今日は路上ライブの話をします。カープの話はありません。
TBSで12月1日に放送された「いくらかわかるカネ?」という番組を見ました。
VTRに映るゲストが何かをやって、その合計金額がいくらになるかをスタジオゲストが予想するクイズ番組です。
例えば「プロ野球選手が回転寿司で満腹になる金額はいくらか?」みたいな問題が出ます。
VTRに登場したのはロッテの大砲・山口航輝(23)
山口はいくらで満腹になったと思いますか? 行ったお寿司屋さんは「くら寿司」です。
いくらかわかるカネ?
ロッテの山口航輝がくら寿司をお腹いっぱい食べたらお会計はこうなりました。
まさかの・・・
35億。
もうええて。古いねんて。
マジメな正解は
4,740円でした。
少なっ!
てっきり私は野球選手って2万円くらいお寿司を食べるんだろと思ってました。
山口が食べたのは23皿39貫。ビールは飲んでません。これで4,740円。くら寿司、安いな。
大食い芸人が一人で16,000円食べてたので山口にはもう少し頑張ってもらいたかったぜ・・・
プロ歌手が路上ライブ
ここから本題。
次の問題は
「プロ歌手が本気で路上ライブをやったらいくら稼げるか?」です。
路上ライブと言えば駅や商店街で若者がギター片手に歌うやつ。
「ゆず」のお二人が路上ライブからスターダムにのし上がった話は有名です。
しかも路上ライブは音楽だけじゃありません。昔は手品やってるヤツもいたし、パントマイムやってるヤツもいた。
んで見てる人たちが「いいね!」と思えば、演者に向かって投げ銭を入れます。
今、動画サイトで「投げ銭システム」なるものが存在するが、その元ネタは路上ライブの投げ銭なのです。
手品師はひっくり返したシルクハットに投げ銭を入れてもらうし、ミュージシャンはふたの開いたギターケースに投げ銭を入れてもらうのが一般的。
そんな路上ライブをプロの歌手がガチでやったら、投げ銭がいくら集まるかを予想する問題です。
お笑い芸人は1万7千円
問題のヒントです。
ライブ会場は千葉県のJR柏駅。柏駅の駅前広場みたいなところで2時間のライブをやって投げ銭を稼ぎます。
プロ歌手が登場する前に、まずお笑い芸人が挑戦しました。
お笑い芸人の名前はこがけんさん。けっこう有名な人。モノマネもお上手。
テレビ番組だということはお客さんには内緒です。カメラも隠し撮り。
ライブが始まると駅前に集まってきた女子高生がけっこうキャーキャー言ってました。こがけんさん、人気あります。
歌も上手い。星野源とか米津玄師は特に盛り上がってました。
若者向けの歌を2時間歌い続けて、こがけんさんが稼いだ金額はなんと17,000円。これにはスタジオもびっくり。
そしていよいよプロの歌手が登場。
北島ファミリーで紅白出場歌手の大江裕さんが路上ライブに挑戦します。おおえゆたかさん。
お笑い芸人が17,000円。
プロ歌手ならいったい・・・
夢と妄想が膨らみます。笑
演歌歌手は○万円
大江裕さんは34歳の演歌歌手。紅白1回。
当たり前ですが歌がめちゃくちゃ上手い。美声。
しかも、この方の選曲が非常によい。
前半はギターで谷村新司とか加山雄三のアップテンポな曲を歌うんですよ。
後半は石川さゆりと美空ひばり。本職の演歌で攻めます。
途中、お客さんからのリクエストに応えるシーンがあったのですが、お客さんがリクエストした曲は秋川雅史さんの千の風になってでした。
プロの演歌歌手が目の前で千の風を歌ったら、駅間にいたおばちゃん全員が大号泣しました。笑
生・千の風はズルいです。「覇王色の覇気」みたいでした。
そんなこんなで2時間経過。
大江さんが稼いだ投げ銭は合計120,000円でした。12万円。スゴかった。めっちゃおもしろかった。
高齢化社会の縮図を見た
私はこの番組を笑って見ていましたが、途中から真剣に
「日本の少子高齢化もついにここまで来たか」
と強く考えさせられました。
お笑い芸人のこがけんさんが歌っている時、周りに集まってきたのは女子高生たちでした。
だから投げ銭はだいたい100円玉。路上ライブの投げ銭の相場はだいたい一人100円です。高校生が500円なんて滅多に出せない。
だけど演歌歌手の大江さんに投げられる投げ銭はだいたいどれも1,000円札なんですよ。投げるのはじーさんとばーさん。
「そうか! 21世紀は高齢者に向けた路上ライブをやるべきだ!」
若者たちは忙しいから立ち止まってくれないし、投げるお金も持ってない。
だけど70代80代のじーさんばーさんはヒマでカネもある。
「若い子にゃお金がいるじゃろう。どれ、ひとつ1000円札でも入れてやろうカネ・・・」
という気持ちになるんじゃないですカネ。
もちろんこがけんさんと大江さんの歌唱力に圧倒的な差はありました。高校野球とプロ野球くらい。
しかし1万7000円と12万円の差は歌唱力だけではないような気がしました。
お金を持ったまま死ねない
路上ライブをするような若いミュージシャンは若い曲を書いて、若い曲を歌いたい。若い女にモテたい。
だけど曲を聴く方の若者はこの先減っていくし、昔も今も若者はだいたい貧しい。お金を持ってない。
ゆずやビートルズみたいなバンドを目指すのもいいけど、オールド層をターゲットにした氷川きよしみたいなバンドが今後出てくるかもしれませんね。
お年寄りってお金を持ったまま死ねないんですよねえ・・・
柏駅の路上ライブでは1万円札を入れてた人も2~3人いました。
あとはだいたい千円札。じーさん、ばーさんが若い子に100円玉の小遣いなんて恥ずかしくてあげられない。投げ銭は千円札でお年玉は1万円札です。
だから路上ライブを志す若者たちよ。
君たちの目的は投げ銭じゃなくスカウトの目に止まることかもしれないが、どちらにしても路上ライブでオリジナル曲を演奏するより、その場にいるおじいちゃん、おばあちゃんが喜ぶ曲を歌った方がいいかもしれないぞ。
秋川雅史の「千の風になって」が大ヒットしたのは2006年。今から17年前。
千の風は懐メロとしてちょうど良い感じにビンテージされてきたんじゃないか。
駅前の路上ライブで年寄り向けの曲を歌うと、投げ銭が硬貨から紙幣に変わるんじゃないか。
もっと言うとビジネスの世界ではあらゆる業種で高齢者向けの新商品が開発されています。
映画にしても宮崎駿とかスラムダンクとか「いつまでやってんだよ」という作品が大ヒットしています。
なのに音楽業界はいまだに若者ファッションの最先端ばかりを目指してないか?
懐メロ番組や懐メロ動画は多いけど、高齢者向けの新曲はあまり多くないんじゃないか。
サザンもユーミンももうすぐ引退します。ポジションは空くと思いますよ。
サザンとユーミンのポジションとは50代のおっさんおばさんを喜ばせるポジションのこと。そのポジションを20代のヤツが狙ってもいいと思います。