2022.8.4(木)
日本ハム 3-3 ソフトバンク 札幌
カープの試合が雨で流れたため、札幌ドームの試合を見ました。
清宮が1番バッターなことは知っていましたが、新庄監督は1点を争う場面で一発屋のヌニエスや悩める大器・万波中正の打席でエンドランを仕掛けてくる。
極端なんだけどおもしろい。今日もカープ無しでキャッチャーの配球論と藤井皓哉を少しだけ解説します。
DHのある投手戦
試合結果は延長12回、3対3の引き分け。
5回裏に万波中正が同点ツーランを放って以降、両チームとも無得点で無失点。
シビれるような投手戦でした。
パリーグは投手が打席に立たないので、投手が打席で骨折する心配もないですし、継投も超簡単です。
パリーグの監督は本能の赴くままに左のワンポイント投手を出せます。んで1人か2人抑えて、また次の投手をイニング途中で送り込みます。
イニング跨ぎもセリーグよりは重圧が少ないでしょう。だってパの投手は打席にも立たないし、出塁することもないですから。パのイニング跨ぎはセのイニング跨ぎの半分くらいの負担で済むのではないでしょうか。
宮西尚生の13球
んで3対3同点の7回表に日本ハムは宮西をマウンドに送りました。
プロ15年目の鉄腕投手。14年連続50試合登板はパリーグ記録です。日本記録は岩瀬仁紀の15年連続。
だが今年37歳の宮西は2軍落ちを経験するなど不本意な成績。
新庄も温情で使ってあげればいいのにドライにシビアに登録抹消。
宮西は残り45試合で27試合に登板しないと岩瀬仁紀の記録に並べません。
さてそんな宮西が左打者2人並ぶところで登板しました。3対3の同点。ノーアウト無走者。先頭打者に対します。
この時、ハムのバッテリーはなんとソフトバンクの2番川瀬に13球連続でストレートを要求しました。参考:スポナビ一球速報
打者は2番の川瀬君でした。プロ7年目24歳。
宮西をリードしたのは24歳の梅林捕手。3年目。広島県出身。
非常に面白かったです。
バッターは明らかに宮西のスライダーをケアしていましたが、それでも13球連続ストレートはなかなか聞いたことがありません。笑
津田恒美でも小林vsオマリーの14球でも13球連続ストレートは無かったんじゃないか。
私は8球目あたりから「スライダー投げろ!」と思って見てました。坂倉将吾が捕手でも8球目はスライダーだったんじゃないか。
日本ハムの梅林捕手は何が何でも先頭打者を四球で出したくなかったのでしょう。
コーナーピッチングや打者のウラをかくより、ストライク最優先。だって相手は一発のない9番打者だから。
宮西vs川瀬は5球でフルカウントとなり、6、7、8、9、10、11、12球目は全部ストレート。ボール球も混ざってますが、川瀬君は7球連続スライダータイミングでストレートをカットしていました。ハムの中島卓也みたいなファールでした。
実は宮西の立ち上がりはストレートが3球連続抜けてスリーボールでした。
キャッチャー梅林がスライダーを要求しにくい伏線もありました。
梅林「スライダー投げて明らかなボールになるより、ど真ん中投げて打ってもらおう。どうせシングルヒットだよ」
カープの會澤翼はなぜこれができないのかねえ・・・
ソフトバンクの甲斐もそういうリードでした。
宮西vs川瀬がサードゴロで終わった後、7回裏には嘉弥真新也vs中島卓也という昔の対決が実現しました。
「中島は何球粘るのかなあw」
なんて笑いながら見てたら、7球目をセカンドゴロにしました。中島にしては早打ちでした。
キャッチャーの配球論
昭和平成までのプロ野球では「インハイに強い球を投げて、アウトローの変化球でバッターを打ち取りなさい」が配球の基本でした。
しかし2007年に、オリックスの死球王グレッグ=ラロッカがNPBで初めて肘当てを装着して打席に入りました。←中日パウエルという説もある。
この頃から徐々に「インハイ→アウトロー」の配球が通じなくなっています。
パリーグでは「大きな変化球」を持つ投手が増え、セリーグでは「スライダーを投げる投手」が多い。
大雑把にまとめると、パリーグは緩急を重視した配球をする。セリーグがコーナーワークを重視する。
昨日の試合に投げたソフトバンクの投手はみな155km出てて、カーブなりフォークなりを持った投手でした。
キャッチャー甲斐もあくまでストレート中心。8回の藤井皓哉は打者3人に対して変化球は3球のみ。9回のモイネロはウラをかいて変化球勝負。10回の椎野は打者3人に11球連続ストレートでした。
ストレートだけでもピッチングはできるのです。
打者が一番打ちやすい球が「抜けた変化球」。スライダーやフォークが抜けた半速球ならもっと打ちやすい。
ストレートは抜けてもファールを取れる場合があります。日本ハムのような若いチームにはストレート勝負が有効でしょう。
アウトローの出し入れができる投手ならそこで勝負してもいいですが、できない投手にそれをやらせると抜けて甘くなったところを打たれます。アツのリードがまさにこれ。打たれるのはいいんだけど、打たれるんなら初球から打たれてほしいんですよ。アツはいつもフルカウントから打たれるので疲れるのです。
藤井皓哉君
最後に藤井皓哉君。
昨日もいい球投げてましたねえ。155km連発。
藤井皓哉君は佐々岡真司監督が真っ先にクビにした投手です。
あの時、矢崎拓也、藤井皓哉、平岡敬人、中田廉の4人が「がけっぷち」にいて、佐々岡はこの中から2人をクビにしないといけませんでした。
私は平岡と中田廉を選択しましたが、佐々岡が選択したのは藤井皓哉と平岡でした。
もちろん実際にクビにしたのは編成部門の人でしょうが、佐々岡の意向も反映していたと思いますよ。
佐々岡は「今現在の力」しか見てないんですよ。
今、菊池、秋山、長野、會澤で戦って何の意味があるのか?
3年後、カープに何が残っているのか?
羽月を落として末包を上げる。
石原を上げて白濱を出す。
そりゃ今現在の力では白濱が上かもしれません。3年前も中田廉の方が藤井皓哉より力は上でした。
だが3年後の今、残っているものは何か?
中田にも頑張ってほしいですが、3年前、私なら藤井皓哉を残してました。
今の藤井皓哉にはまっすぐの勢いがありますが、これが1年2年経つと勢いが落ちてくることがあります。その時にどういうピッチングをするかが重要です。
今の藤井皓哉はまだ「若いピッチング」です。三振でしかアウトが取れない感じ。
カープ時代はシュートを覚えてまっすぐが遅くなったという苦い過去があります。今はまずまっすぐをしっかりと磨いてほしいですね。
藤井皓哉は今年のオールスターに選ばれてませんでした。なんでだろ?