1990年代のプロ野球では川相昌弘や平野謙が1回表から送りバントをし、シーズン最多犠打数、犠打の連続成功記録、1試合4犠打(笑)などのプロ野球記録を次々と打ち立ていましたが、近年では高校野球でさえ1回表に送りバントをするチームは少なくなりました。
「送りバントは非効率だ!」と言われて久しいです。
だがいつも常識を疑う私はホントにそうか?と思わざるを得ません。川相のチームも平野のチームもかなり強かった。何度日本一になったか数えきれないほどです。羨望・・・
そこで本日は誠也の抜けたカープに対し、
1死1塁で送りバントをしろ!
を提案します。
メジャーの野球と日本の野球
1987年、現役メジャーリーガーのボブ=ホーナーが来日。
93試合で31発。華々しい記録と鮮烈な記憶を残し、ホーナーは1年でメジャーに帰りました。
去り際にホーナーが言い放った
「地球の裏側にもう一つのベースボールがあった」
は当時けっこう物議を醸しました。
ハッキリ言ってホーナーは送りバントのことを散々ディスって去って行ったのです。
アメリカ人はホームランが好き。
日本人は自己犠牲が好き。「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」
精神論はさておき、今日はデータを使って説明します。
まずアメリカと日本の野球の違いはそのパワーです。
メジャーリーグに挑戦した日本人投手が口を揃えて言うことは
・8番打者にも一発がある
・アウトローにも手が届く
・最近のボールはよく飛ぶ
です。
NPBでも4番打者は送りバントをしません。一発があるから。
MLBでは8番打者にも一発があり、最近では2番が4番より一発を打つ。そりゃバントなんか不要だわな。
■MLBvsセリーグ 年間本塁打数比較
2019年 6776本 837本
2020年 2304本 674本
2021年 6143本 760本
メジャーは30球団。セリーグは6球団の合計です。
試合数はMLB162試合、セリーグは143試合です。(2020年はコロナでMLB60試合、セ120試合でした)
このままだと比較しづらいので、MLBとセリーグの「143試合に換算した平均チーム本塁打数」を比較します。
それがこちら。
どん。
■143試合換算チーム本塁打数
MLB平均 vs セリーグ平均
2021年 180本 126本(123本)
2020年 183本 112本(110本)
2019年 199本 139本(140本)
()内はカープのチーム本塁打数です。MLB平均にはDH制度のあるアリーグも含めています。
MLBはチーム平均180発打線ですからやはりパワーはあります。2021年のセ最多本塁打はヤクルトの142発です。
コロナ前の2019年シーズン、MLBではシーズン300発のチームが2チームありました。
だからサムライはバントをします
記憶に新しい東京五輪の栗林5連投。
日本代表は5試合を戦って5勝0敗で金メダル。栗林は2勝3セーブ。MVPよこせや。
んで稲葉監督は5試合で6個送りバントを決めています。
決勝戦の8回裏には1イニング2犠打を記録しています。笑 まあ源田のはセーフティバントでしたけど。
代打・栗原陵矢のシビれる一発バントも印象深いですね。このブログでも大賞賛しました。カープのキクは無死12塁の送りバントを失敗しています。
ん?
侍JAPANはなぜ送りバントを多用する?
日本代表が決めた送りバントは合計6個。成功したのは坂本×2個、山田哲人、梅野、栗原、源田です。若かりし鈴木誠也もプレミア12の時は送りバントをしています。
日本代表が送りバントを多用する理由は一発勝負だからでしょう。負けられないトーナメントだから。でも負けられないのはペナントレースも同じじゃないの?
ペナントレースは興業で、バントばかりじゃつまらないという側面もあるでしょう。しかしカープは走者を進められないし長打もない。盗塁もない。ならもっと送りバントをすればいいじゃありませんか。
カープはバントもヘタですが、投手がいいのがストロングポイントです。着実に得点圏に進める野球も悪くないと思うのです。
星野仙一監督の送りバント
1988年の中日がよく1死1塁からの送りバントを仕掛けてきました。
こっちは大野や川口が投げていて、相手は西本聖や山本昌広。8回終わって1対1。よくあるシチュエーションでした。
ここで星野監督は9回1死1塁からよく送りバントしてきました。2死2塁。代走岩本。
ここで岩本がよく3盗するんですよ。達川は3塁へ投げられません。岩本のスタートもいいし、悪送球するとサヨナラだから。2死3塁。
こうなると大野はパームボールを投げにくいし、ショート謙二郎の守備もちょっとコワい。笑
結果は打たれたり抑えたりなんですが、イレギュラーの多いナゴヤ球場と市民球場での2死2塁や2死3塁は非常にコワかった。だから1死1塁の送りバントはとてもイヤな作戦でした・・・
進塁できない広島カープ
2022年の広島カープは4番も決まっていなけりゃ、1番2番も決まっていない。近年のカープはエンドランや盗塁がヘタ。
送りバントもヘタだけど、盗塁よりは簡単です。やってもいいんじゃないのかな。
8回9回で同点なら1死1塁の送りバントはとても有効な作戦だと思います。
■カープバント名人ランキング
職人・・・キク
上手・・・龍馬、田中、堂林、磯村
普通・・・アツ、上本、坂倉、石原、三好、長野、奨成、羽月
下手・・・安部、野間、小園、宇草、大盛、曽根
ゼロ・・・松山、正隨、林、マクブルーム、末包、健人
下手な人は下手で仕方ないのですが、問題は送りバントを一度もしたことがない「ゼロ」の人。今さら松山にバントは不要だとしても、正膸、林、末包はバントぐらいできないといけません。ケンティーはなんとなく上手そう。
一番いけないのはベンチがサインすら出さないことなんですよ。
去年も8回9回の無死1塁で打者が林や正隨の時、
「なんでバントしないのかなあ・・・」
と思うことが多々ありました。ヒットを打って繋いだこともあったかもしれませんが、そういう問題ではありません。同点や1点負けてる8回9回、相手はクローザーやセットアッパーです。連打は難しい。まずは手堅く走者を進めるべきです。小園、坂倉、マクブルーム以外は全員バントできないといけないと思います。
今季を見据えた戦いを
進塁打も打てない、盗塁もできない、ホームランも期待できないなら最後の手段は送りバントじゃないですかね。
「送りバントは得点効率が悪い」と言いますが、それは年平均180発打てるチームの理屈ですよ。
カープは去年123発。そのうち38発は鈴木誠也でした。もしマクブルームが38発打ってもチームは去年と同じかそれ以下です。借金5の4位です。
カープの9回は栗林。8回は島内。他に森浦、中﨑、フランスア、黒原、塹江、松本もいる。
ハッキリ言って逆転スリーランとか必要ないと思います。初回に1点先制すれば森下や大瀬良が投げてる間に相手がミスって追加点をくれると思います。そうすりゃ「島森栗」で勝てると思います。
サード田中、センター大盛が入ると守備はグッと固まります。私の構想はセンター奨成ですけど、もし大盛を使うなら龍馬を外して1番レフト大盛も面白い。その時は2番ライト野間、3番センター中村奨成。進塁打を打てる野間は龍馬よりもスタメンに欠かせない選手です。
カープは今日から日本ハムと3連戦。
二俣と韮澤が二軍に落ちて、上がってきたのが坂倉と田中です。持丸一軍。
こりゃ完全に坂倉をサードで起用する気満々でしょう。今日はおそらく3番か2番でサードスタメンです。ヤダなあ・・・
田中がサードで復活したらもう一度あの頃の「いぶし銀な野球」ができますね。マクブルームもとりあえず一塁。そうすりゃ坂倉がキャッチャーで森下の防御率も1点台へと回復します。
当の坂倉は殊勝なコメントを残していますが、練習なしで一軍のサードを守らされようとしています。辞退しろサク。「キャッチャーのできるチームに移籍したい」とかなんとか言って。
ハッキリ言ってケガしてないなら、
ファースト坂倉も冗談じゃないんですよ。
去年そこそこやれたからって冗談じゃありません。
私は打てる捕手に価値があるとは言ってません。坂倉の捕手力だけを評価しています。
私は坂倉のリードにチーム防御率を1点以上下げる力があると言っているのです。
センター奨成にも1日1本ヒットを防ぐ力があると思ってます。赤松と大盛は1日に2本防ぐかもしれないですがね。こないだ近本もカープのヒットを2本ぐらい防いだでしょうが。
弱いチームは送って守れ。
打率なんて飾りです。アホの朝山にはわからんのですよ。