阪神近本がFA権を行使せず残留。今日は近本残留の背景を妄想します。
近本が10時間も悩んだ理由は最後に書きます。
11月11日(火)の動き
近本光司が11月11日(火)の午後9時に記者会見を開き、
「遅くなり申し訳ありません。FA権を行使せず、阪神に残留します」
と発表しました。
この日はFA宣言の期日だったため、日本ハム・松本剛と楽天・辰己涼介 が相次いでFA権の行使を発表していました。
松本は午前11時、辰己は午後3時に発表しました。
その一方で巨人・中川は午後5時に残留を表明。DeNA桑原と神里はまだ発表していない状況でした。
ネットには
「近本と桑原はまだか?」
「互いに出方を窺っているのか?」
とやきもきするファンの声が溢れました。
夜9時。近本がようやく出した答えは「FA権を行使せず残留」でした。
近本には「行使して残留」も認められていました。
阪神球団は既に「出来高込みの5年25億円」を近本に提示済みでした。
おそらく阪神球団のこの条件は10月31日(金)の初交渉以来、昨日まで一切ブレることがなかったでしょう。
阪神球団は功労者・近本に対して、日本シリーズ終了直後から最大限の誠意を示していました。当ブログでも阪神球団の選手への態度と誠意を大賞賛しています。※参考記事
近本はそこから熟考モードに突入。
私の予想は
「近本はいったんFA宣言して他球団の評価を聞くだろう。そして阪神か巨人かで悩めばよい」
でした。
10月31日時点で近本は
「じっくり悩んで、自主的に決断したい」
と語っていました。
去年の大山もそうだったように、近本には宣言残留の道もありました。
だから私も「近本は頑張ったんだから、権利を行使して悩めばよい」と考えていました。
しかし近本の出した結論は「FA権を行使せず残留」でした。これはなかなかの 男気残留 です。阪神ファンは嬉しいだろうね。
松本剛と辰己の動き
松本剛と辰己涼介は11日にFA宣言を発表。
ともにBランクであるため、ネットには「獲るとこあるんか?」と心配の声も上がっていますが、こちらも宣言残留が認められており、いわゆるセルフ戦力外の心配はなさそうです。
DeNA神里も残留を発表。桑原は現時点でまだ不明。
桑原もBランクですが、宣言残留OKなら宣言するんじゃないかな?私にはわかりません。
これを冷静に見ているのが 巨人 です。
巨人は近本光司に5年30億を用意していたとも噂されていますが、松剛・辰己・桑原らへどうシフトチェンジするのか、私には何の関係もないので、じっくり見物しようと思います。
藤川球児の動き
日本シリーズ終了後の10月31日から今日までの間で、ひとつ気になった動きがありました。
それは11月3日(月)に藤川球児が意味深なコメントを出していたことです。
藤川「選手の権利だから僕から言うことは何もない。ただ彼の普段の行動を見ていれば、彼がどういう決断を下すかはある程度想像がつきます」※日刊スポーツ
果たして藤川の予想は当たっていたのか?
私は
「近本がFA宣言したらおもしろいのにな。藤川はどんな気持ちになるのかな?でも近本が巨人に行かれても、それもまたうっといな」
と複雑な気持ちで見ていました。
藤川の言った「近本の権利だから自由にすればいい」は本音だと思います。残留してほしいけど、こればかりは選手の権利だから。選手が自由に移籍できるわけだから。
藤川はその上で
「近本ならたぶん宣言しないか」
みたいなことをマスコミにほのめかしました。大した自信というか、近本に圧をかけたのかもしれないですが、カープファンの私には両者の関係がよく見えない。
「チッ、宣言してりゃ藤川の吠えヅラを拝めたのに」とは思ってます。
巨人の動き
今年のFA市場に出てくるのは結局7人とマエケン。
マエケン、則本、東浜、松葉、
伊藤光、石井一成、松本剛、辰己
太字はBランク以上と見られる、人的補償が必要な選手。
則本は海外FA権の行使ですが、移籍するとすればおそらく国内球団になると思います。
注目は巨人がどの選手に触手を伸ばすかです。
巨人の本命は先発投手とセンター。人的補償はクソ喰らえの球団なので、坂本勇人をいったん自由契約にしてでも、Bランクの選手を獲りに行くでしょう。
長野・内海・上原の話は昔の話ですが、去年大山を獲りに行ったのは最近の話です。秋広を出してリチャードを獲ったのは今年の話。
巨人は東浜と則本にアタックすると思います。一軍で使えなきゃ田中将大のように三軍調整させとけばよい。
センターはどうするかな。いくら巨人でもBランクの選手は2人までしか獲れません。Bを3人獲るのは不可能。東浜(B)+松葉(C)+松本剛(B)なら3人獲得可能です。
辰己はメジャー志向の強い選手なので、どこも獲りにくいだろうなあ。楽天に残るんじゃないか?
以前も書きましたが、現在NPBはセンターの人材が不足しております。
今年センターで規定打席に達した選手は5人。近本、岡林、桑原、キャベッジ、西川愛也。
桑原がFAしてもDeNAには蛯名・梶原がいるし、度会と森も試合に出したい。
センターを一番欲している球団は巨人と阪神でした。
阪神には近本が残留。巨人は松剛に行くんじゃないか。
ソフトバンクには周東がいるし、オリックスには麦谷がいる。辰己をかぶせることはないだろう。
広島には中村奨成が出てきたし、ヤクルトは岩田と塩見がいる。ヤクルトはドラフト1位でサードを獲ったし、内山壮真もセンターをそつなく守れるだろう。
近本が最後まで悩んだ理由
結論。以下は妄想多めです。
近本は前日の11月10日(月)にも球団事務所を訪れていました。
その時は割とすぐ帰ったみたいです。おそらく
「マジでFA宣言しても、僕は阪神に戻れるんですよね?」
「ああ。心配するな。宣言残留はウエルカムだ。ただし条件は一切変わらんぞ。ウチの誠意は既に提示してある通りだ」
「あざす」
みたいな感じだったと思います。これが月曜日の昼ごろ。
なのに近本は火曜日の午前10時にも球団事務所を訪れている。そこから午後8時まで 10時間 も球団事務所にいたらしい。よくやるぜ。
ネットが言うような「辰己や桑原の出方を窺っていたのか?」はないと思います。逆ならあり得ますが、近本が辰己と桑原の動向を気にかける必要は1ミリもありません。
10時間も何を話していたかというと、これも近本は会見で話している。金額のことじゃなく将来のことだと。
5年30億の巨人の話を聞いて阪神に戻るか、聞かずに阪神に戻るかで揺れたんだと思います。
球団が「宣言残留を認めない!」と突っぱねれば、近本はもっと早く「行使せず残留」を決断できた。
ところが球団が「宣言残留OK」を認めてくれたから、逆に近本は悩んだ。去年の大山も同様。
大山悠輔は宣言残留しても阪神ファンから愛されている。
DeNAの三浦大輔も選手時代にFA宣言して残留したことがありますが、DeNAファンは誰もそんなことを気にしていません。三浦はDeNAを日本一に導いて、ファンと一緒に男泣きしました。
広島の新井貴浩なんてマジで広島を出て行きました。あの時は私も激怒した。
だけど今は新井を愛している。小園と坂倉のポジコロだけは許せんが、阪神を倒して新井と一緒に涙したいと思っている。
近本の周りにはFA宣言してもファンに愛されている男が大勢いる。10時間悩んだ理由は「宣言くらいしたっていいじゃん」だったと思います。これは私個人の妄想です。
だが近本は宣言しなかった。ファンのことも考えたし、自分のことも考えたでしょう。それでいいんじゃないですか。
中日の柳裕也は
「ドラゴンズに投げる自分がイメージできなかった」
と黒田博樹の名言をパクり、中日残留を決めました。
若い柳は黒田の名言をおそらく知らない。柳も20年前の黒田と同じ気持ちだったのでしょう。
近本と柳はなかなかの男気残留をしました。