木下元秀の需要が高まりつつある

本日も新井新監督の構想シリーズです。

と、その前にちょっとだけ私の息子の中学受験が終わったことをご報告します。

幸運にも第一志望に合格し、常連さんからも暖かいお言葉をいただきました。ありがとうございました。

1月の受験が終わったら結果に関係なく、パーっと家族旅行に出かけようなと言っていて、私は熊本の阿蘇山や宮崎の高千穂峡を口実に、こっそりカープの日南キャンプを見に行こうと思っていたのですが、結局近場のスキー場へ行くことが決定しました。

これで今年も例年通りJSPORTSでカープのキャンプをチェックすることが決定。斉藤とうっちーを見たかったんですが、JSPORTSに2軍組はほとんど映らないと思います。

その分、私の楽しみは1軍組の田村俊介とルーキー3人。あと木下元秀に注目したいです。

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選手名を出す監督

新井監督はわりとマスコミのインタビューに対して「選手名」を出して答えています。

これは阪神の岡田彰布監督や、中日の落合博満監督が得意だった技術というか戦法です。本人に向かって直接褒めるんじゃなく、マスコミに向かって

今日は○○選手が良かった

みたいな伝え方をするんですよ。

我々の社会にもよくあるじゃないですか。

部長がキミのことを褒めてたぞ

みたいに間接的に褒めるやつ。

私も20代のころはまんまとこの戦法に乗せられましてねえ。笑 

当時はおだてられる度に木に登ってましたけど、自分にも部下や後輩ができるようになると

ああ、あれって戦術だったんだな

と気付くわけです。

 

ホームテレビの特番の中で新井監督は前田智徳から秋季キャンプで目立った選手を聞かれ、即座に森翔平、松竜、ケムナ、遠藤と答えました。

野手では一番に二俣翔一の名を挙げ「彼は面白い存在」と語りました。

調子に乗った新井は聞かれてもいないのに「あと声枠で木下w」と笑いながら語りました。

木下とは育成の木下元秀。背番号124。21歳。今年育成契約4年目の選手。

 

既に新井は2回ほど木下の名前をマスコミの前で口にしています。

まだ1回も名前を呼ばれていない選手がいる中で、2回も名前を呼ばれた木下。

変態的カープファンはこういう細かいところに注目しています。今年の木下は1軍に呼ばれるかもしれませんよ。

 

木下と新井監督の関係

私、木下元秀のことを入団以来とても注目しておりまして、ドラフト直後の2019年11月には敦賀気比高校の話を特集したことがあります。

私が一番好きな高校は広島商業なんですが、敦賀気比高校もかなり上位です。

実は私は木下以上に同期の玉村昇悟を高校時代から注目しておりまして、最初は「福井のドクターK」をマークしていました。

もちろん玉村がカープに来るなんて思ってませんよ。県立の無名校が私立の強豪校を次々と倒していくのが気持ちよかったんですよ。

んで県大会の決勝で対戦したのが木下元秀率いる敦賀気比高校。玉村は四番木下に先制打を打たれ0対3で敗れました。

 

カープには東出輝裕、西川龍馬といった敦賀気比OBがいます。

去年は2人とも1軍でしたが、今年は東出が2軍コーチに戻りました。

新井監督と東出コーチはご存じのように1998年のドラフト同期で盟友。

東出は高卒ドラ1、新井は大卒6位。東出世代の高校生は特に豊作だった年で、同じ高卒ドラ1には松坂大輔や藤川球児らがいました。

 

東出は世代トップを走るように高卒1年目から78試合に出場し53安打8盗塁を記録しました。「立浪2世」と呼ぶ人もいました。東出はセンスの塊でした。

一方で新井もシーズン後半に1軍昇格し、53試合21安打7本塁打も打っています。立派な数字ですが、私は東出に熱中していたので新井のことはよく覚えていません。ファーストよりライトを守ってたイメージが強いです。

東出の10分の1しか期待されていなかった新井監督ですが、2年目→3年目→4年目と着実に出場試合数を伸ばし、後に本塁打王→チームの四番→国内FA権獲得とステップアップしていきました。

東出も干された時代がありましたが、新井の1年遅れで2008年に国内FA権を獲得。

前年に黒田と新井に出ていかれたカープファンは「きっと東出も出ていくんだ…」と思ってました。でも東出はカープに残留しました。

この動画も何度もブログに貼ってますが、また貼っときます。かの有名な「東出輝裕カープ残留の真相」です。

 

おっと新井と木下の話でしたね。

新井も最初はどんくさい選手だったんですよ。

東出も最初は立浪みたいなセンスの塊でしたが、辛抱の足りないカープファンにネットで叩かれメンタルを崩しました。達川が悪いって言う人もいるけど、私はネットのカープファンが悪いと思う。

まあとにかく逆指名ドラフトの時代は悲しい出来事が多かったんですよ。東出がカープに来たのも巨人が裏金で二岡をかっさらったからです。カープファンの心が荒んでいくのも仕方ない時代でした。

 

この時代がいわゆる「カープ暗黒時代」です。西暦で言うと1993~2010年くらいまで。18年間、カープはドラフト1位指名権がないような状態で戦ってました。巨人、ダイエー、西武はやりたい放題でした。

この時代が新井貴浩がカープで活躍した時代。もちろん同期の東出も井生崇光も泥まみれになって練習しました。二岡はラブホテルで女子アナと遊んでました。

新井が育成の木下元秀に感情移入する気持ちは非常によくわかる。境遇が似てるからってえこひいきはしないと思うけど、木下のことを応援したくなる気持ちはよくわかる。

「オイオイ、木下はカープ黄金時代に入団してるじゃないか!」

ではないのです。持丸や二俣とは違って木下には支配下登録に向けてとても大きなハンディキャップが存在したのです。

 

左投げ左打ちの一塁手

木下は左投げ左打ちなのです。

これが野球界の大きなハンデ。ピッチャーなら長所にもなりますが、野手の左投げはデメリットしかありません。

実際カープの野手登録の選手で左投げの野手はたぶんマクブルームと木下だけです。その前は岩本貴裕と天谷宗一郎。

カープだけかもしれませんが、左投げの野手はなかなか一軍に呼んでもらえません。なぜかと言うと左投げの選手は外野と一塁しか守れないからです。

そうそう、2年目の田村俊介も左投げ左打ちでしたね。彼は愛工大名電で背番号5番を付けてました。投手で四番だったそうですが、彼は左投げでサードも守ってたそうです。

 

私が中村奨成を推す時によく言うのですが、現在のカープは外野手が飽和しています。

ケンティーと末包を指名した時点で「佐々岡の野球は巨人のアホ野球とまったく同じだ!」と激怒しましたが、佐々岡はさらに大物の秋山翔吾まで獲得しました。外野手は飽和状態。

実は木下元秀はそれ以前から2軍でファースト守備にも取り組んでいました。もちろん出場機会を増やすため。

んで私も全部見てたわけじゃありませんが、たまに見る木下のファースト守備がなかなか上手くなってきたんですよ。

さっき私は「野手の左投げにはデメリットしかない」と書きましたが、実はファーストとライトを守る時だけ左投げがちょっぴり有利です。木下のファースト守備には一軍での需要をちょっぴり感じます。

 

「左打ち外野手」は間に合ってます。ほとんど需要はありません。

でも「左の代打」にはちょっぴり需要がある。松山竜平が現在37歳。その次の左の代打と言えば宇草孔基、大盛穂、持丸泰輝、田中広輔、韮澤雄也など。安部友裕の引退で左の代打が1枠空いたのです。林と羽月はスタメンです。

そして木下にはもう一つ付け込む枠がありまして、それがファースト守備固めです。

地味じゃありません。木下にとってはマジで狙うべき大チャンスです。

 

現在1軍でこのポジションを担っているのが堂林翔太ですね。

マクブルームも捕球は上手いんですが、スローイングには難がある。

試合終盤にマクブルームに代走を出した後、堂林がファーストに入れば安心です。堂林のファースト守備はソフトバンク中村晃と並んで「現役ナンバーワン」だと思います。

木下はその堂林にファースト守備で挑むんじゃなくて、代打力プラス守備力で田中広輔や林晃汰と勝負するのです。

 

堂林は外野も守れます。サードもまあ何とか守れる。

田中広輔は内野を全部守れる。打撃を取り戻せばサードあたりで再びレギュラーに返り咲ける。

林はサードとファースト。キャンプは2軍スタートですが新井監督は見てくれてるぞ。

木下が打撃でアピールできれば「左の代打兼ファースト守備固め」で十分1軍に居場所を作れます。

左の代打だけでは正直宇草に勝てないと思うのですが、ファーストの守備固めができれば宇草や広輔に勝てるかもしれない。

 

木下のファースト守備はそこそこ上手い。

マクブルームがケガしたり、デビッドソンが不調になったりすると堂林がスタメンで出ることになります。

堂林スタメン時の「ファーストの控え」ってけっこう人材不足です。1軍メンバーでは松山、デビッドソン、末包、林、曽根あたり。

もしマクブルームが2軍に落ちたら、1軍のファーストは堂林1人だけ。ここでも安部の引退は大きい。

そして坂倉が内野をやめたことも木下にとって非常に大きいです。坂倉のファースト守備はそこそこ上手でしたからね。

 

木下への需要は大いにある

結論。

去年までのカープに一塁手の需要は全くありませんでしたが、今年のカープにはある。だから木下への需要もある。

そして新井はチーム編成上、元気ある若者を必要としています。これを理由に新井が最初に支配下契約を結んだ選手がドラフト2位の内田湘大。

新井はドラ2で高校生野手を指名する時、選手に長打力だけでなく「人間的魅力」を求めたらしい。

新井「内田にはパンチ力と伸びしろと元気があった。そこがカープのチームカラーに合う」中国新聞

新井「あれほど元気な選手はなかなかいない。木下がいるだけでチームが明るくなる」スポニチ

 

木下が1軍でいきなりヒットを量産できるとは言いませんよ。そんなに甘い世界じゃない。

だけど木下が今季中に支配下契約を結んで1軍ベンチ入りする可能性は大いにあると思います。理由は左の代打とファースト守備固めが手薄だからです。

木下の打撃はあまり印象にないのですが、去年は「空振りが減ったかな」と感じたような記憶があります。でも多分まだ同い年の韮澤には及ばないでしょう。

とにかく今年の木下元秀には注目です。

高卒4年目の21歳。大卒の新井貴浩はまだプロ入りしてない年齢です。

んで確かカープの支配下選手数は現在67人だったと思います。