番が来てもあえて獲らない可能性も高まります。カープはドラフト会議によるチーム編成がほぼ完璧で、FA補強やトレードに頼る必要性が薄いからです。ファン感情もパターンAが多数派だと予想されます。
実際どうなるの? パターンB
パターンBはカープ球団が積極的に現役ドラフトに臨む場合です。
その場合の球団の狙いは親心です。うちでは試合に出られないけど他球団ならレギュラーになれる。もっと試合に出して、給料を稼がせてあげたいという親心。
近年のカープ球団はトレードに消極的であり、自チームの控え選手をよそに放出することはほとんどありませんでした。ハッキリ言って「選手を飼い殺すケース」も多かった。
例えばわれらの高橋大樹です。半年前に戦力外通告を受け現役引退。27歳の若さでした。彼の実力は長野久義を凌ぐものがありました。何が足りないかといえば一軍経験だけだったのですよ。
現役ドラフトの狙いはまさにこういう選手を救済するためのものです。外野の控えだった高橋大樹は鈴木誠也が骨折しない限り試合に出られないのです。
現在のNPB選手会長はわれらの會澤翼であります。カープ球団が率先してアツと選手会を応援する可能性もゼロではないと思います。
カープが積極的に動く場合、いったいどう動くのか?
ちょっとシミュレーションしてみました。
なお「積極的に動く」の意味は「不要な選手を大量解雇する」という意味ではありません。
「二軍の選手にチャンスを与えたい」
という気持ちと
「他球団の有望選手をカープのスターに育てる!」
の二本立てで臨まねばなりません。
一岡竜司も長野久義もすっかりカープのスターになりましたよね。あのイメージです。
ではシミュレーションを始めます。
カープが現役ドラフトに積極的に参加する場合、ぜひともウエーバー順で1位を獲得したい。
そのためにカープは「野球のうまい選手」を現役ドラフトに提出するのではなく、他球団の補強ポイントにマッチする選手を提出するほうが得策でしょう。
私はセリーグしか知りませんが、およそどこのチームも補強ポイントは投手となるでしょう。とりわけ先発投手です。
「イヤ、うちは先発投手が有り余ってて困ってんだよw」
なんて豪語できるチームは現在12球団で広島カープしかありません。
そうです。
カープがもしも積極的に参加するなら二軍の先発投手を提出して、ドラフト1位指名権を獲得すると思われます。
具体名を出します?
やめときますか?
やっちゃろうやあ!
あくまで例えばの話なんですが、
高橋昂也(24)なんてとても人気が出ると思います。
新人の森翔平(24)もおもしろい。
野手では中村奨成(22)も人気出るでしょう。大盛穂(25)も玄人好み。
驚きましたか?
私もみんなのことが好きで期待していますよ。
でもみんなの出番は少ないです。坂倉と末包を試合に出すなら奨成と大盛は一軍の試合に出られません。
ファンは彼らがいてくれるだけで嬉しいし、チームには「保険」として貴重な存在です。だが昂也個人や奨成個人がそれで幸せなのかどうかを考えろって話なのです。
高橋昂也や中村奨成はカープのトッププロスペクトですが、パターンBの場合は引く手あまたであります。
言っときますが、私の昂也愛は坂倉愛に匹敵します。
だが高橋昂也が一軍で輝く時、今度は遠藤淳志や玉村昇悟が二軍に落ちるのです。
先発ローテは6人でよい。7人目はチームの保険。大事な役割ですが昂也君も10勝できる実力があるならトレードしよう。これが現役ドラフトの趣旨。
これを「寂しい」と考えてきたのがこれまでの日本球界です。
時代は移り変わり、NPBでも少しずつFA選手の自由移籍が活発化してきました。
カープ先発陣はあと3年は安泰でしょう。その時昂也君は二軍で3歳、年を重ねるんですか?
坂倉でさえ先発マスクをかぶる回数は少ないのに、まだ中村奨成はチームのために便利屋を続けるんですか?
難しい問題ですが、私はパターンBも悪くないんじゃないかと思います。
まとめ
・現役ドラフトは開催決定
・たぶん初年度は12球団消極的だろう
・カープは育成球団なのでたぶんパターンA
・昂也と奨成は既に一軍レベルの選手
・現役ドラフトは実はアメリカでもそんなに成功していない