2021.1.9(土) 埼玉
山梨学院 2(3PK1)2 帝京長岡
矢板中央 0-5 青森山田
冬の高校サッカー選手権。準決勝は山梨学院と青森山田が勝利し、両者は1/11(月)に埼玉スタジアムで決勝戦を戦います。
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今ロングスローが問題になっている!?
近年、高校サッカー界ではちょっとした論争が起こっています。
それは「ロングスローによる得点」が年々増加傾向にあること。
ロングスローとは要するに「長いスローイン」のこと。
ボールがタッチラインを割った時、選手は手でボール持ち、頭の上から投げてボールをフィールドに戻しプレーを再開します。
誰でも知ってるこのプレーですね。
これ、通常は2~3mほどしか投げません。
野球なら遠投100mとか言いますけど、スローインではせいぜい10mがいいとこ。
ところが最近では各チームの選手が1人か2人、このスローインをメチャクチャ練習して20m投げられるようになっています。
よって高校サッカー選手権のトーナメントで決勝点が
「ロングスローからのヘディング」
になることケースが続出しています。
実際、昨日の準決勝では2試合とも「ロングスローからのヘディング」で得点シーンが生まれました。
全くルール違反ではありませんが、なぜコレがサッカー界で問題になるのかと言うと、おそらく足を使わないでゴールできるからなんですよね。
野球界にも似たような問題がありますよね。
特にMLBで。→後述
前転スローインが残した影響
サッカーなのに足を使わず点が入るプレー。
んでその1点で試合に敗れ、高校サッカー最後の試合が終わる。
納得できます、コレ?
私は楽勝で納得できます。
私はロングスロー肯定派です。
引き分けPK戦の方が理不尽です。
高校ラグビーに至っては引き分けの場合「くじ引き決着」ですよ。
ロングスローで負けるなんてカワイイもんです。
1980年代、日本でロングスローを武器にする選手は「キャプテン翼」の高杉晋吾くらいでした。
同時期、リアルのサッカー界では前転スローインが大流行しました。
こんなヤツ↓
当時、このプレーを全国の小中学生がマネしました。
んでケガ人続出。笑
即、中学生や高校生の大会で禁止されました。
1980年代の小中学生はみんな練習したはずです。私も練習しましたが一度もできませんでした。
コレ、決して「カッコいいから」だけで大流行したのではありません。
スローインから直接ゴール前までボールを運べるというのが非常に画期的で合理的だったのであります。
先述したように、スローインで20m以上投げられるヤツは皆無だった時代、この投げ方をすればゴール前にボールが届くわけですよ。言わばノーマークでセンタリングを上げられるチャンス。
だから小中学生、みんなが練習したんですよ。
ところが瞬く間にサッカー協会によって前転スローインは禁止され、子供たち(今の50歳)の夢は水泡に帰したのです。
ロングスローが完成
しかし前転スローインがサッカー界にもたらした影響は大きかった。
1992年にJリーグが開幕すると、ロングスローでゴール前にセンタリングを上げる選手がチラホラ出てきました。
もう前転しなくてもゴール前まで届く時代になったのです。
でもまだプロレベルではロングスローからの得点というのはそれほど多くありません。
なんでかと言いますと、スローインはボールの勢いが弱いからです。
足で蹴ったセンタリングはスピードも速く、カーブ回転をかけて味方の頭に合わせます。
速いスピードとカーブ回転で向かってくるボールを頭で叩けば当然シュートの威力は増大します。
一方、スローインは頭の上から両手で投げる投げ方。足で蹴るセンタリングに比べればシュートの威力は絶対的に弱い。
なのでプロレベルでは滅多にゴールになりません。
しかし高校生レベルでは得点になるんです。
理由は長くなるので端折ります。ま、高校レベルではディフェンスの体の入れ方が甘いことと、そもそも足のセンタリングの精度も低いからという2点が主な理由です。
とにかく高校生レベルでは基礎テクニックを身に付け、短いパスを繋ぐ「細かいサッカー」よりも、ロングスローを磨きロングボールを敵陣に数多く放り込む「パワーサッカー」のほうが勝率が高いと思われ始めているのであります。
ん?
なんだかこの話って・・・
野球界にも通ずるものがありますね。
そんなこんなでMLB
そんな中、2021年のお正月にこんなニュースが流れました。
ご存じメジャーリーグベースボールはフライボール革命で、細かい野球が壊滅状態。
イチロー選手も嘆いておりました。
昨オフ、菊池涼介がMLBと契約できなかった一因に「MLBの守備シフト」を挙げる方もいました。
「MLBの内野手は守備力なんか関係ないんだよ。打てるヤツ優先」
確かに一理あります。
ま、私は守備シフトも「肯定派」です。
なんたって「王シフト」を発明したのは広島カープですからね。
それに何でもかんでもルールで縛るのは創造力と自由な発想力を奪うことになるんですよ。
高校サッカーのロングスローも守備練習をしっかりすれば十分対策できますし、野球の守備シフトなんて言わずもがなでしょう。反対方向に打てば良いだけ。
そう言えば、1990年代のサッカー界ではスローインならぬ「キックイン」が試された時期がありました。
この頃のサッカー界は全試合の半分近くが「0対0」の引き分けでした。
要するに守備を固めて得点が入らなかった時代でした。
なので国際サッカー連盟(FIFA) はスローインを全部センタリングに変えて得点を増やそうとしたのです。
しかし思ったほど得点は増えず、試合も大味で全く面白くありませんでした。
で、この後、FIFAはサッカーの勝ち点を変更しました。
これまで勝利チームに与えていた「勝ち点2」を「勝ち点3」に変えました。
そこからまた長い時を経て今日に至りますが、そう言えば最近の欧州サッカーで「0対0の引き分け」をほとんど見なくなりましたね。