ピッチトンネルに対するカーブの効果 千葉ロッテ・河村説人投手の場合

2021.2.25(木)

ソフトバンク 0-0 ロッテ アイビー

広島では9失点の薮田の話題で持ちきりのようですが、今日は薮田の話をしません。

今日は「佐々岡真司がなぜカーブピッチャーを好きなのか?」を説明します。


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高めのボールゾーンから入ってくるタマ

テレビ東京が「ソフトバンクvsロッテ」の練習試合を無料公開しています。

チラッと見た時、ロッテに良い投手がいるなあと思ったのでここで紹介します。

最近youtube見てるといい年こいたおっさんが

タピオカくださーーい♡

とか言って出てくるので、ホントはあまり近寄りたくないんですがね。

オダギリジョーが気の毒ですよ。たく。

 

■ソフトバンクvsロッテ 練習試合(2021.2.25)

8回裏に登板したロッテの河村説人投手(22)がとても良い。非常に楽しみ。希望のキンタマ。←久しぶり

河村君は先頭打者をショートフライに打ち取ります。

「要チェック」はここからです。

2人目は代打・増田珠(21)。増田君はカープに欲しかった右の大砲。横浜高校。4年目で1軍キャンプか。頑張れよ。

河村vs増田。

真っ直ぐ真っ直ぐでカウント1-1。

3球目のカーブがワンバウンドのクソボール。カウント2-1。

4球目は真ん中低めギリギリのストレート。とってもナイスボール。カウント2-2。

 

中村奨成と同い年の増田君。この4球目を見逃しストライク取られたら、もう勝ち目はありません。負けたも同然。

5球目はフォークボール。

このボールが今日の注目の1球です。

最近、私は「変化球の曲がり始めが早い」という言葉を何度か使っています。

誰の時に使ったかはよく覚えてないのですが、阪神のオーバーハンドでシンカー投げる新人の子と、紅白戦のテイラー=スコットに使ったことは覚えています。

私はピッチャーが投げる変化球の球筋を見て「曲がり始めが早い」と言ってるのではありません。

「打者の反応」を見て言ってます。

テレビで野球の試合を見る時、センター方向から投手vs打者を映しますよね。

この時、ピッチャーの投球フォームに注目していると球筋や打者のスイングが見えなくなるし、バッターの打撃フォームに注目すると、ピッチャーのクセやキャッチャーのキャッチングが見えなくなります。1球で全部を一度に観察することはなかなか難しい。

だから私は1球ごとに注目するポイントを変えながら見ています。それでもだいたい基本的には「ピッチャーの球筋と打者のタイミング」に注目します。キャッチャーミットにちゃんと向かっているか、バッターのタイミングは合っているか。

 

河村vs増田の4球目に戻ります。

若いバッターは見逃しストライク直後の次の球をよく振ります。しかも増田君は変化球がワンバウンドした後のストレートを見逃して「しまった・・・」と思っています。ますます焦っています。

河村君の4球目はフォークボールでした。高めストライクから低めストライクに落ちました。

増田君は完全にストレートのタイミングで空振り三振でした。増田君にはゴメンやけど、けっこう恥ずかしい三振でした。ストライクゾーンの変化球ですからね。

と言っても確かに河村君のフォークも素晴らしかった。何が素晴らしいって腕の振りが素晴らしい。ストレートと全く同じ腕の振り。

25年前、パリーグの打者もMLBの打者もみんな野茂英雄のフォークをこんな感じに泳いで空振りしてました。

 

打者のこういうブザマな空振りを見ると二つのことがわかるのですよ。

「ストレートと変化球の腕の振りが同じである」

「打者には変化球がストレートに見えている」

この二つです。河村君はこの二つを持っている。

 

その後、3人目の打者は初球カーブを引っかけてセカンドゴロ。しかしエラー。2死1塁。

もう1回河村君が見られるので私はウレシイ。笑

続く4人目・明石は初球ストレートをピッチャー返し。鋭いスイングでセンター前ヒット。ソフトバンク打線は相変わらずファーストストライクを強く振る。さすが。

2死12塁。打者釜元も初球攻撃。ファール。河村君にはカットボールもあるのか。イイねえ。

3球目はストレートをバックネットにファール。ピッチャーもバッターも両方力強い。素晴らしい対決。負けてるぜ、セリーグよ・・・

4球目が決め球のフォークでした。また高めに浮きましたが、これがたまたまボールからストライクになって釜元君のアゴが上がり見逃し三振。ロッテはラッキーでした。スリーアウトチェンジ。

んで・・・

これなんですよ。

佐々岡がやたら投手陣にカーブを練習させたり、カーブを投げる投手をドラフト指名する理由は。

ここが今日の熱視線。

 

ピッチトンネルとは?

大昔の「黒田博樹vs松井秀喜対決」にもありました。

2002年の東京ドーム。

黒田のフォークが高めから入ってきて、松井が見逃し三振した打席。

国内最後の「黒田博樹vs松井秀喜対決」として有名。

 

後に黒田と松井がNHKの番組で対談した時、松井はこの打席のこのフォークが

「狙って投げたものなのか?」

と10年間ずっと気になっていたと語りました。

んで黒田は

狙って投げれるわけないやろw

と真実を明かしました。

 

現在のプロ野球界には「ピッチトンネル」という言葉があって、変化球をいかに打者の近くで曲げるかの研究が進んでいます。

 

C野村祐輔の持ち球は[1]ストレート、[2]シュート、[3]カット、[4]スライダー、[5]チェンジアップ

ノムスケは5種類のボールを「できるだけ打者の近くで曲げたい」と語っています。

E田中将大のスプリットも並み居る強打者がほぼ全員「ストレートだ!」と思って空振りしたり引っかけたりしています。

現在カットボールやツーシームが流行っている理由は投手の球数を節約するためですが、ピッチトンネルの研究が進んでいるのもストレートと思わせてゴロを打たせるため。全く同義であります。

打者側はその対策として従来のダウンスイングではなくレベルスイングもしくはアッパースイングを練習する選手が増えてきました。3年前に丸佳浩が極端なヒッチを取り入れたり、今年の鈴木誠也が一本足打法を試しているのもその一環だと思われます。

年々打者側に近づいてくるピッチトンネル対策として、打者が取り組んでいる対策が

「バット軌道を投球軌道に入れる」

というもの。田中広輔と野間峻祥も昨年より空振りが減りました。

 

ならばと佐々岡真司は考えました。

「打者がピッチトンネルを通過したボールに対応してくるなら、投手はピッチトンネルを通過しないボールも投げて行こう」

それがカーブなのです。

佐々岡が1位指名した森下も栗林もカーブを投げます。

佐々岡の好きなケムナもいいカーブを投げますし、昨年のドラフト5位指名に本人も「ビックリしたw」と言った独立リーグ出身・行木俊。

彼の決め球もドロップカーブです。タテに速く落ちるカーブ。

佐々岡がカーブ好きなのは自分も投げるからかと思っていましたが、実は近年また有効な球種として注目され始めているのです。

 

昔からE岸孝之のスローカーブや、ソフトバンク投手陣のナックルカーブは破壊力がありました。

昨年大活躍したM唐川もカーブをけっこう投げてました。Hモイネロ、L増田、B由伸もカーブボーラー。

過去にも数年おきに「カーブが脚光を浴びるシーズン」はありました。しかしあまり長続きはしませんでした。

この理由には諸説あります。

バッターが見逃すから球数が増える、球速が遅いため被打率が高い、サブロー氏によれば「審判がストライクを取ってくれないからだ」という説もある。

 

しかし佐々岡はカーブを信じました。

去年の森下&坂倉はカーブを決め球としても使っていました。九里や遠藤のカーブはカウント球でした。

今年九里は「カーブをもっと使いたい」と言いましたし、先日の練習試合ではケムナも2ストライクからカーブを投げたりしていました。

低めで空振りを取れるかどうかもチェックしたいですし、昨日の河村君のフォークのように2ストライクから高めのカーブで見逃し三振を取れるかどうかもチェックしたいです。

 

栗林も一応カーブを持っています。彼の決め球はフォークですが2ストライクからカーブも投げられれば投球の幅は広がります。

森浦のカーブはここまではカウント球でした。しかし彼、試合になるとちょっと様子が変わります。こちらも要チェック。笑

ノムスケ、中田廉はけっこうカーブを決め球に使います。

前田健太の時代はカーブの被打率が高かった。マエケンのカーブは毎年被打率3割超でした。

それが今、バッターが動くボールに合わせてくるので再びカーブが脚光を浴びています。

今年のカープカーブに注目です。