2024.8.17(土)
ヤクルト 6-3 広島 神宮
なにあの高橋奎二。カープ戦だけいいピッチングしやがって。阪神も巨人も倒さんかい。
高橋は立ち上がりから手の付けられない感じで、このままスイスイ完封されるかなと思っていたら、4回に末包が同点ソロをゴン。こりゃ面白くなってきた。
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大瀬良の立ち上がり
4回表に末包が同点ソロ。
実は大瀬良も1回に1失点したものの、
「今年1番じゃないか」
というくらい素晴らしい立ち上がりを見せていました。
いつも3回終わって50球以上かかるのに、昨日は3回終わって37球。妙にハイテンポでした。
球種もストレートが多く野性味を感じました。1失点もイレギュラーのヒットから始まったものだし、ありゃ不運でした。村上にストレート勝負したのも野性的で私は好きですよ。
苦言を呈するなら、1点を惜しんで大量失点しちゃったねってこと。
6回裏1対1。1死1塁。打者3番サンタナ、投手大瀬良、球数68、走者長岡。
上の状況をもう一度よーーく見てください。
6回「裏」というのもポイント。カープの攻撃はあと3イニングしかありません。
7回表のカープの攻撃は4番末包から。打順は下位に向かいます。だから大瀬良が「この試合は1点勝負だ」と考えても仕方ありません。
今季の大瀬良は防御率0点台。有名な話。
イニングも結構投げて0点台です。大瀬良の投球回数は118回。セ8位。これで0点台はかなりミラクル。
なのに大瀬良個人の勝敗は「4勝3敗」なのですよ。チームが100試合を超えて、自身は18度目の先発。118回投げて防御率0点台。もちろん1位。
4勝3敗は大瀬良の責任ではなくチームの責任です。大瀬良にはいつも援護がありません。だからいつも「1点勝負」で粘り続けた結果が「防御率0点台」だったのです。
投手は味方が3点取ってくれれば「2点まではあげてもいい」というピッチングをします。
その方が負担も少ないし、かえって失点も少なくなるものなのです。
ところが味方が0点であれば「1点もやれない」というピッチングをします。
このピッチングは窮屈でとても疲れます。大瀬良は今年ずっとこれをやってきた。
今年の大瀬良を誰かに例えるなら、
「3連覇時の中崎翔太」
と言ったところでしょうか。
「走者を出すが最後は抑える」みたいな。
とにかく昨日の大瀬良。
同点の6回1死1塁、3番サンタナ、走者長岡。
次が村上なので足を使ってくることは99%ありません。打つだけ。
大瀬良はいい形でサンタナを追い込みます。カウント2-2。
外角ストレートがアツの構えよりちょっぴり高く入りました。その分だけ、キクの横を抜けてヒット。アツの高さなら4-6-3でチェンジだったでしょう。
だが抜けた。1死12塁。打者村上。
私はここで「打たれてもいい」と思いましたが、大瀬良は「打たれたくない」と考えました。
村上四球。カウント3-1からの四球は「かなり逃げ逃げ」の四球でした。
「ふむ、確かに3塁は空いてるけどさ…」
大瀬良の心理状態
1死満塁となり打者オスナ。
オスナの打球は3塁線を破りました。小園の右足と3塁ベースの角は50cmくらいしか離れていませんでした。
そこを抜けたオスナの打球。2点タイムリー。
確かに鋭い打球でしたけど、ハッキリ言って私は…
捕ってほしかった。小園に。
小園はショートでサードは不慣れ。言われなくてもわかってますよ。
三塁線への鋭い打球はショート守備には無い打球です。小園は練習したことありません。
だけど小園があれを捕ってたら大瀬良とカープは勝ってました。
打球は小園のグラブの下を抜けたのです。上手いサードなら捕れてました。
宮崎、周平、坂本なら捕れてた。村上でも捕れたかもしれない。佐藤なら大きく弾いて結局ツーベース。
とにかく2失点で1対3。
大瀬良は「1点もやれない」とテンパってました。
ここでヤクルト初球スクイズ! 結果はファール。
このスクイズは良い作戦でした。カープの誰もが予想してないし、次の1点はとどめになります。よい作戦でした。
2球目は様子見で外角低めに「気の抜けた球」を投げました。
バッテリーが様子見で気のないタマを投げる理屈はわかる。
だがバッターの松本君には初球スクイズをファールした「興奮」が残っていました。
「なんで俺は無警戒なのにライン際を狙ったんだ、ちくしょう。もっとフェアラウンドの真ん中で良かったんだ」
この日の松本捕手は冴えたリードをしていました。高橋のカーブを有効に使うし、ストライクとボールのメリハリも良い。サインを出すテンポも良い。
大瀬良のピッチングも見ているし、奎二のピッチングも見ている。
次の1点が勝負を決める。そこでスクイズ失敗。何とかしたい。
ライト前ヒットにはダボハゼではなく、捕手特有の「読み」があったと思います。
「初球スクイズがファール。バッテリーは2球目を外角に外して様子を見てくるんじゃないか?」
アツと大瀬良はセオリー通り様子を見た。
バッター松本はまるでスクイズをするかのように、そのボールに飛びついてヒットを打ちました。ライト前タイムリー。4点目。
7番山田哲人はセンターフライ。タッチアップできず。
6回裏1対4。2死13塁。打者8番岩田、投手大瀬良、球数79、次打者9番高橋。
私はどうするかな?と考えました。
私は申告敬遠でした。岩田は昨日のゲームプランで名指しで注意した絶好調人物。
ただ岩田勝負も1割わかる。
9番高橋に代打が出る可能性もゼロではないし、大瀬良の球数と実績、岩田の顔と実績。大瀬良が岩田ごときを敬遠できるかという矜持です。
結果は打たれた。
レフトの中村奨成があと少しまで迫りましたが、打球は左中間を破りました。
カープの外野は定位置だったのであの打球を捕れるレフトはいません。イチローでも捕れません。
「2死13塁なら長打警戒で、外野バックが当たり前だろ!」
ハイ。おっしゃる通りですが、岩田や丸山の打席ではいかなる場合でもレフトが長打警戒を敷く必要など無いでしょう。
ライトセンターは長打警戒でもレフトの長打警戒はない。これは近本中野に対しても同様です。ま、近本は下がるかなあ…
とにかく大瀬良5失点。
2死2塁で打席に投手という場面で交代させられました。かなり屈辱。
次の回には大瀬良の打順に回ります。
こういうケースで「あと一人投げてもらおう」と考えるセリーグの監督はたいへん多い。
大瀬良の球数は確かにまだ80球ですが、もう心が折れてるため、高橋にフォアボール出したり打たれたりする可能性はある。
こういうケースで野手出身の監督が投手の気持ちを理解できず、引っ張って打たれて傷口を広げ、次の回の代打も結局打てなかったというケースは非常に「セリーグあるある」です。
昨日のゲームプランにも書きましたが今週は2連戦。リリーフをじゃぶじゃぶ使ってもいいんです。
しかもカープには9回裏の守りや延長戦を心配する必要がありません。ボロ負けしているからです。
今日はリリーフをじゃぶじゃぶ使いましょう。大瀬良を高橋の打席で降板させたのは大正解ですよ。
中村奨成の野性味
中村奨成。4打数0安打1三振。
「ケッ、またかよw」
と言うなかれ。昨日高橋は本当に良かった。小園や坂倉でも三振くらってる。
奨成の4打席目はロドリゲスの変化球を右中間に上手く弾き返しました。
「よし、この打球はセンターには捕れない!」
そう思ったららライト丸山が出てきてスライディングキャッチ。この日2本目のビッグプレイ!
この丸山、マジでカープ戦だけ活躍しやがる。
「アホか、他の試合も頑張っとるわ!」
いーや、丸山はカープ戦だけ異常に活躍する。明治大学はカープの味方のはずだろう。巨人戦でやれ、巨人戦で。
4タコの奨成ですが、久しぶりにカープファンから奨成コールを浴びる場面がありました。
5回裏1死から岩田がカットしたレフト線のファールの打球に追い付いて、頭から滑り込むダイビングキャッチ。
全力疾走からダイビングキャッチまで全部フルスピード。歩幅を合わせることなく全力疾走。じゃないと追い付けない打球でした。
チーターのように加速する奨成。レフトのフェンスも気になる。
結果はお釣りのない大ファインプレイ。全力疾走からの地面スレスレ、グラブの先っぽでした。
神宮球場なのでレフトのファールグランドにはカープのブルペン陣が大勢いました。
ランナーがいませんので誰かが奨成を起こしてあげてもいいのに、みんな奨成から逃げるんですよね。やっぱ嫌われてんのかな、奨成…
だがレフトスタンドのカープファンからは
ウオォーー!!
ショーセー!!
の怒号…ではなく 大歓声 が沸き起こりました。
私も様々な外野手のファインプレイを見てきました。
新庄が山崎隆造のサヨナラ打を防いだキャッチ。
山森がフェンスをよじ登ってホームラン捕ったやつ。
昨日の奨成のファールフライキャッチはこれらに匹敵する 美しさ でした。
「別に捕れなくてもただのファールだろ」というところに奨成らしいオチもあるのですが。笑
昨日の奨成はこれを含めてレフトフライを3つ捕りました。
1つが超美技。1つが素人にはわからない美技。山田哲人のやつね。
1つが長岡のやつ。あれは誰でも捕れるレフトフライですが、奨成は落下地点に誰よりも早く到達して余裕をもって打球を待っていました。
飯田哲也とか秋山幸二ってファインプレーをファインプレーに見せないんですよね。
誰より早く落下点に行って、打球が来るのを待ってる。だから素人には平凡なフライにしか見えない。
4回裏の山田哲人のフライも中村奨成がフェンス際で打球を待っていました。二塁打だと思ったヤクルトファンは「あれ、なんでそこにいるの?」と不思議そうでした。ビデオ持ってるからはぜひ見てください。
本日のゲームプラン
石川雅規vs九里亜蓮。
昨日は外野の美技合戦でしたが、今日は内野の美技合戦になるかもしれません。
長岡vs矢野。矢野が優勝すれば文句なくGG賞。長岡が打率3割打てばちと話がややこしくなるかも。ならないか。笑
長岡の守備は私は好きです。小園より若い22歳。立派です。
小園。
ヒットは出てるんですが、打撃内容があまりよくないんですよ。本来の力の60%くらい。
8回表2死1塁で初球レフトフライ。小園の好きなコースですから打つのはいいんですが、打球も弱いし腰も入っていません。
次が末包というところで、ああいうヒット狙いの打撃は良くない。アウトになりにくい打撃をしなさい。
休ませるわけにいかない選手ですから、今日も基本サード小園なんですが、リフレッシュ休暇を名目にして今日は「スタメンサード二俣翔一」があるかもしれません。だって石川なんて小園じゃなくても打てるんだもの。ぼそ。
キャッチャー坂倉。1塁は誰?
1塁を奨成か末包にすれば「秋山、野間、末包、奨成」の同時スタメンが可能になります。
末包も奨成も二軍では1塁を守ったことがあります。
末包もまあまあ見られるレベル。デカいから味方は投げやすいでしょう。
奨成の1塁守備はどうか?
実はこれが 結構上手い んですよ。
捕手なのでハーフバウンドを止めるのが上手い。スローイングや牽制、バントシフトなどは見たことないけどね。
まあまだ一軍で「1塁奨成」はないかな。
私は奨成の打撃だけでなく、守備も見続けています。※参考記事
今年の奨成はずいぶん外野手っぽくなりました。
打球への入り方は「だいぶ練習してきたな」と感じます。
あとはスローイングです。スローイングはまだまだです。「宇草の上で貴浩の下」あたりでしょう。