野村祐輔が佐賀北高校に満塁本塁打を打たれた後…

昨日もキクマルの凄い守備で2位ヤクルトを大逆転!マジック17!
ですが、まだ昨日書き切れなかったカープの「次の塁を狙う野球」について解説させてください。

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「次の塁を狙う」は盗塁だけではありません。
進塁打、バント、そしてカープ伝統の全力疾走と攻撃的走塁。
もちろんリスクも伴います。
しかし次の塁を狙ってアウトになったランナーを、カープの監督が怒ったことは滅多にありません。

20歳の高橋慶彦が浩二の前で盗塁しまくって次々アウトになるもんだから、江夏か衣笠に怒られたことはあります。
若かりし天谷宗一郎があまりにも状況判断ができていないので「いい加減にしろ!ルールわかってんのか」と私が怒ったことがあります。
ルーキーの野村謙二郎もめちゃくちゃでした。よくツーナッシングから走ってアウトになりました。
しかしそんなの可愛いもんですよ。

 

なんで広島野球が伝統的に機動力野球なのか。
答えはカンタン。
広島はいつも貧乏で非力なチームだからです。
走らないと点が取れないからです。

カープがそうだから広島野球が機動力野球になったのか、
広島野球が機動力野球だからカープもそれに倣ったのか、
そのルーツは定かではありません。
1973年の広商の達川光男が江川卓を破った2ランスクイズが原点とも言われており、1975年カープ初優勝の大下剛が原点だとも言われています。

 

現役なら野間峻祥。惚れ惚れしますねえ。
8月24日の中日戦で魅せた衝撃のセンター前ヒット。記憶に新しいところ。
お手本のようなクリーンヒット。野間は1塁をオーバーランして大島の捕球体勢を見る。
そして大島はちょっとスピードを緩める。それを見た野間は加速。
大島が2塁へ送球するも間一髪セーフ。野間、今日もセンター前2塁打。

もう野間にすれば普通のプレーで、広島ファンなら誰も驚かないプレー。
でも改めて考えてみれば非常にリスキーなプレーですね。なんかちょっと忘れてた。
ノーアウト1塁がワンナウトランナーなしになるかもしれない訳です。

しかし緒方も高も野間に「いつでも行け!走れ!」と伝えているはず。
でないとあんなハチャメチャ走塁はできない。
野間だけじゃない。松山以外の全員に次の塁を狙えと指導しているはずです。

 

もう一つ、広島野球の例。
2007年夏、甲子園決勝の9回表。佐賀北高校vs広陵高校。
8回裏に満塁ホームランを打たれ5対4と逆転された広陵最後の攻撃。
先頭打者がヒットで出塁。ノーアウト1塁。

次の打者は7番。当然送りバント。8番野村祐輔、9番小林誠司に期待する作戦。
1塁側にいいバント。ランナーは2塁へ進塁。
この時、バントシフトを敷いた佐賀北の3塁ベースが空いたのを見てランナーは一気に3塁を狙いました。
逆転満塁ホームランを打った副島君が慌てて3塁ベースカバーに戻る!
1塁ランナー、ヘッドスライディング!

アウトーーー!!!
これも微妙な判定でした。セーフに見えたなあ。

2死走者なし!広陵絶体絶命!
しかしうなだれる1塁ランナーをベンチで中井監督はハイタッチで歓迎しました。
音声は聞き取れませんでしたが、笑顔で「ナイスラン!」と言ったように見えました。
球場もナイストライに暖かい拍手が。

この後はノムスケ三振!佐賀北優勝!中井監督ちょっぴり問題発言!!!
という夏でした。
しかしこの場面で3塁を狙った林君は素晴らしいです。当時2年生。中田廉と上本崇司の同期です。

こういうプレーが大好きなのは私だけではないはずです。
だって広島野球の伝統なんだもん。もちろん悔いもない。
ナイスラン、林君!

 

座右の銘は「暴走と好走塁は紙一重」「倒れる時は前のめり」
もちろん暴走はいけません。でも次の塁を果敢に狙ってアウトになったら仕方ないじゃありませんか。
ヒットを打とうとして相手投手に抑えられることだってあるんですから。同じワンアウトですよ。

強いチームは無理せず次の打者に期待する作戦をとればいい。
実は今年のカープも打線の強いチームで、私ちょっと気になることがあります。

 

例えばカープの得意なプレーの一つに
「ランナー2塁の時、タイムリーヒットを打った打者走者がワザと1・2塁間で挟まれてアウトになる」
というプレーがあります。
このプレーを「ホームインを助ける援護の走塁」と私は呼んでいます。
この援護の走塁、去年はたぶん10回くらいやりました。

今年はあんま記憶にありません。1回だけ覚えてます。打者石原。場所はどっかのドーム球場。←未確認
今年は誠也が四番に復帰して、5番松山、6番バティ。7番8番のアツと龍馬も3割超え。
今年は無理しないでいいんです。

 

このように巨人や阪神など伝統的に強打のチームは機動力に命をかける必要はありませんでした。
なので伝統的に走塁を軽く見ています。悪い意味じゃありません。
野間みたいなトリッキーでリスキーなプレーをする必要がなかったということです。
「好みの問題」とも言えますかね。

カープは走らないといけない。
だからドラフトでも足の速い選手を優先して獲得します。

野間と誠也が代表作。
野間はベースランニングならウサイン=ボルトに勝てるんじゃないか。
直線距離を走らせると野間より誠也の方が速いという噂もあります。
しかし野間はあの顔の割に状況判断が素晴らしい。
打球が落ちるか落ちないかを判断するスピードが速い。
スタートを切るタイミング、加速するタイミングが他の選手よりうんと速い。
そして走るコース取りもいいのでしょう。

もう4年目で25歳か。
このスピードはいつまで見られるかな。
顔の割に野球センスが高そうなので早くセンターに挑戦させたいです。
きっと丸を超えるセンターになれます。

今日も走るぞ、広島カープ!