2月13日付のデイリースポーツに安仁屋さんとキクのロング対談が掲載されました。※デイリー
キクは安仁屋さんと二人で
「今時の若いもんは…」
とぶちまけました。
かなり辛口のインタビューだったので、違和感を持たれた方も多いんじゃないでしょうか。
今日はキクのこのロングインタビューを徹底解説します。
普通に真っすぐを見逃し三振か
春のキャンプは勝負だと思うんです。その場所で「普通に真っすぐを見逃し三振か」と、そういう場面を見て僕は思ってしまって。「俺らにチャンスあるわ」じゃなくて「俺が取ってやる」ぐらいの選手がいないとダメ。
菊池涼介
キクが言いたいことは、若手に対して「危機感が足りないよ」ということ。
「俺らにチャンスあるわ」と思ってる若手にキクは「甘い、甘いよ。来年も野球できるとは限らないよ」ということ。
だけど2年目や3年目の若手にはそれがわからない。
私の記憶では「普通に真っすぐを見逃し三振」してた選手は 内田湘大 と 末包昇大 の二人。韮澤雄也もしてたかもしれない。
内田は満塁で鈴木健矢のカーブを空振った後、ストレートを2球見逃して三振。最後は真ん中低めでした。2球目は内角低めギリギリでしたが、3球目は2球目よりコースは甘かったです。
末包は常廣だったかな… アウトコースからど真ん中に物凄くシュート回転してきたストレートを見逃し三振。あの時は2死無走者でしたが、先発常廣が2者連続三振で調子に乗りかけて来たところで、情けなく見逃し三振。2回裏の三者連続三振は相手先発投手が尻上がりに調子を上げます。だから喰らってはいけないのです。喰らうにしても空振って三振しろ。
キクはこの二つの見逃し三振のことを言っています。私にはわかるのです。
韮澤も内角低めのストレートを見逃し三振してたような気がしますが、ニラの見逃し三振にはイラっとしませんでした。相手投手のベストボールだったからあれは仕方ない。
内田の見逃し三振は2死3塁から3番4番がガマンして連続四球で繋いだチャンスでした。2死満塁。
この場面で5番内田は初球のカーブを空振り、ストライクワン。泳がされて全くタイミング合ってませんでした。
1球ボールの後、ストレートを2球連続で見逃して三振。スリーアウトチェンジで 無得点 に終わりました。
3番奨成と4番モンテロはタイムリーヒットを打って打点を稼ぎたい。理由は自分の給料が上がるから。
だけど奨成もモンテロも打ちたい気持ちを我慢しました。一体なぜか?
チームの勝利のためだからです。
ボール球を振ってアウトになるのが最悪。ボール球はしっかり見逃す。ストライクを振ってアウトは仕方ない。
ま、あの時は健矢があっぷあっぷでストライクボールがとてもハッキリしてましたから、そこまで立派なもんじゃないけど、二人がアピールしたい気持ちを抑えて次に繋いだことは事実です。
キクが言いたいのはこういうことなんですよ。
「内田よ、ここで普通に真っすぐを見逃し三振か。せめて3球振って三振してこいよ」
私にはわかるのです。私もキクと同じことを思いましたから。
末包の見逃し三振も情けなかった。ど真ん中ストレートでしたから。
こちらは紅白戦ではなくシート打撃の話です。常廣が5者連続三振を取った時です。
シートノックでエラーする
シートノックもなんかだらけてるなと。ノーエラーで絶対やってやろうって思ってる人もいないだろうし、1本目から普通に送球ミスもする人もいる。「キャッチボールで何してたの?」と。そんな感じなので。だから寂しい
秋山さんなんかノックでも1個そらしたり、低いボールを投げただけで今でも「あー!」とか言っている。そういうのをどう感じるか。それだけ正確にやりたい、完璧にやりたいと思ってノックを受けてるってことが表れているわけだから。それをふわっと受けてるようじゃダメ。
今は(秋じゃなくて)春ですから。その1個のミスが点につながったりするっていう経験をしてない選手もいっぱいいるので難しいですけど、メジャーまでいったり、実績ある人が1個の送球ミスで「あー!」って言ってるのを見たら、感じるものがあってもいいとは思います。僕はそういうふうに見ています。
いつも思うけど、俺のブログって字が多いなあ。若い子は付いて来られないだろうな。笑
さて今度は守備の話。
私も日南キャンプはポロポロしてるなと感じていました。※参考記事
キクが言いたいのは
「今は秋季キャンプじゃないよ。春季キャンプだよ。1つのミスも許されない公式戦がもうすぐ始まるんだよ。秋山さんが143試合ノーエラーを目指して今、必死に練習してる。なのに若い子が練習でポロポロやってるようじゃ、競争なんかになるわけないだろ。笑」
ってこと。
キクは笑ってないかもしれない。
キクは 怒ってる かもしれない。
ポロポロやってる人は大勢いました。
一番ポロポロしてた選手は モンテロ です。
ウォーミングアップのボール回しや、投内連携の最後でしょっちゅうポロッとやってました。
紅白戦はノーエラーでしたが、ややこしい打球はゼロでした。そもそも守備に就いた時間も2~3イニング程度でした。
佐藤啓介のセカンドフライ落球も印象深いですね。韮澤雄也のセカンドゴロは達川に「一歩前へ」と言われました。2020年のキクは120試合に出場してノーエラーでしたね。
センター中村奨成にも難しい打球をポロリする場面がありました。
秋山翔吾は去年センターでノーエラーでした。奨成のもエラーではないんですが、アウトにできた打球ではありました。そう言われてみればセンター秋山の守備でミスらしいミスを見た記憶は一度もないですね。
外野手のエラーってイチかバチかの3塁送球が逸れて走者をホームインさせた時とかに付くので、失策数の多い少ないが守備の上手下手には直結しません。
サード小園もシート打撃と紅白戦で合計2個エラーしました。1個はファースト仲田侑仁が拾い上げてアウトにしてくれましたが、エラーになっててもおかしくないプレーでした。
私は「日南のグラウンドじゃしょうがない」と思っていますが、キクは思ってないのかな?
競争なんかできてない
記者「チームの外から見る分には、若手の熾烈(しれつ)な競争が行われていると思っていた」
菊池「いや、僕からしたら競争できてないです」
去年の契約更改でキクは
「2025年は若手に厳しいことを言っていく」
と言ってました。有言実行ですね。
中日の星野監督がマスコミを通して選手に「意識改革」や「注意喚起」を伝えることが得意でした。
星野仙一は1987年に40歳の若さで中日ドラゴンズの監督に就任。んで1年目から牛島和彦を放出して落合博満を獲得したり、カープと大乱闘したりしました。
菊池涼介は現在35歳。なんか星野に通じるものを感じる。鉄拳制裁じゃないけど、チームを厳しく律したい。
37歳のマエケンはPL学園で殴られて鍛えられたと公言しています。
35歳のタナキクマルも似たようなこと言ってました。
28歳の末包はどうなんだろ? まだあっただろうなあ。
24歳の小園海斗。このあたりが ボーダーライン じゃないかな。
小園より上の世代は先輩が神様で絶対服従と鉄拳制裁。
小園より下の世代は先輩も友達感覚でイジりの対象。髪型も自由。
地域性もあると思いますが、小園以下の世代は「競争と暴力のない野球部」に育ったのかもしれない。
キクは「厳しいことを言ったらシュンとする選手もいた」と言っています。
これたぶん、
小園海斗 のことだと思われます。
緒方孝市も河田雄祐も20歳の小園にやたら厳しかった。昭和の野球人が令和の野球選手を見るとイライラすることが多いでしょうね。気持ちはよくわかります。
キクは現役選手でコーチではありません。
だから去年は言いたいことがあっても我慢しました。それで4位でした。
キクは悔しかったし、変わらないといけないと思った。だから契約更改の時、スーさんに言いました。
「来年は小窪さんや赤松さんに遠慮せず、僕の言いたいことを(チームのみんなに)言わせてもらっていいですか?」
だからキクは語り始めました。
「シート打撃でヒットを打つだけがアピールじゃないよ。監督は君たちの練習もしっかり見てる。君たちには手を抜いてるヒマなんか無いんだよ」
秋山とキクは手を抜いていない…と言いたいところですが、若手とは別メニューのため、現時点で二人の練習量は若手より少ない。
秋山が必死で守備練習をしている姿が若手にはまだ見えないんじゃないか。
キクは「競争なんかできてない」と言ってるが、私は内田とキクがいれば内田をスタメンさせますよ。
内田とキクへの期待値はともに打率.230、本塁打10本。
キクの守備走塁、勝負強さ、トリックプレーやセーフティバント。どれも面白いし、カープの武器です。
だけど私は内田を使う。キクが.230なら内田を使う。
今年のカープがスキのない昭和の野球で戦うならキクと秋山にかなう若手はいません。だから去年は私もスモールベースボールを支持しました。
だけど4位でした。痛みを伴って変わらないといけない。
私とキクは昭和の野球人。キクの言うこともわかるが、私は今年「打って勝つ野球」を目指します。
内田が三振してエラーするのも税金です。教えてやれよ、内田にも。
キクを現役引退に追い込むのは内田と小園です。あと矢野。
今年は競争になると私は思うぞ。