正捕手2人はバレーボールのツーセッターシステム?【前編】

ハイ。

ちょっとここらで来季の話をしましょうか。

 

何と言っても来季の最大の課題は

鈴木誠也の穴

ですよね。

 

私はこの穴を埋めるのは

中村奨成に他ならない

と思っています。

ハイハイ、静粛に。ブーブー言わないの。


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なぜ坂倉将吾がサードなのか?

プロ5年目の坂倉将吾が今季1軍で確たる成績を残しました。規定打席に到達し打率2位。年俸も1800万→5000万。

プロ4年目の中村奨成も1軍デビューを果たし、53打数15安打2本塁打。打率.283も立派ですがOPS.830はチーム3位。キクと龍馬のはるか上です。代打メインでこの成績はハッキリ言ってロマンの塊。

中村奨成も700万→900万と大幅アップ。カープにしては「大幅アップ」なのです。笑

契約更改の席ではスーさんから

「来年も外野と捕手を両方やってもらう」

と言われたそうです。ニッカン

 

その後、秋のキャンプでは坂倉将吾がサードの守備に就きました。

カープの1塁と3塁は層が薄い。林晃汰が出てこなければどうなっていたことか。

来季の基本線は3塁林、1塁マクブルーム。

2人が揃って活躍すればいいが、2人ともダメだった場合は田中、上本、堂林、安部、羽月。韮澤雄也はあまりサードをやってません。

だから今年ファーストでハーフバウンドをビシバシ捕ってた坂倉のサード適性を見てみようという流れになったのでしょう。

・・・と、さっきまで思ってました。

でも私、さっきスゴいことに気付いちゃったんですよ。

 

バレーボールのセッター

バレーボールの世界には「セッター」というポジションがあります。チームの司令塔であり、野球に例えると捕手に近いポジションです。

バレーボールは「①レシーブ→②トス→③スパイク」の順に攻撃するスポーツ。②のトスを上げる人をセッターと呼びます。日本で1番有名なセッターはこの方。

中田久美さん。今は鬼監督ですが、40年前は国民的アイドルでした。実話ですよ。

 

一般的にセッターは小柄な選手が務めることが多いポジションです。

高い打点に到達する能力より、正確で頭脳的なプレーが求められるから。

そして6人でプレーするバレーボールは「前衛3人、後衛3人」のポジションに分かれ、そのポジションは得点経過に合わせてローテーションします。

前衛3人はネット付近でジャンプしてスパイクを打ったり、相手のスパイクをブロックできます。

後衛3人はネット付近で攻撃参加することができません。後衛の選手はバックアタックラインの後ろからしかスパイクを打てません。

 

そうなると、セッターが前衛にいる時、セッターがトスを上げると、前衛で攻撃参加できる選手は2人になります。

セッターが後衛に下がった時にチャンス拡大。前衛3人が攻撃参加できるからです。3人をレフト、センター、ライトと呼びますが、セッターはセンターにAクイックを上げたり、センターを囮にした「時間差攻撃」や、バックトスでライトにトスを上げたりすることができます。相手チームのブロックは3人の誰をマークすればいいのか、判断が難しくなります。

つまり一般的にはセッターが後衛に下がった時が攻撃のチャンスなのです。あくまで一般論です。あたしゃバレーには詳しくありません。

 

ツーセッターシステム

1980年代にツーセッターという戦法が発明されました。

その名の通り、セッターを2人置くシステムです。

説明しよう。

======ネット

● ○ ○

○ ○ ●

6人がローテーションする時、ポジションは時計回りに右へ一つずつ移動します。

上図のように2人のセッターをそれぞれ●のポジションに置けば、セッター1人は必ず後衛でプレーするため、このチームは常時3人の攻撃参加が可能となるのです。

 

「ちょっと待て。前衛にも常時セッターがおるやんけ」

とお気づきの方は鋭いです。

セッターAが後衛に下がれば、セッターBが前衛に上がります。するとトスを上げる選手はAなのか?Bなのか?

正解はAです。必ず後衛のセッターがトスを上げます。

 

後衛の選手はネット付近で攻撃できませんが、ネット付近でレシーブとトスはしてもOKです。

だから後衛のセッターAがトスを上げると、前衛のセッターBはスパイクやブロックに参加できるのです。

 

「でもセッターは背が低いやんけ」

いいえ。ツーセッターシステムではセッターにもデカいヤツを配置します

現在、ツーセッターシステムを採用するチームは非常に少ない。なぜなら高身長で小技を使える選手を2人も同時にセッターとして育成することがとても困難だからです。

ですが、もしそれを実現できればツーセッターはとても大きな武器となる。高さがあってテクニックもある、そういう選手が2人いればチームの攻撃力は大幅アップするのです。

 

近代野球の捕手事情

話をプロ野球に戻します。

今シーズン12球団の正捕手のうち、規定打席に到達したのは森友哉、甲斐拓也、中村悠平、梅野隆太郎の4人。甲斐はスタメン137試合、梅野125試合、森118試合、中村105試合。

コロナ禍の2020年は森友哉ただ一人。その森もスタメンマスクは89試合に留まった。

言うまでもなく捕手は重労働であり、データ化の進むプロ野球界ではプレー以外のお勉強にも重点が置かれます。6連戦を全部スタメンで出るのはとても難しい。

 

そこでここ10数年、「捕手併用制」を取るチームが増えています。

通算2000安打を打った阿部慎之助でさえ130試合以上マスクを被ったのは2010年が最後です。

※2011年以降、規定打席に到達した捕手
2011年 S相川
2012年 D谷繁、
2013年 B伊藤、E嶋、L炭谷
2014年
2015年 S中村、L炭谷
2016年 G小林
2017年 S中村、G小林
2018年 T梅野、L森、M田村
2019年 C會澤、S中村、T梅野、L森、H甲斐
2020年 L森
2021年 S中村、T梅野、L森、H甲斐

あの甲斐キャノンでさえ2回しか規定打席に到達していません。S中村の4回はかなり立派。

んで上のメンバーを見ればおわかりいただけると思いますが、森友哉以外の正捕手は規定打席に到達しても打率はリーグ20~30位レベルです。打順も6~8番。

阿部や古田は規定打席に10回以上到達して打撃タイトルまで獲得しましたが、それは10年以上前のお話。

大谷翔平がピッチャーとDHで46発打ちましたから、NPBの捕手が40発打つかもしれませんけど、それは誰にも分かりません。基本的に守備型の捕手や小柄なセッターのいるチームは攻撃力が少し落ちます。

 

前編のまとめ

私が理想に描く構想はあくまで

「打順4~5番でキャッチャー坂倉」

「打順3~4番でセンター中村奨成」

です。ただこれで143試合戦える保証はどこにもない。

 

キャッチャー坂倉で140試合はたぶん大丈夫だろう。3番奨成もたぶん大丈夫。ブーブー言わないの。

問題は2人が「センターラインの守備とクリーンアップの重責」を両方やれるかどうか。どちらか一つなら140試合任せて大丈夫ですが、両方は確かに未知数です。

 

そこでカープ首脳陣は「保険」として

・サード(ファースト)坂倉

・キャッチャー奨成

のオプションを来季もキープしたいのだろうと思われます。

 

捕手にはアツと石原もいるので不安はありません。課題は誠也の抜ける攻撃の穴。

坂倉も奨成も来季は143試合にスタメンで出てもらいたい。CSも日本シリーズも全部出る。

その時、坂倉スタメンマスクは何試合になるのか?

70試合かもしれないし、100試合かもしれません。

私は坂倉マスクが130試合でも大丈夫だと思うんですが、アツでさえ130試合出場した経験はありません。KJの時に石原慶幸がマスクかぶってましたから。

 

とにかく中村奨成のキャッチャー継続は確定事項。

奨成がマスクをかぶる試合では、坂倉が内野でスタメン出場するつもりなのでしょう。坂倉の負担を軽くするため。奨成がセッターじゃなくてキャッチャーで30試合くらいマスクをかぶるプランは実現するのかどうか?

明日はキャッチャー奨成とセンター奨成の将来像について書きます。

つづく...