元カープのジェリンソン=バスケスはDeNAベイスターズじゃなく新規球団のくふうハヤテベンチャーズに入団したそうです。
あれ?
このチームってハヤテ223(ふじさん)て名前じゃなかったっけ? いつの間に変わったんだろ?
別にいいけど。
ハヤテベンチャーズは今シーズンからウエスタンリーグに参戦します。よってカープとも年間25試合ほど試合をします。
ハヤテはお金がないので「静岡から広島までバス移動する」みたいなこと言ってました。マジなのかな? 私、とても気になります。
母体を持たないチーム
言っときますが私はハヤテとアルビレックスの2球団をめちゃくちゃ応援してますよ。
子供のころからプロ野球はずっと12球団。それがようやく14球団へ拡大したのです。二軍だけの話でもめちゃくちゃ喜んでます。ワクワクしています。
新潟アルビレックスのほうは長年独立リーグで試合をしてきた既存球団。
しっかりとした母体のあるチームに薮田和樹や田中広輔の弟など大勢のプロ野球選手が加わってイースタンリーグに新規参入します。
たぶんですけど新潟アルビレックスはハヤテよりもたくさんお金を持っているでしょう。
なんたってアルビレックスグループの顔である「アルビレックス新潟」は泣く子も黙るJ1クラブ。昨シーズンも18チーム中10位と健闘している中堅クラブです。
翻ってハヤテのほうは母体を持たないまっさらな球団。
昨日選手36人の入団発表がありましたが、言ってみれば全員がルーキー。
アルビレックスは既存のチームにたくさんの新戦力が加わったチーム。もしもアルビレックスにキャプテンがいるのなら、それはきっと「長らく所属しているベテラン選手」でしょう。
ところがハヤテは新入団選手がキャプテンを務めます。だってできたてホヤホヤのチームなんだもん。
この差はけっこう大きいです。
サッカーほどじゃありませんが、野球でも「よく知らんヤツ」ばかり集まってチームプレーするのは難しいものです。
東北楽天のケース
2005年、パリーグに新球団が誕生しました。
2004年の巨人の悪オーナーvs選手会の戦いに選手会が勝利して12球団継続。
近鉄バファローズとオリックスが合併して、空いたところに東北楽天イーグルスが誕生しました。
その新規球団には元近鉄と元オリックスのプロ野球選手が参加し、ドラフトでは明治大学の一場靖弘を獲得。山崎武司が楽天に入団したのもこのタイミングでした。
そんな楽天の初年度の成績は38勝97敗。勝率.281。
6位楽天と5位日本ハムのゲーム差は25.0でした。
私はこの時、
「楽天はよく頑張った。けっこう善戦した」
と思いました。
だって絶対100敗以上すると思ってましたから。
ハヤテも厳しい
私は楽天をバカにしていませんよ。
それだけ新球団の立ち上がりは厳しい。苦しむと言っているのです。
20年前の新規参入の時は、楽天ファンだけでなくプロ野球ファン全体が「楽天が強くなるまでゆっくり温かく見守ろう」って雰囲気でした。
75年前に広島カープが新規参入した時もめちゃくちゃ弱かった。96敗して勝率.299。でもカープファンは生まれたてのカープを温かく見守りました。
まあとにかくハヤテも厳しいよ。これは絶対間違いない。
広島まで移動する新幹線代だって出せるのかどうかアヤシイ。
ディスってません。一軍チームを持たない球団がファームで130試合戦うのはそれくらい厳しいと言ってるだけです。
選手の給料もきっとめちゃくちゃ安い。寮の食堂も食べ放題じゃない。
だからこういうチームを野球ファンは温かく見守りましょう。
たぶんハヤテはウエスタンで今シーズン100敗します。
こちらが今朝の静岡新聞に掲載された36人の選手の名簿。
非常にキビシイ。
DeNAの田中とロッテの福田ぐらいしか知ってる選手がいません。カープのバスケスすら私は知らない。
目を細めてよーく見てみると元DeNAの藤岡好明と倉本寿彦がいる。背番号21と背番号5。
倉本はDeNAのあのショートの人。現在33歳。
藤岡はノムスケや菅野と同期の藤岡ではなく右投手の藤岡。現在39歳です。
ハヤテの存在意義[1]
ハヤテ球団も今シーズンは非常に苦しい。ハッキリ言ってめちゃくちゃ弱いでしょう。
でもそれは仕方がない。お金がなくちゃ選手は集まらない。
そのお金を稼ぐのが一軍の公式戦とテレビの放映権。ハヤテにはそれが無いのです。
そりゃキビシイです。絶対にキビシイ。プロの二軍と互角に戦えるはずありません。
そんなハヤテの存在意義って何だろう? 弱いハヤテの存在意義。
1番目はファーム公式戦の試合数が増えること。
2005年に近鉄が楽天になり、ウエスタンが5球団、イースタンが7球団になりました。
この影響で昔はファームも130試合近くやれていたのですが、現在では120試合程度に減りました。5球団のウエスタンはさらに少ない。
「なんで5球団と7球団なの? 6と6でいいじゃん」
とお考えになるのは軽率ですぞ。
なぜファームがセとパでなくイースタンとウエスタンなのか?
それは移動費節約のためです。
セコい話じゃありません。ファームの試合は入場料が安いのです。昔はタダでも入れたし、今でも一人1000円くらいじゃないかな。
収容人数も少ない。日曜日でも1,000~2,000人規模。ゴールデンウィークやファーム選手権が5,000人規模。
阪神の本拠地・鳴尾浜球場なんて500人でシャットアウトです。席が500席しか無いからです。球場に入れなかった人が外で並んで中の席が空くのを順番待ちしています。
だから広島から東京に選手30人も連れて行って試合をすれば、ファーム球団は赤字になるのです。
一軍は儲かるので北海道まで遠征しても黒字をキープ。ファームまで遠征すればファームは赤字。
たぶんですがイースタンの西武vsロッテ3連戦で、ロッテの選手はたぶん全員日帰りです。
日本ハムもファームは千葉。埼玉で試合があれば車で日帰りでしょう。選手の宿泊費がもったいないからです。
ソフトバンクvs広島戦はさすがに宿泊。阪神vs中日も宿泊。
だが中日vsハヤテは日帰り3連戦の可能性がある。
中日は静岡に泊まるかもしれないが、ハヤテは名古屋に宿泊せず静岡に日帰りだろう。お金が無いからです。
ハヤテは静岡-名古屋間を3日連続日帰りです。片道120km。バスで約2時間。
ハヤテと新潟のおかげで12球団のファーム試合数が10%ほど増えるのです。
ハヤテと新潟の存在意義は12球団のファーム活性化のため。若手育成のためなのです。
その恩恵を受けるセパ12球団は新規球団の遠征費を少し肩代わりしてあげてはどうだろう?
各球団の選手年俸総額に比例して、新規球団にいくらかカンパしてあげなさい。
ハヤテの存在意義[2]
ファームの試合はナイターも使いません。電気代がもったいないからです。由宇球場にはそもそも照明設備が無い。
ファームの人件費や遠征費を賄っているのは全て一軍の収益の中からです。
ハヤテはその一軍を持たないのですからチーム運営がキビシイのは当然。
だからハヤテは弱くて当然。最下位確実。目指せ勝率3割。
アルビレックスのほうは8チーム中ひょっとしたら6位か7位に入れるかもしれない。ファームは必ずしも勝利至上主義じゃないからです。
そんな弱いハヤテの存在意義[2]ですが、それは選手をNPBへ送り出すことができるかもしれないことです。
新規球団ですから既存球団より弱いでしょう。これは断言できる。
だが36人の選手の誰かがNPBへ移籍することができないとは言い切れません。
特にドラフトを必要としないNPB出身選手は7月までにNPBに移籍できるかもしれないのです。
39歳の藤岡が現役を続ける理由、39歳で新球団に移籍した理由。
23歳のバスケスがカープを飛び出してハヤテに移籍した理由。
それらは全てNPBに上がってジャパニーズドリームを掴みたい!ってことじゃないのかな。
アルビレックスには薮田以外にも高山俊(30)とか小林慶祐(31)が所属しています。コイツらはマジで「シーズン中のNPB復帰」を狙えます。
ハヤテ球団が赤字覚悟でファームに来てくれて私は本当に嬉しい。
今はファームだけなので運営はどうやっても厳しい。
だからいつかは2球団揃ってセリーグかパリーグにぜひ参加してほしい。
プロ野球のエクスパンションが実現する時はハヤテと新潟を真っ先に参入させてあげなさい。
理想は8球団と8球団ですが、まずは6球団と8球団でやろうじゃないか。
昔のカープは新規参入にだいたいいつも反対してました。「巨人戦が減るから」とか言って。
もうそういう時代じゃありません。
地方都市が難しいなら大阪と東京にチームが増えたって別にいいじゃんと私は思います。
既存の市場を取り合うんじゃなく、市場を広げていけばいいと思います。