データ野球を否定する根拠「バッターの反応」について

2022.5.12(木)

DeNA 1-4 巨人 横浜

巨人が連敗を5でストップ。ケガから復帰の菅野はセリーグトップに並ぶ4勝目。

今季の菅野は7試合に投げて39回1/3。平均すると5回2/3。よく頑張ってます。あのヘロ球で。

被打率は対右打者が.222、対左打者は.309です。よくやってます、あのヘロ球で。

今や巨人ファンさえも見放した元エースですが、菅野が今なお他の投手より圧倒的に優れているものが一つあります。今日はそれをホメてやろう。


 

菅野のピッチング

菅野の最大の長所はバッターをよく観察していることである。この観察眼だけは若い頃から全く衰えていません。

昨日はカープ戦が雨だったので、呪いながら巨人戦を見てました。

立ち上がりから菅野はヘロヘロフォームからのヘロヘロ球。スライダーは高めに抜ける。ストレートはシュート回転。私は左を並べたDeNA打線が何点取るのかワクワクしながら見ていました。

 

しかし若きDeNA打線はのらくらりと投げられるヘロ球を引っかけたり空振ったりで3回終わって1対2。巨人にリードを許します。

4回裏は牧ソトの連打で無死23塁を作るも後続が凡退。ゼロ。

5回裏も1死1塁から3番楠本が三振ゲッツー。

6回も牧のツーベースで無死2塁。しかしソト三振、大和三振。

 

私が特に気になったのは5回裏の三振ゲッツーです。

1塁走者は関根、打席には先制タイムリーの楠本。この打席でもライト線ギリギリに鋭いファールを連発します。

「ああ、球が遅すぎてファールになっちゃうのね」

などと思って見ていましたら、カウント3-2を作ってから菅野と大城のバッテリーは一転内角ストレートを突っ込んできました。これがまさかの三振ゲッツーでした。

 

初回に長打を打たれている楠本。

この打席でもストレート、変化球、どちらにもタイミングぴったりの楠本。

得点差は1点。次打者は牧。

ここで菅野と大城は内角ストレートを投げました。構えた場所より高めに抜けましたが、それも逆に効果的でした。

楠本は少し刺され気味に空振り三振。楠本が三振しないと思っていた関根も2塁アウトでした。

 

実はこの球の前に菅野はカウント2-2から外角ストレートを投げています。

これがシュート回転してくそボール。39歳の藤田は飛び付いて空振りしましたが、26歳の楠本は悠々見逃しました。

 

バッターの反応

ここで楠本の頭の中は「9割変化球、1割ストレート」に切り替わりました。

バッターはツーストライク後は「ストレート何割、変化球何割」という感じのタイミングで次の球を待ちます。

んで私の予想もやっぱり「9割変化球、1割ストレート」でした。

そこで菅野は内角ストレートを投げ込んできたのです。

サインを出したのは大城ですが、見事に楠本のウラをかきました。見逃せばボールかもしれない球ですが走者が走ってるとついバッターはクサいタマを振ってしまいます。

菅野は大城の構えた内角低めを狙ったのでしょうが、絶妙な内角高めにボールは行きました。

 

「変化球9割、ストレート1割」は私のレーダーに映った楠本の頭の中の数値です。

なんでこれが見えるかというと、それまでのバッターの反応を見ているからです。

ソトや岡本は初球でも何を待ってるかわかります。ソトは「ストレート10割」で、岡本は「高め10割」です。こちらの根拠は反応ではなく過去の経験(データ)です。

楠本は経験のある子ですが、まだレギュラーとして1年間戦ったことはありません。こういう選手は頭の中で「変化球7割、ストレート3割」と考えていても、体が「変化球10割、ストレート0割」になっちゃってることがよくあります。

カープで言えば小園海斗がこういうタイプです。今シーズンはだいぶボールを振らなくなりましたが、小園もテンパるととんでもないボール球を追いかけますよね。あの感じがこの感じです。野間峻祥が走り打ちをしている理由を私は「ボール球を振らないようにするためだ」と思っています。走ることで「ボール球を打ちに行く体を止める」という目的でやっていると思います。

 

バッターの反応とはタイミングのことです。

高橋慶彦が「鈴木誠也は立ち遅れている」と言いましたが、それと同じようなことです。

ストレートにタイミングが合っている、合っていないは割とわかりやすいので今後ぜひ注目して見て下さい。

あと打者の「表情」も結構わかりやすいです。その選手の性格とかも知ってると、バッターの反応を予測するのはますます楽しいです。

今じゃ常識ですが、

「カウント2-2でバッターはフォークを見逃すが、3-2なら振る」

というルール(反応)を最初に発見したのも私です。30年前くらいだったと思います。野茂や佐々木の前です。

 

味方ですけど、まずはカープの打者の反応を観察してもおもしろいかもしれません。

西川龍馬も表情はスカしてますが、バットスイングで何を打ちたがってるかはわかりやすいです。マクブルームも基本変化球タイミングで待ってますが、たまにファーストストライクをストレートのタイミングで強振します。あれは相手バッテリーはコワいと思います。

松山竜平はツーストライクまでいつもインコース待ちです。コロナ開けでスイングが鈍いですが、そろそろアンパンチが炸裂するんじゃないですか。

ベテランのキクもチョーさんも私には何を狙ってるのか、次を振るのか、だいたいわかります。長い付き合いなのでね。笑

末包とケンティーは赤子の手をひねるようなもの。中村奨成は不気味です。意外なところからバットが出てくるとこが好きなのです。

 

今日からヤクルト戦

さあ今日は夕方で雨も上がり、グラウンドコンディションが戻れば試合をできる可能性が出てきました。

昼間はブルーシートかぶせて屋内練習場。ヤクルトは神宮からの移動ゲーム。

悪いがヤクルトはコンディション作りが難しい。ホームの利を活かしましょう。

今年のヤクルトはビジターに強い? まあそれも根拠のないデータですよ。分母が小っちゃい。

 

私がデータや数字を否定するのも根拠に乏しいからです。

バッターの反応のほうが雄弁に未来を語っています。

反応を見てないヤツが根拠に乏しいデータを持ち出してきても、私はそれを完全に無視します。

 

今日は大瀬良vs原樹理です。

過去のカープは好相性。通算で何勝何敗?

おい、今言ったばかりだろ。原樹理は一つコツを掴めばすぐに10勝できる投手です。今年何か掴んでいたら過去のデータは紙切れだぜ。今年の原樹理は不気味なんですよ。要警戒。

課題の1番打者は今日も堂林か?ケンティーか?

小園海斗はまだ早い。打率が3割に近づいてから1番か3番に戻しましょう。


おしまい
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ありがとうございました。

-赤辞苑