村上宗隆がインハイの150kmを打ちました

2022.8.23(火) 

ヤクルト 5-4 広島 神宮 

表題の通り村上宗隆が島内颯太郎の150kmインハイを完璧なダウンスイングでライト上段に逆転スリーランを打ちました。

ハッキリ言って完敗です。

私は散々「村上は150kmインハイを100%打てない」と主張し続けてきましたが、昨日村上はその弱点を克服しました。

まぐれではありません。まぐれで島内の150kmインハイをあそこまで飛ばせません。

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アッパースイングとダウンスイング

昨日の解説は奇遇にもNPB最後の三冠王、松中信彦でした。

松中も私や前田智徳と同様、最近の「バットをボールの軌道に入れるアッパースイング打法」を否定する考えの持ち主でした。

アッパースイングは「カットボールとツーシームでゴロを打たせる投球」に対応するための打ち方です。いわゆる「動くボールを打ち上げる」ための打ち方。メジャーリーグ式バッティング。

村上宗隆、大谷翔平、柳田悠岐などがこの打ち方の代表格。

真ん中低めツーシームを左中間にホームランできるのが彼らの特徴ですね。

 

一方、前田、松中、鈴木誠也などはボールに対してバットを上から出すダウンスイングのバッターです。

昔ながらの「トップからミートポイントまで最短距離でバットを出す」型。これは「相手ピッチャーの最も速い球を強く引っ張る」ための打ち方です。

40歳以上のバッターは、幼い頃からこの打ち方を指導されます。相手バッテリーに強い敗北感を与えることができるのが彼らの特徴です。

 

私の言うアッパースイングにはレベルスイングも含まれており、近年はトップの位置が肩より下にある打者も普通にいます。

私の言うダウンスイングとはトップの位置が肩より上にあり、そこからインハイの高さに最短距離でバットを出せる打ち方のことを言います。

 

村上や大谷のようなアッパースイングの打者はインハイの150kmに弱点があります。阪神の佐藤輝明もそうですね。

過去の村上でも「150kmの動くボール」ならインハイを引っ張ったことは多々あります。これは相手投手の最も速い球にタイミングを合わせて打ちに行くから、動く球ならインハイでも差し込まれず間に合うのです。

過去の村上は「インハイのフォーシーム」をほぼ100%ジャストミートできませんでした。詰まったヒットはあるけどね。

村上はたとえ球速140kmであっても相手のフォーシームがインハイに来ると打てませんでした。理由は村上が相手ピッチャーの最速のボールをセンターに打つタイミングで打席に立っているからです。

  

昭和生まれの打者は「相手ピッチャーの最速のインハイを一発で仕留めろ」と教わります。

一発で仕留めろの意味は「強く引っ張れ」です。左バッターならライトに放り込め、の意味。

松井秀喜はインハイのストレートをライト上段に放り込むのが大得意でした。NPBの投手は松井のどこへ投げていいかわかりませんでしたが、MLBでの松井秀喜は動くボールに苦しみました。

  

村上宗隆の打撃は進化した

昨日の村上の逆転スリーランは完璧なダウンスイングで打ったものでした。私は初めて見ました。

もちろん100%読んでたからあの打ち方ができたのでしょう。たいへん見事な打ち方で私も参りました。島内の完敗です。今までごめんなさい。

冒頭に書きましたが、まぐれでは島内の球をライト上段まで飛ばすことはできません。村上はこれまで弱点とされていたインハイまっすぐを克服したと言ってもいいでしょう。穴のないバッターに進化したという意味です。

もう並みの投手では村上を抑える術はないでしょうね。敬遠するしかありません。松井秀喜のNPB最後の方がこういう感じでした。村上も当時の松井のような「投げるコースがない」バッターになりましたね。

 

そして全く遺憾ながら村上の打撃を進化させたのはまたしても広島カープでした。

6回裏の1死12塁でケムナに代えて島内。そもそも1死2塁の段階で3番のキブレハンに変化球で四球を出しているんですよね。

キブレハンはケムナのまっすぐに完全に差されていたし、もし一発打たれてもまだ同点です。村上の前に四球を出すことが最もやっちゃいけないことだと私は思いますが、アツと佐々岡はいつも目の前の打者のことだけで「いっぱいいっぱい」です。

結局キブレハン四球。1死12塁。

 

ここで河田が動きます。ターリーか・・・と思いきや、何とピッチャーは私の島内颯太郎。

そして例のインハイまっすぐ攻め。初球はマン振りで空振り。

2球目も同じコースで同じタマ。村上一閃、大絶叫。ワーオ!!

村上君、めちゃくちゃ嬉しそうでしたねえ。今までセリーグから散々コケにされてきたインハイの150kmを完璧に捉えたからねえ。

島内起用もアツのインハイ一辺倒も決して悪い作戦ではありませんでした。島内もまたアツの構えたインハイにしっかりと強い球を投げきりました。

それを読んでライトに打った村上が見事でした。ただしその後の大絶叫はまたカープをバカにしたような態度でしたが、23歳の若者なので許してやろう。よっぽど嬉しかったんだろうねえ。気持ちはよくわかる。ただしまだ精神的には松井秀喜に遠く及びませんね。

 

村上宗隆の抑え方 ver2.1

今日もヤクルトと試合があります。

村上を抑えないといけない。基本的に村上の抑え方は前回書いたver2.0で変更ありません。インハイのまっすぐが軸です。

村上がインハイを克服したと言っても、それは浅いカウントだったからです。村上はインハイ一本にヤマを張ることができました。

ツーストライク追い込んでからアウトローのスライダーもあるという状況でインハイを打つのは全く別次元の話で非常に難しい。

昨日までの村上はいつもインハイを投げとけば大丈夫でした。しかし昨日のスリーランでたまには打てることが証明されました。これで相手バッテリーは考えることがひとつ増えたのです。

 

今日は九里亜蓮ですから、おそらく外角のシュートを見せておいてインハイにまっすぐを投げるという攻め方が中心となるでしょう。それでいいと思います。

それより村上の前に走者を出さないことが重要です。昨日も一発のないキブレハンや山崎晃大朗に四球を出しています。んで森下は5回100球で降板。

今日の捕手は磯村でしょうか。昨日も書きましたがカープ打線にいつも「あと一本が出ない」理由は、カープバッテリーのテンポとリズムが悪いからでもあるのです。

バッテリーが臆病なリードをすると守備の時間が長くなり、野手のリズムが乱れます。

どんどんストライク先行で相手に打ってもらって、1イニング15球を目標にスリーアウトを取る。アツは毎日20球かかります。

ヤクルト打線では村上宗隆にのみ時間と球数を使ってよい。塩見もちょっぴり警戒。

残りの打者にはボール球など要らん。ボール先行は完全に愚。100%ストライク先行で良い。サンタナも無警戒でOK。勝負どころで村上に島内を出すのもOK。

 

バッテリーがテンポよくスリーアウトを取れば、味方打線もリズムに乗れると思います。

それが最もできる選手が坂倉将吾なのですが、5月以降ほとんどマスクをかぶっていません。

林晃汰も一度も一軍昇格無し。サード坂倉、ファーストマクブルームだからです。